ログイン | 無料ユーザー登録


キングダム
三国志の死因


はじめての三国志

menu

南北宋

【岳飛故事とは】岳飛の背中の入れ墨や名前の由来を解説

岳飛(南宋の軍人)


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

岳飛(南宋の軍人)

 

岳飛(がくひ)は南宋(1127年~1279年)初期の武人です。

北宋(960年~1127年)が金軍により滅亡させられたことにより、入隊して頭角を現しました。

 

一兵卒から軍の総司令官にまで成り上がりましたが、金軍との和議を望む宰相秦檜(しんかい)や南宋初代皇帝高宗(こうそう)と対立をしました。

その結果、養子の岳雲(がくうん)、部下の張憲(ちょうけん)と一緒に無実の罪で投獄されて紹興11年(1141年)に殺されました。

 

39歳の若さでした。

金軍と死ぬまで戦ったことから、〝中国史上最大の英雄〟と称賛されています。

 

岳飛は死後に神格化されたので、様々な故事が誕生しました。

今回は岳飛にまつわる故事と研究によって嘘が暴かれた故事を解説します。

 

関連記事:【岳飛が熱い】「尽忠報国」と背中に彫った救国の英雄・岳飛(がくひ)Part.1

関連記事:【神になった名将対決】劉備三兄弟の一人関羽VS救国の英雄・岳飛 Part.1

 

 

岳飛の名前の元ネタは・・・・・・

 

読者の皆さんも1度は、自分の名前の由来を親に尋ねたことはあるはずです。

筆者も尋ねたことはあるのですが、母が覚えていないと一刀両断にしてしまいました。

 

話が逸脱しましたが、岳飛は珍しく名前の由来があるのです。

これがびっくりしたことに生まれた日に、屋根の上で鳥が〝飛〟と鳴いたからです。

 

「はあっ?」と思うかもしれませんけど、岳飛は元々、農民出身ですから親からすれば、名前なんて適当でよかったのだと思います。

 

 

生まれて3日で大洪水

 

岳飛は生まれて3日で大洪水に遭います。

 

しかし、母親は岳飛を抱えて近くの瓶に入って難を逃れました。

史実らしいですけど、少し出来すぎた話です。

 

3は例えに使用される数字なので、筆者は創作と推測しています。

 

時代を超えて愛される中国四大奇書「はじめての西遊記はじめての西遊記


 

岳飛は32歳で節度使になる

 

金軍との戦いで功績を挙げていくうちに、岳飛は節度使の位を授かりました。

この時、岳飛は32歳でした

 

得意になった岳飛がこのようなセリフを残しています。

 

「32歳で節度使になったのは、太祖(たいそ)と俺ぐらいだ」

太祖とは北宋の建国者の趙匡胤(ちょうきょういん)です。

これはかなり無礼なセリフでした。

 

後年、投獄された時に岳飛はこの件を追及されたので、言ったのは本当だったのでしょう。

よく考えたら、こんな迂闊な発言をする男のどこが中国史上最大の英雄なのでしょうか。


  

 

 

朱仙鎮の戦いの虚実

 

岳飛の有名な戦いに〝朱仙鎮の戦い〟があります。

朱仙鎮とは現在の河南省開封市の南方に位置する場所にありました。

紹興10年(1140年)に、岳飛はそこで金軍と戦って勝利しています。

 

あともう一息で、金軍の都まで侵入予定になっていましたが、朝廷から帰還命令が出たので、引き返した逸話は有名です。

小説やドラマは、この話を盛り上げて取り入れています。

 

しかし、明治37年(1904年)に、市村瓚次郎(いちむら さんじろう)という日本の学者が、この逸話に関する論文を発表しました。

市村氏は岳飛の上記の逸話に関して、疑問を抱いていたので中国まで行き調査を行った結果、ある結論を出しました。

 

(1)岳飛は朱仙鎮には行っていない。

(2)そもそも、〝朱仙鎮の戦い〟が存在しない。

(3)岳飛が到達したのは、朱仙鎮より南の偃城(えんじょう)という土地まで。そこから引き返した。

 

上記3点を発表しており、現在日本の学会でも、ほぼ定説となっています。

 

背中の入れ墨

 

紹興11年(1141年)に岳飛は無実の罪で投獄されました。

この時に激しい拷問を受けました。

 

その時に、岳飛の背中に〝尽忠報国〟という入れ墨があることが分かりました。

そのためなのか後世、岳飛は忠義の臣と言われています。

 

しかし、宋代において入れ墨をしている武人は珍しくありません。

なぜなら、入れ墨は軍隊の逃亡防止として使用されていたからです。

 

また、南宋初期は勇猛果敢な内容の入れ墨を彫ることが流行っていました。

岳飛が若い時に仕えていた王彦(おうげん)も〝赤心報国〟〝誓殺金賊〟の入れ墨を顔に彫っていました。

岳飛の背中の入れ墨も上記のものと同様の性質です。

岳飛を忠義の臣と称賛するのは大間違いなのです。

 

岳飛故事の生みの親

 

岳飛はこのように様々な故事があります。

後世になるにつれて尾ひれが付いて、〝朱仙鎮の戦い〟〝尽忠報国の入れ墨〟の話のように誇張される話もでてきました。

では、話を盛った人は誰でしょうか。

 

実は岳飛には、岳珂(がくか)という孫がいます。

岳珂は祖父の無念を晴らすために執筆した、『金佗粹編(きんだすいへん)』、『金佗粹続編(きんだすいぞくへん)』という著書があります。

 

しかしこれらは極端な著書でした。

 

岳飛=正義、秦檜=悪

 

という図式が、はっきりしています。

 

また、歴史書の『宋史』巻365・岳飛伝も、岳珂の著書を丸写しにして執筆されています。

身内の主観が入っているので歴史的価値は、ほぼ無いと言われています。

 

さらに、岳珂の著書をもとに創作されたのが、小説『説岳全伝』です。

祖父の名誉のためとはいえ、嘘はいけませんね。

 

宋代史ライター 晃の独り言

晃(あきら)akira

 

岳飛の故事に関していかがでした。

ドラマを見て岳飛に興味を持った人もいるかもしれません。

 

そのような人たちにとって、この記事は幻滅するかもしれません。

しかし、これが岳飛の本当の姿なのです。

 

 

※参考文献

・市村瓚次郎「岳飛の班師に就きて」(初出1904年、後に『支那史研究』春秋社 1939年 所収)

・外山軍治『岳飛と秦檜 主戦論と講和論』(冨山房 1938年)

・寺地遵『南宋初期政治史研究』(渓水社 1988年)

 

 

関連記事:【水滸伝】こいつらが憎っくき悪役達だ!!

関連記事:三国志と水滸伝の違い、あなたは説明できますか?

 

■中国を代表する物語「水滸伝」を分かりやすく解説■はじめての水滸伝

 

 

 

晃(あきら)

晃(あきら)

投稿者の記事一覧

横山光輝の『三国志』を読んで中国史にはまり、大学では三国志を研究するはずだったのになぜか宋代(北宋・南宋)というマニアックな時代に手を染めて、好きになってしまった男です。悪人と呼ばれる政治家は大好きです。
        
好きな歴史人物:

秦檜(しんかい)、韓侂冑(かんたくちゅう)、
史弥遠(しびえん)、賈似道(かじどう)

※南宋の専権宰相と呼ばれた4人です。

何か一言:

なるべく面白い記事を書くように頑張ります。

関連記事

  1. 趙匡胤は北宋の初代皇帝 趙匡胤ってどんな人?豊臣秀吉のように民衆に愛された皇帝
  2. 徽宗は北宋の第8代皇帝 【北宋】徽宗皇帝ってどんな人?Mrノープラン国を滅ぼした第8代皇…
  3. 澶淵の盟 北宋と遼の盟約 澶淵の盟が結ばれた場所は?澶淵の盟を行った澶州は実はあの戦場だっ…
  4. 宋代の公務員試験である科挙 科挙問題文を紹介!あなたには解ける?
  5. 茶を飲む張角(太平道) 【宋代の茶】お茶商人の娘の哀しき運命
  6. 岳飛(南宋の軍人) 【岳飛】現存している出師の表の執筆者は諸葛亮ではなく岳飛だった
  7. 岳王廟 wikipedia 岳王廟は恐怖の心霊スポットなのか?岳飛廟を分かりやすく紹介
  8. キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問) 渤海国とはどんな国?謎の王国・渤海国の建国までを分かりやすく解説…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 趙雲と劉備が初めて出会うシーン
  2. 三国志大学で勉強する公孫サン(公孫瓚)
  3. 曹丕
  4. 周倉とホウ徳
  5. 孔明
  6. 桃園3兄弟
  7. 真田丸 武田信玄
  8. お互いに歌を交わす趙雲と劉備
  9. 徳川家康をボコボコにする武田信玄

おすすめ記事

  1. 【韓信独立戦記】韓信がもし独立したら歴史はこうなったかも!?【前半】 韓信
  2. 読者の声『三国志の知識ほぼ0からでも楽しい記事ばかりでハマっています。』(集計期間:2019年6月1日〜7月31日) 読者の声バナー(はじめての三国志)
  3. 【江南八絶】孫呉を支えた!絶技を持った八人のプロとはいったい誰?
  4. 【超迷惑】下関戦争の賠償金で幕府も明治政府も四苦八苦 黒船(ミシシッピ号)
  5. 【キングダム】イケメンな始皇帝の意外な最期を大胆に考えてみよう! 始皇帝
  6. 徐盛と丁奉は自らの才覚で成り上がった将軍だった?その共通点は? 丁奉(ていほう)

三國志雑学

  1. 袁術
  2. 魯粛、周瑜、劉備
  3. 関帝廟 関羽


“ながら三国志音声コンテンツ開始" “はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム" “はじめての三国志コメント機能"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 張良と劉邦
  2. 謝夫人 孫権の妻
  3. 双流星を振り回している徐盛
  4. 愛妻家の魏の将軍、郭淮
  5. 徳川慶喜(幕末)
  6. 水魚の交わり
  7. 曹操は褒め上手

おすすめ記事

朝まで三国志2017 三国志の最強軍師は誰だ! 第1部 荀彧(はじめての三国志) 曹操軍の参謀、荀彧(じゅんいく)ってどんな人?官渡の戦いでの大勝利も一通の手紙のおかげ? 日本にも冥婚があった?東北や沖縄に伝わる死者の結婚式 【春秋左氏伝】宋の南宮万は春秋無双!?呂布もびっくりの暴れん坊 後継者争い 劉協と劉弁 13話:霊帝の後継者争い、劉協と劉弁、二人の皇子を巡り蹇碵と何進は争う 郭嘉 【田疇の進言】烏桓討伐戦で曹操に助言したのは郭嘉だけではなかった! 袁術と曹操と黄巾賊 三国志はなぜ日本で人気なの?中国人も驚く日本国民のヒーロー論に迫る 【三国志界の絶対王者】袁術の『陽人の戦い』は頑張らなくても成果がついてくる。その理由とは?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志

ながら三国志音声コンテンツ
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

“ながら三国志音声コンテンツ"
PAGE TOP