ログイン | 無料ユーザー登録


呂布特集
姜維特集


はじめての三国志

menu

三国志の雑学

魯粛の交渉術が誠実すぎる!全ては事実に基づくべき

魯粛


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

孫権と張昭

 

二つの国の利害が対立した時、戦争無しに事態を解決するのが外交です。

しかし、国同士の対立は、それぞれが自分に都合がよい事だけを主張して、事態が紛糾(ふんきゅう)する事が多いものです。

戦乱に明け暮れた三国志では、暴力によって国境線が変わるのが当たり前ですが中には、(したた)かな交渉術により境界線を定めたケースもあります。

それが、荊州の南半分を巡る蜀と呉の交渉で関羽(かんう)をやり込めた魯粛(ろしゅく)です。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:長沙の史跡(張公祠記・益陽・魯粛墓)を調査してみた【三国夢幻紀行 荊州湖南篇】

関連記事:魯粛の知力はこんなにスゴイ!実は雑魚じゃない呉の外交官・魯粛


 

蜀を奪取したが荊州を返さない劉備孫権は出兵

劉備と孫権

 

劉備が西暦215年に益州を定めると、孫権赤壁の戦い以後貸していた、長沙(ちょうさ)零陵(れいりょう)桂陽(けいよう)を呉に返還するように劉備(りゅうび)に要求します。

それに対して劉備は、涼州を奪取したら返しましょうと約束を反故(ほご)にしました。

怒った孫権は、呂蒙を派遣して実力で、長沙、零陵、桂陽を奪取します。

ところが、劉備はそれを黙ってみている男ではありません。

やりやがったなと怒り、自らも公安まで出撃し、関羽(かんう)に命じて三郡を取り返そうと乗り出してきました。

劉備

 

それに対し、孫権は魯粛を呼び出して

「それもこれも劉備を信用しろと言ってきたお前のせいだ、、何とかしてみせろ」と叱り飛ばします。

そこで、魯粛は平和裏に劉備から三郡を奪い返すべく交渉に出ます。

 


何もかも腹を割って話す魯粛

魯粛

 

魯粛は、益陽(えきよう)に布陣して関羽の軍勢と相対しました。そして、自ら関羽の陣営で交渉をする事にします。

 

魯粛の部下は、関羽に魯粛が捕まったり、殺害される事を恐れて行ってはいけないと言いましたが、魯粛は全く落ち着き払い

 

「今回は、お互いに腹を割って話すべきだ。劉備の裏切り行為に関する問題が解決しない内に、関羽が私を害する事などない」

三国志呉書魯粛伝に引く呉書

と問題にしませんでした。

劉備、孫権、魯粛

 

ここで、魯粛は劉備が孫呉に対して裏切りをしている事を宣言し、それは劉備も承知している筈で何とかしたがっている。

そうである以上は、関羽が自分に危害を加えて事態を悪化させる事はあり得ないと言っています。

第一に劉備は間違っているし、自分はそれを立証できる自信があると魯粛は考えていたのです。

 

赤壁の戦いを斬る!赤壁の戦いの真実
赤壁の戦い

 

関羽は泣き落としで魯粛と対峙

 

さて、呉書の記述だと単身で関羽の陣営にやってきた魯粛に関羽は、泣き落としを試みています。

 

烏林(うりん)の役(赤壁)では、左将軍(劉備の官位)は自ら戦闘に参加し、寝る時も鎧兜を脱がず、奮戦して呉と力を合わせて曹操(そうそう)を破ったのです。

それなのに、呉は領土の欠片さえ与えないと言い、あなたを遣わして領地を返せと迫る、我々は骨折り損のくたびれ儲けでしょうや」

三国志呉書魯粛伝に引く呉書

 

劉備は孫呉と力を合わせて戦ったのに、領土も欠片も与えずに奪い返そうというのですか、あなたは鬼ですかという泣き落としです。

劉備

 

典型的な感情論であり、関羽の方に分がない事が分かります。

しかし、魯粛は情に流される事はありませんでした。

 


魯粛は冷静に劉備が呉に転がり込んだ時の事を指摘

魯粛

 

関羽の泣き落としに魯粛は冷静に対応します。

 

「そうではない、初めて劉豫州(りゅうよしゅう)を長阪で観た時、劉豫州の軍勢は一校(いっこう)(一部隊)にもならず打てる手もなく、知恵も出ず、

どこに逃げれば助かるだろうとそわそわし、士気もくじけてしまい、とても、益州を領有するような大計は持っておられなかった。

我が主の孫権は、劉豫州が身を置く場所もなく、その軍勢を養う土地も物資もない事を見て(あわ)れみ

荊州を与えて、今にも死にそうな所を救済(きゅうさい)したのです。

 

ところが、劉豫州はその恩義も忘れ、行動を飾り孫呉との友誼(ゆうぎ)を破りました。

すでに、益州を手に入れて、以前の喰うや食わずではないのに、それで足りずに、なおも荊州に執着して返さんとするとは、

思慮の無い凡人でも敢えてしない事です。

 

ましてや、人の上に立つ君主ともあろう人がやっていい事でしょうか?

こんな事をすれば、道を踏み外し禍を招き寄せる事を避けられません。

 

そもそも貴卿(きけい)(関羽)は、荊州を任されていながら、そんな事をしては道に外れますよと主君に諫言(かんげん)する事もせず、

逆に疲弊した兵士を集めて孫呉に立ち向かおうとさえしています。

しかし、こんな弱兵で本当にどうにかなると思っているのですか?」

三国志呉書魯粛伝に引く呉書

 

こう言われた関羽は意気消沈、一言もなかったと呉書にはあります。

 


墓穴を掘ってしまう関羽

 

正史三国志呉書、魯粛伝によると、魯粛が話をしている途中に関羽の幕僚の一人が

「土地とは徳のある人間のモノだ、どうして所有が決まっているものか!」

と興奮して叫んでいます。

 

これに対して魯粛はだまらっしゃい!と一喝します。

関羽は刀を手繰り寄せて立つと、「これは国家の事であり、この男には何も分かりません」と魯粛に釈明し

目配せして幕僚を下がらせています。

関羽

 

しかし、これは痛恨の失言でした、どうして、所有が決まっているものかという言葉は、

元々は呉の領地だろうと関係ない、領地は徳のある人が治めるのだと嘯いている事と同義であり、

荊州が孫呉の領地だと暗に認めているのと同然だったからです。

 

関羽は苦笑いして、「あれは、何も分かりませんから」と釈明(しゃくめい)しますが、もう手遅れだったわけです。

 

劉備の論点のすり替えを許さない魯粛

夷陵の戦いで負ける劉備

 

魯粛は、曹操に敗れてボロボロの劉備を知っています。

だから、劉備がいかに俺は、頑張って孫呉と共に戦ったと強弁してもそんなモノは嘘であり、赤壁における劉備軍の功績が微々たるものだと

ちゃんと論破する事が出来たのです。

赤鎧を身に着けた曹操

 

さらに、劉備が荊州でいがみあっている間に、曹操が動き漢中を陥落させました。

本拠地が危うくなった劉備は、要求をあっさり引っ込めてしまいます。

かくして、湘水(しょうすい)を境界として領地を分割、さっさと蜀に帰ってしまうのです。

劉備にしても、ハッタリを打ちまくり上手くいけば万々歳(ばんばんざい)くらいで本気で孫呉と戦うつもりはなかったかも知れません。

 

結果として南荊州は、江夏、長沙、桂陽を孫権が取り、南郡、零陵、武陵を引き続き劉備が統治する事で収まりました。

 

三国志ライターkawausoの独り言

 

魯粛は劉備に対しては融和的(ゆうわてき)な態度を取り、それは呉に損をさせているのではないかと孫権が疑う程でした。

劉備にしても、相手が魯粛なら誤魔化しおおせると甘く見たかも知れません。

しかし、実際の魯粛は、劉備と慣れ合うつもりはなく、劉備が桁外れの要求をすると、理路整然(りろせいぜん)と道理を説いて聞かせて、

関羽を黙らせる程の実力を見せたのです。

国益を何より優先する魯粛の態度は、外交官の鑑と言うべきですね。

参考文献:正史三国志

 

魯粛は劉備と繋がりが深く、なかなか劉備が嫌がる事を言いにくい立場にも関わらず、堂々と劉備の痛い所を突いて交渉を有利に進めました。

読者の皆さんは、この魯粛の態度をどう思いますか?また、自分が劉備だとしたら、魯粛の態度を受け入れられますか?

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:狂児・魯粛は三国史隋一の外交官だった理由

関連記事:第15話:袁術くん「セルフコンパッション」を魯粛から学ぶ

 

時空を越えた最強の将軍対決
呂布対項羽

 

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 子供時代の桃園三兄弟 歴史上最も有名な義兄弟の誕生!桃園の誓い
  2. 孔明 初心者にも分かる!陸遜と諸葛亮孔明の関係性
  3. これはひどい・・関羽は深刻な方向音痴だった?迷走する関羽の千里行…
  4. 蜀の皇帝に即位した劉備 もし劉備が白帝城で死ななかったら三国志はどうなる?
  5. 司馬懿 楊修と司馬懿の二人は優秀なアドバイザーだった理由とは?
  6. 曹操を裏切る陳宮 陳宮と陳登の二人を呂布が用いれば曹操が滅亡してた?
  7. 張昭 中国の氏・姓の成り立ちをどこよりも分かりやすく解説!
  8. 暴れまわる異民族に困る梁習 揚州の問題児?山越族とはどんな民族だったのか

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 実は頭がイイ賢い張飛
  2. 担がれる劉邦
  3. 疫病が流行った村
  4. 魏の占い師・周宣(しゅうせん)
  5. 秦明
  6. 劉邦と劉備
  7. 蒼天航路

おすすめ記事

  1. 【三国志の矛盾】二帝並尊をなぜ諸葛亮孔明は認めたの?
  2. はじめての三国志 4コマ劇場 「祝融夫人の日常」
  3. 【古代中国の伝説の聖剣】欧冶子が作った宝剣がとんでもない高価なモノだった!?
  4. 124話:曹休、憤死!!石亭の戦いと孫権の即位 曹休
  5. 【ネオ三国志】第1話:蒼天航路の主人公・曹操立つ 蒼天航路
  6. 【本当は怖い家庭ノ医学】首が180度回る?司馬懿の特徴に隠された怖い病気とは

三國志雑学

  1. 孫呉(孫権・黄蓋・陸孫・周瑜・周泰) 
  2. 曹操様お守りします
  3. 曹叡
  4. 袁尚と対立する袁譚


“はじめての三国志コメント機能" “はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 幕末極悪な尊攘派志士と正義の新選組
  2. 蜀馬に乗って戦場を駆け抜ける馬超
  3. キングダム54巻amazon
  4. 曹休

おすすめ記事

馬騰 馬騰(ばとう)とはどんな人?馬超のパパで知られる荒れ地の猛将 呂布に暗殺される董卓 董卓が殺害された原因と三国志に与えた影響とは? 孫権と三国アヒル 権力者の重圧?酒癖の悪かった呉の孫権 孔明 【孔明涙目】パイセンの命令は絶対!『劉備軍』が想像以上に体育会系だった 周倉とホウ徳 周倉の武力はいかほどのものだったのか?魏・呉・蜀の大物を掻き回した能力に迫る 曹昂(曹昴) 曹昴の伝説 | 武将アンケート裏1位獲得 三国志の時代、一番本を持っていた武将は誰だったの? 悪党(鎌倉) 鎌倉時代の悪党とはどんな人たち?アウトローな連中だった?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志PR募集陸遜"
PAGE TOP