大人気春秋戦国時代漫画キングダム、3月28日は休載になってしまいました。
という事で久しぶりのキングダム休載恒例、キングダム休載スペシャルを実施します。
キングダム594話では久しぶりに羌瘣の巫舞が炸裂しました。
飛び回り回転しながら舞うように敵を切り刻む羌瘣の巫舞ですが、あの元ネタって存在するのでしょうか?
ちょっと気になったので調べてみました。
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この記事の目次
キングダム595話ネタバレ雑学 元ネタは巫女舞
羌瘣の巫舞の元ネタは、古代日本の巫女舞にあるようです。
古代の世界においては、神の意志は背の高い物の上に降りると考えられていて巨木や巨岩を神聖視して祀る文化が生まれました。
今でも、神道では亡くなって祀られた人を数える時に柱と言いますし、何かの災厄を逃れる為に捧げられる犠牲を人柱と言ったりしますよね?
お祭りにも巨木を立てる御柱祭という奇祭が残っています。
また、目を引くような巨大な岩や大木にしめ縄をしているのもよく見ます。
これらは、古来神が高い場所に降りるという名残です。
やがて、神は大木や巨石ばかりではなく人間にも降りると考えられ、霊媒体質がある選ばれた女や男(巫覡、男巫、巫子と言う)が
神の前で踊りトランス状態になって神託を下すようになりました。
羌瘣の巫舞は巫女舞いを縮めたものですし、羌瘣は体内に神を降ろす事で超人的な動きを獲得するのでそのモデルは巫女であると言えます。
キングダム595話ネタバレ雑学 回転と跳躍が巫女舞の特徴
羌瘣の特徴は、非常な跳躍力や右と左に繰り返される高速回転ですが、実はこれも巫女舞の特徴でした。
巫女舞の原点は降神巫と言い、採物を手にした巫女がまず身を清める為に舞い、続いて右方向と左方向に回転を開始します。
やがて回転は激しくなり、トランス状態に陥った巫女は神懸りを起こし、大きな跳躍の後に神の言葉を宣託として話すのです。
ちなみに採物とは、巫女が手に持って踊る道具で、榊、弓、杓、幣、杖、、鉾、剣、があります。
羌瘣の得物は緑穂ですが、それは採物だという事です。
中国の巫覡の舞の基本を記した八卦舞譜にも陰陽を以て綱紀と為すとあり、舞踏の作法は陰陽を意味する左旋と右盤を必須とするとあります。
日本と同じように古代中国でも巫女は左右に回転していたのです。
巫女が左右に交互に回転するのは太極図が表現する天地が未だ別れる前の状態を意味しているそうです。
キングダム595話ネタバレ雑学 戦争に動員された巫女
これまで巫女について書いてみましたが、そこにあるのは祈りであって戦争とは関係していないので、
羌瘣が戦場にいるのはやはりキングダムのオリジナルだと思った人もいるでしょう。
しかし、それは現代の感覚であって古代の巫女は戦争に参加していました。
正確には、戦いが始まる前に前線に出てお互いに相手に呪いをかけたのです。
その巫女は飾り眉をして、その目力で敵を倒そうとしました。
羌瘣のバンダナには不思議な模様がありますが、あれは飾り眉だと推測します。
この巫女同士の呪術合戦の後で兵士同士の戦いが始まりますが、戦いの勝者は最初に自分達に呪いを掛けようとした巫女を皆殺しにしたそうです。
それが蔑という漢字の元で、戈によって巫女を刺し殺して、巫女が倒れ込んでいる様子を現わしています。
直接に殺し合いに参加したのではありませんが、巫女は呪力で戦争に参加し味方を勝たせようと文字通り命がけだったのです。
キングダム595話ネタバレ雑学 消えていった神懸り舞い
元来、巫女舞は左右への激しい回転と跳躍を伴うと書きましたが、現在、神社の神楽などで見られる八乙女舞いは激しい回転を伴いません。
むしろ激しい動きのない手振りの繊細さが際立っていますが、どうしてそのように変化したのでしょう。
これは江戸時代の中期に勃興した国学が、太古の風習を残す神懸り舞いを淫祠邪教として忌み嫌うようになったからだそうです。
当時の民間の巫女は祈祷ばかりではなく、生活の為に売春まがいの事もしていてそれが風紀を乱すとして、当時の知識人階級に睨まれていた事も
あります。
やがて国学の影響を受けた明治維新が成立すると、神道の再編成が行われて、古来の神懸り舞は邪教にされてしまい、
神社を持たない歩き巫女は廃業します。
一方で神社についている巫女も廃業の危機に曝されたので、八乙女舞いをより洗練された芸術的な舞にする事で廃絶を免れたそうです。
現在でも一部の神社では神懸り舞が残っているそうですが、私達が神楽で見る巫女舞からは本来の巫女舞にあった激しい回転や跳躍は
消えてしまっているのです。
キングダム595話ネタバレ雑学 羌瘣のキャラ設定
このように羌瘣には、容姿から動きまで古来の神懸り舞いに因む動きが入っています。
ただ、さすがに呪術で呪い殺すのでは、キングダムのようなアクション漫画では、スタンドみたいな表現を使わないと難しいので、
神を降ろすという行為を戦神である蚩尤を直接に体に下ろす事で超人的な戦闘力を得るとしたのでしょう。
また、羌瘣がリズムを刻むのは元ネタが舞踊である巫女舞いだからです。
こうしてみると、羌瘣は名前以外は作者の創作ですが、かなり考えられ練り込まれて造られたキャラクターだと言えるでしょう。
キングダム595話ネタバレ雑学 羌瘣と信が結ばれる暗示
日本における巫女の原型は日本神話に登場するアメノウズメであり、ニニギノミコトが地上に降りる時に道案内をした神様です。
その途中に、一行を阻むようにサルタヒコという神が出現しますが、サルタヒコと夫婦になる事で彼をニニギノミコトの味方につけたのも
アメノウズメです。
信は下僕出身の粗野な言動からサルと呼ばれたりしますが、もし、これがサルタヒコの隠喩だとすると、ニニギノミコト(秦王政)を
天下統一へ導く存在として、アメノウズメ(羌瘣)サルタヒコ(信)が成り立つと言えるかも知れません。
そうでなくても陰陽を司る巫女は陰だけでは存在できないので自らの安定の為に陽である信を求めるとも言えます。
勘違いではありましたが、敵討ちから帰った羌瘣の「おまえ(信)の子を産む」発言も意味深に感じますね。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
羌瘣の巫舞は現在の八乙女舞いではなく、太古の神懸り舞いに由来する事が分かりました。
回転と跳躍は原泰久のオリジナルではなくて、トランス状態に陥った巫女に特有の動きであり、その意味で羌瘣の元ネタは紛れもなく巫女なのです。
前回記事:キングダム595話ネタバレ予想vol2羌瘣を救い那貴が大活躍
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