迷当大王とはどんな人?非業の死を遂げた魏軍の残虐な行為とは?

2019年8月24日


 

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迷当大王

 

三国志演義で「迷当大(めいとうだいおう)」として描かれる羌族の親玉。羌族は漢の時代に中国西部で勢力を誇っていました。現在の地図で言うと甘粛省の西にある青海辺りが羌族のいるエリアです。

 

その後、三国鼎立の時代に入ると臨機応変に隣国の魏や蜀と駆け引きをしていたようです。それでは迷当大王や羌族にフォーカスしていきましょう。

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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羌族の支配エリア

多様化が進む蜀の国

 

 

21世紀も例外なく、中国は多民族国家です。それは古代中国の時代から連綿と続いており、中国の歴史は民族興亡の歴史とも言えます。三国時代、羌族は中国の西部で権力を誇っていました。

 

 

 

蜀馬に乗って戦場を駆け抜ける馬超

 

 

あの「馬超(ばちょう)」も羌族の血筋と言われています。羌族は漢王朝と馬が合わず、たびたび反乱を起こしては抑えられるという、いたちごっこを繰り返していました。三国時代に入ると支配エリアが、ちょうど魏と蜀の間にあったことから、状況によって魏についたり、蜀についたり…。

 

 

反乱を起こす羌族

 

 

三国志演義では、こうした少数民族がスパイスを効かせており、ストーリーを面白く仕上げています。

 

 

チンギス・ハン

 

 

やがて、後秦や西夏として王朝を築くもチンギス・ハーンによって滅亡。現在は目立った政治活動はしていません。支配地域が中国の中心となる洛陽や長安に近かったために、そのとばっちりを受けた民族と言えるでしょう。

 

 

姜維と組む

羌族に援軍してもらうよう使者を出す姜維

 

 

ここからは三国志演義での迷当大王を中心に解説していきます。蜀・延熙16年の秋。将軍・姜維(きょうい)が羌族へと使者を派遣します。北伐の援助をしてもらうためです。金銀財宝を持っていた使者は、羌族のトップ・迷当大王に大歓迎を受けます。

 

そのとき姜維は蜀陣営におり、魏の討伐に手を拱いていました。そこで、羌族・迷当大王の力を借りて魏を共に成敗しようと提案したのです。迷当大王にしてみれば、羌族の支配エリアは魏と蜀の境、どちらか強い方に与する方が楽でした。

 

 

蜀の姜維

 

 

すると羌族は「俄何焼戈」を大先鋒として、5万の兵を動員。南安へと結集します。羌族の命運を懸けた一大イベントです。しかし、大将の迷当大王が魏の陳泰の策に掛かり、生け捕りにされてしまいます。

 

 

魏の裏切り

魏の将軍、郭淮(かくわい)

 

 

郭淮(かくわい)の薦めによって、投降を決意した迷当大王。魏軍を引き連れて、蜀へと戻ります。いわば案内役です。蜀の姜維と夏侯霸は出迎えにきますが、迷当大王が口を開く前に魏の将軍が後ろから切りつけてしまうのです。

 

 

斬られる迷当大王

 

 

投降したにも関わらず、魏軍の罠にかかって命を落とした迷当大王。優秀な軍師がいれば、違った最期を遂げていたかもしれません。

 

 

俄何焼戈はどこに?

キラー陳泰

 

 

迷当大王らの兵が南安に集結したと聞いた魏軍の陳泰(ちんたい
)
は、5千の兵を連れて迷当大王の野営地へと忍び込みます。そして、陳泰は羌族の兵を内通させ、何人かの兵を魏軍から借りることに成功。

 

 

軍会議で的確に作戦指示を出す陳泰

 

 

夜になると陳泰は羌族の兵を先頭にして、迷当大王の野営地へと潜り込みます。先頭に羌族の兵がいたものですから、やすやすと陳泰は迷当大王の陣営へと入れたのです。すると馬に乗った「陳泰」が陣営を駆け抜けます。一突きでやられた兵は馬ごと堀に落下。

 

 

魏の旗をバックに戦争をする郭淮は魏の将軍

 

 

陳泰は後ろから攻撃を仕掛け、郭淮は左側から一斉攻撃を開始。羌族の野営地は大混乱に陥ります。真夜中とあって、みな油断していたのです。郭淮と陳泰によって包囲され脱出不可能と見るや否や、俄何焼戈は自害してしまいます。

 

 

軍会議で的確に作戦指示を出す陳泰

 

 

魏軍と戦う前に野営している段階で奇襲をかけた魏軍の陳泰が一枚上手だったということでしょう。

 

 

 

三国志ライター上海くじらの独り言

三国志ライター 上海くじら

 

 

部族を動かす力はあるもの、魏軍の謀略によって敗北を喫した迷当大王。

 

智謀知略によって支配する漢族と血統や力によって支配する羌族との戦術の差を描いたシーンと言えるでしょう。他にも呉の南蛮討伐では、面白い民族が登場します。自らを大和民族と意識する機会が少ない日本人にとっては新鮮に映る小説。

 

それが三国志演義なのです。

 

参考資料:

「交通旅遊中国地図冊(中国語版)」湖南地図出版社

「三国演義(中国語版)」長江文芸出版社

迷当 (三国时期凉州羌王)

俄何烧戈 (三国时期羌族首领)

 

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上海くじら

三国志との出会いは高校生の頃に読んだマンガの三国志。 上海留学中に『三国志演義』の原文を読む。 また、偶然出会った中国人と曹操について語り合ったことも……。 もちろんゲームの三国無双も大好きです。 好きな歴史人物: 曹操、クリストファー・コロンブス 何か一言: 覇道を以って中原を制す

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