キングダム「キングダムの弩の使用法はリアルだった」


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大人気春秋戦国時代漫画キングダム、現在飛信隊には弓矢兄弟の(じん)(たん)がいます。

敵から攻撃を受ける事なく、一方的にダメージを与えられる弓は当時強力な武器でしたがキングダムの時代には、もうひとつ飛び道具があります。

それが()であり、キングダム4巻では魏興(ぎこう)の弩行隊としてクローズアップされています。

今回のネタバレ雑学は、キングダムでは比較的に地味な扱いの弩について考えてみようと思います。

 

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春秋戦国時代に出現した弩

弩(ど)を発射させる蜀兵士達

 

弩は西洋のクロスボウと同系統で、機械式の弓矢の事です。

すでに春秋時代の楚で使われたと言われていますが、実物として残っているのは戦国時代中期頃で、4世紀のものです。

弩は弓矢と違い、矢を引いたまま維持できるので好きなタイミングで放つ事が出来、また、弓矢と違い目的に向けてトリガーを引けばいいので

射撃に特別な訓練も技量も必要ありません。

この事から農民を歩兵として徴兵し、戦争が大規模になった戦国時代には歩兵に常備させる武器として、盛んに利用されました。

弓矢を構える李広

 

ただし弩にも弱点があり、発射の時にどうしてもブレが生じるので、命中精度においては弓矢に劣り、貫通力でも弓矢には及ばず、

矢をつがえるのに時間が掛かるので、速射性でも弓矢に敵いませんでした。

 

つまり弩の、このような弱点を補うには人数を揃え、至近距離で大勢の敵に向かい弩を放つのが理想であるわけです。

これを踏まえて、キングダムの31話「魏興の弩行隊」を考えてみましょう。

 

理に適っている弩の使い方

洛陽城

 

信が城門をこじ開けて朱海(しゅかい)の門を突破した楊端和(ようたんわ)率いる山の民40名と昌文君(しょうぶんくん)秦王政(しんおうせい)が率いる10名。

そこには、今回の成蟜(せいきょう)の乱に加担した竭氏(けつし)が立ち塞がっていました。

この勢いのままに竭氏を殺そうとした山の民ですが、山の民の刃が喉元に迫った時、無数の矢が降り注いで山の民を貫きます。

秦王政の動きに不審を感じた軍師である肆氏が備えていたわけです。

楊端和

 

さて、ここで登場したのが、六国を震わすと恐れられているらしい魏興の弩行隊なのです。

ここでのキングダムにおける弩兵の使い方は理に適っています。

 

まずは場所が王宮内であり、野原よりは狭い事、そして、山の民の注意が竭氏に独りに向かっていて狙いが容易につけられる事があります。

そして、ある程度の人数がいる事で、矢の装填に時間がかかるのを完全にカバーしています。

キングダムは漫画ですが、弩の性能とその弱点を理解して矛盾する事なくストーリーの中で活かしているわけです。

 

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キングダムネタバレ考察


弩の弱点まで再現したキングダム

バジオウ

 

魏興の弩行隊の前に山の民3名が全身をハリネズミにされて倒れます。

多数の弩兵を相手に逃げ場もなく、危険な状態に追い込まれた昌文君は、一旦退くように楊端和に告げます。

 

しかし、楊端和は、昌文君の言葉を無視するように全軍突撃を命じます。

これで全員ハリネズミかと思いきや、ここで死んだと思っていた3名の山の民が起き上がり、弩兵に襲い掛かったのです。

不意をつかれた弩兵は大混乱、時間差で残りの山の民も突撃し秦王政と昌文君は危機を免れる事が出来ます。

昌文君

 

ここでもキングダムの作者は、弩が弓矢に比較して貫通力が弱いという弱点のせいで、山の民の屈強な筋肉の鎧を突破できなかったという

無理のないストーリーを構成しているのです。

※いかに山の民でも、あの至近距離で弩を喰らったら無事では済まないとも思えますが

キングダムは春秋戦国時代を扱った漫画ですが、勢いだけではなくちゃんと当時の武器についても、その特徴を活かそうとして

苦心している事が分かります。


高級兵器だった弩

小野春風『前賢故実』よりwiki

 

このような弩ですが、弥生時代には日本にも伝来したようです。

ただし、日本では平安時代の後期になると、あまり使われなくなりました。その大きな理由は、弩が精密機械で高級品だった事です。

普通の弓矢なら、故障したら自分でも直せますが、弩の場合は、高価な精密機械なので壊れると部品を交換しないとならず個人では直せません。

実際に中国でも高価な弩は、戦争が終ったら国が回収して管理し個人が理由なく保有する事を禁止していました。

武田騎馬軍団 馬場信春

 

また、歩兵の武器として大量動員に適した武器の弩は、武士団同士の小規模な戦争が多くなった平安末期から鎌倉になると

戦争のプロであり、弓馬の道に達していた侍達にとっては、さほど魅力がある武器ではなくなります。

もうひとつ、小規模な戦闘では首の数よりは誰の首を獲るかが重要なので弩のような無差別に大量の矢を飛ばす兵器は出番が少なくなりました。

逆に長い間、歩兵を大量に動員する戦争の形態が続いていた中国では銃器が発達する15世紀まで、弩兵の活躍の場は残っていたのです。

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