大人気春秋戦国時代漫画キングダム、いよいよ鄴攻めも終わりに近づいてきましたがすでに作者も忘れてしまったかのような秦軍の絶食状態は未だ解決していません。今回の戦いは鄴を守り切れるか落とせるかがキーポイントですが、食料がない秦の場合、仮に鄴を落とせても桓騎軍が城を維持する事が出来ない弱点があります。
そこで、どうしてもどこからか食糧を持ってくる必要があるのですが、今回は咸陽から太行山脈を越えて昌平君が食糧を持ってくるケースを考えます。
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この記事の目次
意外?太原までは汾水を利用して楽々
咸陽から鄴までは軽く千キロを超える道のりです。これだけの距離の兵站を敷くのは至難の業だなとkawausoも考えていました。
しかし、少なくとも、太原までは重い荷物を背負い歩く必要はなさそうです。実際には、咸陽から少し移動すれば、そこからは大黄河が分岐して北と西に向かって流れています。その中の北に進む川を汾水と言い、これが太行山脈を果てしなく北上していき太原を越えて北へ向かっていきます。
つまり、太原までは汾水を使って船で移動できるので、歩いて進むよりもかなり速く到着する事が出来ると考えられます。また、キングダムでは寂しい山の中のように見える太行山脈ですが、実際には汾水を使った灌漑で富裕な都市がいくつもあり、敵さえいなければ食糧調達も含め行軍はそれなりに楽だと考えられます。
実際に鄴攻めから三十年程後に、漢の大元帥の韓信は、安邑で魏を破り平陽から太原という汾水を北上するルートを使っています。もっとも、史記には韓信が汾水を利用したとは書いていませんが、それは韓信が急ぐ必要がなかったせいなので、急ぐなら船を使ったでしょう。
問題は太原からだった!
ただ、食糧輸送はここからが大変です。太原から先は水運を利用する事が出来ず食糧は牛か馬か、或いは荷車に乗せて移動させないといけません。試みに太原から鄴まで繋がる漳水に一番近い合漳郷まで移動するとなると移動距離は432キロになります。
当時の補給部隊が一日に進める距離は、二十里でキロメートルに直すと8キロにしかなりません。つまり、補給部隊が毎日8キロずつ移動したとしても鄴を包囲する桓騎軍に食糧を届けるまでには、54日かかる計算になります。
邯鄲の近くにあると推定される朱海平原は、それよりは多少早いでしょうが、それでも40日はかかるのではないかと思います。只今、朱海平原の戦いは十五日目ですから、例え戦い初日から昌平君が咸陽を出発していたとしても、あと25日経過しないと、ご飯は食べられないという事になります。
さらに昌平君は、その途中で要塞として強化された黒羊丘を攻撃して陥落させないといけないのでリアルに考えると漫画のように十五日目に補給が間に合うのは100%不可能という結論になるのです。
物理的な距離を無視してみる
中国大陸というのは尋常ではない程に広く日本人とは距離感覚がまるで違います。kawausoは昨年の11月に北京で三泊しましたが北京首都国際空港からAirportLineで移動王府井に一番近い駅で降りたものですから、そこからホテルまで30分くらいだろうと簡単に考えて、歩いていましたが歩けども、歩けどもホテルに着きません。
パンフレットの地図には、すぐそこのように描かれているんですけどね。
実際には徒歩で30分どころからタクシーで30分掛かりました。歩いていけるような場所ではとてもじゃないですが無かったのです。ガリバーでもない限りはあの地図は役に立たないなと思った次第です。
何が言いたいのかと言うと、漫画なんですから物理的な距離は無視してみようという事です。距離はとりあえず置いて、昌平君の補給部隊は有効かどうかを考えてみます。
楊端和が公孫龍を破ったのがポイント
さてここからは、物理的な距離は漫画らしくいい加減に誤魔化します。
黒羊丘は要塞化しているようですが、そこのカバーに入る予定の公孫龍の十万の軍は舜水樹と共に犬戎族を嗾けた挙句に楊端和と山の民の軍勢6万に敗れ列尾に退却しました。これにより黒羊丘の要塞に後詰の公孫龍の軍勢が無くなりました。
昌平君としても、公孫龍の十万の軍勢が背後にいては黒羊丘を落とすのは難しいでしょうが、黒羊丘には後詰はいないので、一気呵成に攻めれば落ちない事はなさそうです。おまけに橑陽は、楊端和と山の民と壁の軍勢が抑えているわけですから、さほどの抵抗なく閼与も落とせるのではないかと考えるのです。李牧は二万の軍勢を閼与に送り込んではいるようですが、その後の音信はありませんしね。
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