【キングダム考察】王翦の「ほう!」を深読みする

2019年12月16日


 

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王翦

 

キングダム625話では、(しん)がついに無想転生(むそうてんせい)を体得、背後に過去に共に戦った味方や激闘を演じた敵などが背後霊のように浮かび上がり、龐煖に強力なプレッシャーを与えました。それ以上に勝負に釘付けになっていたのは、李牧(りぼく)やカイネと言った人々、すでに田里弥(でんりみ)倉央(そうおう)の軍勢は至近距離まで接近し、部下が必死に逃げるように説得していますが、一向に逃げる様子がありません。

そんな中、様子を知った王翦が「ほう」と一言つぶやきました。以前より「ほう」と言った時には、何らかの動きを見せていた王翦、今回のほうを深読みしてみます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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前回の王翦の「ほう」

李牧

 

王翦の「ほう」には特別な意味があります。キングダム605話でも王翦は、「ほう、そういう事か」とつぶやくと、李牧の最強カウンター陣を「おこり」という一種の先読みによって撃破する事に成功しています。そこから王翦は李牧との一対一の対話に臨み、俺と共に新しい国を造ろうと呼びかけて盛大に拒否される結果に繋がっています。

王翦

 

とまれ、王翦の「ほう」はただの感想ではなく、ここから何か仕掛けまっせという合図だと考えるのが正しいでしょう。では、今回のほうで王翦は何を仕掛けるのでしょうか?

 

「李牧を生け捕り」

馬で高速移動する王翦

 

普通に考えると、本来すでに離脱すべき李牧がいまだに残っているのは王翦にとってチャンスです。李牧を捕らえてしまう事で、李牧全軍に対して降伏するように促す事が出来ます。もちろん、李牧は降伏を受け入れはしないでしょうが、軟禁(なんきん)しておいて李牧は降伏したと周辺に触れ回れば、(ぎょう)で李牧の救援が来るのを待ち望んでいる守備兵は気力が尽きて降伏する以外になくなります。捕らえられないにしても、李牧を殺せば効果は同じですし、殺せなくても指揮が執れないような負傷を与えれば、やはり秦の勝利が確定します。

亡くなる李牧

 

特に、史記との兼ね合いを考えると、殺さないまでも李牧を負傷させて退却させるというやりかたは、史実と漫画をマッチングする上で、上手いやり方ではないかと推測します。

 

キングダムネタバレ考察

 

「龐煖を殺してダメ押し」

ホウ煖(龐煖)

 

すべての策が敗れてしまった李牧にとっては、龐煖が飛信隊を抑えその間に馬南慈(ばなんじ)が王翦の本陣を襲撃して王翦を殺害するのが最期の望みでした。しかし、頼みの馬南慈と傅抵(ふてい)がしくじってしまった今は、(李牧はまだ王翦襲撃失敗を知らないと思いますが)龐煖が死ねば、もう万事休すである事は火を見るよりも明らかです。

 

そうだとすると、王翦が狙いを李牧から龐煖に切り替えて、これを飛び道具で殺害するなどすれば、李牧を討たずとも降参させる事が可能と考えるでしょう。また、龐煖が矢のような外部からの干渉で死ぬというのは、馬陽で王騎が魏加(ぎか)の矢で動きが鈍り、龐煖に遅れを取ったというエピソードの意趣返しになります。信とすれば、自らの手で討ち取ろうとした龐煖を、男の戦いに全く無理解な王翦に奪われるという形です。

ここで信が王翦に対して強力な不信感を抱くという展開も、今後漫画の中で王翦の存在感が増す上で面白い火種かも知れません。

 

龐煖より別の意味で面倒な王翦

 

龐煖が王翦の横槍で倒されると言うのは、王騎が李牧という趙の名将の台頭により狩られる羽目になったという漫画の史実に重なる事でもあります。全くのワカランチーノで死んでしまった龐煖に対し信は「王翦将軍、何故なんだ?」と憤ると思いますが、絶対に勝てる戦にしか興味がない王翦には、その問い自体が無意味でしょう。王翦の戦争における方針は、一言で言えば「どんな卑怯な手を使おうと勝てばよかろうなのだ」です。しかも、そのスタンスはJojo第二部に出てきたカーズと同じで

 

できるだけ汗をかかず危険を最小限にし!バクチをさけ!戦いの駒を一手一手動かす、それが「真の戦闘」だッ───っ!!

 

これに尽きます。そして、これこそ名将の資質と合致するものです。何故なら味方の被害を最小限度に留め、敵を殲滅する知略を持つものこそ名将だからです。しかし、そこには王騎が目指した血湧き肉躍る、男達の命のやり取りのロマンはありません。

 

ぶつかり合いの中で、死んでいくライバルの思いも背負っていく信タイプの武将には王翦の計画的な殺戮(さつりく)は相容れないでしょうし、それは、純粋に自らも死ぬ覚悟をした上で強者を葬り武神を目指した龐煖の志に比べても無味乾燥です。信は龐煖没後にこの無味乾燥で完璧なる殺戮マシーンである王翦と関わっていく事になるわけです。

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