【宋代の茶】お茶商人の娘の哀しき運命


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茶を飲む張角(太平道)

 

皆さんが毎日飲んでいる茶は、中国の雲南省近いインドのアッサム地方が原産地です。

茶は宋代(960年~1279年)に作られたものではありません。

漢代(前202年~後220年)の時から栽培方法はすでに存在していました。

 

ただし、茶が飲用されだしたのは三国時代の呉(222年~280年)の時からです。

それが徐々に北に広がっていき、中国全土に広まったのは唐(618年~907年)の半ばと言われています。

この時期になると有名な陸羽(りくう)常伯熊(じょうはくゆう)といった著名な茶人が出現して、茶に関しての書物を執筆します。

 

五代十国時代(907年~960年)の乱世の時代には全国で茶の生産が拡大していきました。

 

そして、それが北宋(960年~1127年)に引き継がれました。

今回は、北宋における茶に関してのエピソードを紹介します。

 

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茶の専売

 

北宋は第2代皇帝太宗(たいそう)の時に、北方の契丹族の王国遼(916年~1125年)と2度も戦いました。

しかし残念ながら、2度も大敗という結果に終わり、太宗はこの時の傷がもとで亡くなりました。

 

3代目皇帝の真宗(しんそう)が和議を行ったので、8代目の徽宗(きそう)の時代までは平和を維持することに成功します。

すると、遼は貿易で茶を要求してきました。

 

なぜなら、遊牧民である契丹族は普段は酪農で生活しているので、肉・乳牛が主食である関係上、タンパク質・カルシウムは足りています。

しかし、彼らにはビタミンCは足りていません。

 

そのため、茶を要求していたのです。

タンパク質・カルシウム・ビタミンC等の知識がこの時代の人に無いのは、筆者でも分かります。

 

おそらく、茶を万能薬と勘違いしていたのではないでしょうか。

一方、北宋の朝廷では、この条件をおとなしく飲むことにしました。

 

そのために茶を国家が管理する専売制度に踏み切りました。

 

理由は3つありました。

 

(1)茶の貿易を行って遼を懐柔するため。その代わり、軍馬をもらって国防にあてる。

(2)塩の専売と同様に茶を専売にして国家を豊かにする。

(3)商人の優遇政策。

 

この中で(3)は特に重視されました。

 

茶の買い入れは素人の農民にさせても手間がかり、農業に影響が出ると判断しました。だからプロの商人にさせた方がよいと判断しました。

このため、商人たちは競って朝廷のために茶を献上していきました。

 


 

茶商の娘と皇帝の恋と離別

茶を楽しむ劉備

 

上記のような政策をとったので、茶商は巨万の富を築く者が続出しました。

さて、今から話すのは北宋第4代皇帝仁宗の時の話です。

 

茶商に陳子城(ちんしじょう)という人物がおり、娘が1人いました。

仁宗はこの娘を非常に気に入っており、ぜひ皇后にしたいと思っていました。

 

ところで仁宗には(かく)皇后という女性がいました。

しかし郭皇后は、仁宗の育ての親である(りゅう)皇后が連れてきた人物でした。

 

つまり、政略結婚です。

この郭皇后は嫉妬心・束縛力は天下一品の強さだったらしく、仁宗の浮気は許さなかったようです。

 

まあ、今のご時世だったら普通ですけど・・・・・・

結果、仁宗とケンカになり、彼の顔をぶっ叩いて離縁となりました。

 

まあ、今のご時世だったら普通ですけど・・・・・・(2回目)

話を戻します。

 

陳子城の娘を皇后にしたいと言い出した仁宗でしたが、周囲が反対しました。

宦官の閻子良(えんしりょう)が次のようにコメントしています。(訳は現代の人でも分かりやすくしています)

 

「陛下、陳子城のネームのモチーフは分かっているんですか?」

 

仁宗は首を横に振って、「知らん」と答えた。

 

「大臣の家の奴隷につける役職名ですよ。奴隷の娘なんて皇后にしたら、みんなに笑われるのですよ」

 

話を聞いた仁宗はただちに、陳子城の娘を実家に帰したという話でした。

自分で皇后にしようとして、世間体がまずいと分かったら、もう実家に帰す。

 

まったくもって身勝手な皇帝ですね。


 

宋代史ライター 晃の独り言

晃(あきら)akira

 

閻子良が言っていた陳子城の名前が奴隷の役職名というのは正確には、〝子城使〟です。

宋代にはすでに無い役職です。

無理に言ったダジャレという感じがしますね。

 

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