織田信長が本能寺の変で死んでいなければ日本史はどうなっていた?スペインと同盟を結んでいた?

2020年3月12日


 

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織田信長

 

日本史の超有名人物、織田信長(おだのぶなが)。その人となりを現代に伝える文献が、有名な『信長公記(しんちょうこうき
)
』となります。ですがこれが書かれるよりも前、信長本人が三十代という時期に、「織田信長とはどんな政治家か」という情報を詳細に集めていた国が西欧にあったことをご存知でしょうか?

 

海上での戦い(地図と本)

 

中南米を手中に収め、さらなる世界制覇の夢に燃えていた十六世紀の大帝国、スペインです。時の世界帝国にとって、織田信長とはどういうふうに見えていたのでしょうか?

 

本能寺の変の織田信長

 

そしてもし「本能寺の変」がなかったら、日本史は、いや世界史は、どのようになっていたのでしょうか?

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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宣教師たちは布教に来ていただけではない?スペインの「情報機関」としてのイエズス会

宣教師 ルイスフロイス

 

織田信長に直接面会し、その人となりに触れ、「尾張(おわり)の国王であるノブナガは若いが優秀な人物で、きっと助けになる!」とスペイン本国に推薦していたのは、イエズス会の宣教師ルイス=フロイスです。このイエズス会というのは、単なるキリスト教の布教団体というだけではありません。

セミナリオ(教会)

 

宗教改革に吹き荒れる当時のヨーロッパで、カソリック圏のリーダーたらんと燃えるスペインとしっかり結びついた、政治的な意義もある集団でした。その証拠に、イエズス会の創始者であるロヨラは軍人の出身です。彼は、まさに軍隊で教わった階級制や報告・連絡のシステムを応用して、イエズス会を結成しました。

ルイス・フロイス

 

宣教師たちを、南米の奥地や太平洋の島々やインドの奥地にまで派遣し、彼らからあがってくる情報を集積することで、カソリック圏のリーダー格であるスペインの国益にも貢献していたという背景があります。今風にいえば、イエズス会は、宗教団体の体裁をとりつつも半ばスペイン国家公認の「情報機関」というところでしょうか。

 

「織田信長はヨーロッパ型の専制君主となり得る人物」と高評価!

南蛮胴を身に着けた織田信長

 

そのイエズス会から日本に派遣されたルイス=フロイスも、自分がやるべき役目をよく理解していたようでした。信長に会った時も、彼はキリスト教の布教という宗教問題をいきなり持ち出そうとはしませんでした。あくまで西欧の諸事情や技術のことを話題に持ち出し、信長の眼を海外に開かせようとしていた模様です。

 

天下布武を唱える織田信長

 

どうもルイス=フロイスとしては、「キリスト教の話はずっと後でもよい、まずはこの織田信長に日本国王になってもらい、カソリック圏(特にスペイン)の東アジアにおける有力な友好国になってもらうのが先だ」と現実的な路線をとっていたフシがあります。ルイス=フロイスの見立てはアタリでした。意気投合した織田信長は、西欧の事情や技術にたいへんな興味を持ち、スイスイと知識を吸収していきます。

 

織田信長の側近になる弥助

 

ルイス=フロイスとしても、このような人物を発見したことをとても喜んでいたようで、本国に対して「ノブナガは日本の大名たちに絶対服従を求め、実際にそのような支配体制ができあがりつつある。彼はヨーロッパの強国の専制君主のような人物に大成するだろう」と熱く推薦していたようです。

 

もし本能寺の変が起こらなければ、日本は「鎖国」とはまったく反対のグローバル国家になっていた?

馬に乗って戦う若き織田信長

 

その後の織田信長は、ルイス=フロイスの期待通りか、あるいはそれ以上の勢いで「日本の国」への道を進んでいきます。ところが、織田信長本人にもイエズス会の宣教師たちにも、まったく誤算としか言いようのない事件が起こりました。

 

燃える本能寺

 

「本能寺の変」です。

 

豊臣秀吉 戦国時代

 

ここで織田信長が急死した後、天下人となった豊臣秀吉(とよとみひでよし)は、宣教師たちには冷たい存在でした。

 

徳川家康

 

さらにその後に天下統一を成し遂げた徳川家康(とくがわいえやす
)
とその一族は、いわゆる鎖国体制へと舵を切っていきます。

 

もし「本能寺の変」が起こらなかったら?

 

火縄銃を気に入る織田信長

 

織田信長が天下統一後にはどのような政治体制を構想していたのかは、残念ながら伝わっておりませんが、彼の言動からして、「鎖国」ではなく、世界情勢を常に分析しながら進んでいくグローバル主義の国家運営をとったのではないでしょうか。おそらくは「アジアの中の強国」としての地位を固めて、西欧列強に支配されるのではなく、対等な交渉相手と見られるような国づくりを目指したのではないでしょうか。

 

資金が豊富な織田信長

 

いわゆる「富国強兵(ふこくきょうへい
)
」で西欧列強についていこうとがんばった幕末明治日本の構想を、三百年ほど先取りした発想だったことになります。またルイス=フロイスたちとの交流路線のままで進んでいたとしたら、ちょうど東南アジアや南太平洋にも植民地を作り始めていたスペイン帝国と連携を取り、アジアにおける世界戦略を左右するキープレイヤーになる道をとっていたかもしれません。

 

鼓膜が破れる程声がデカい織田信長

 

つまり、アジアにおけるスペイン帝国の同盟者としての道を選んだかもしれない!織田家率いる日本がスペイン帝国と大同盟をしていたら、日本史だけでなく、世界史も大きく変わったのではないでしょうか?

 

イギリスの国旗を背景とした艦隊

 

さらにアジアに強力な仲間を見つけたスペインが、起死回生の復活を成し遂げ、その後の「イギリスにコテンパンに食いつくされていくスペインの没落時代」もなかったかもしれません!

大学と東京五輪の連携学生の通訳ボランティア いだてん

 

現代のグローバル言語は、英語ではなく、スペイン語だったかもしれませんね!

 

まとめ:そうはいってもやはり「本能寺の変」は必然だった?あまりにも過激すぎた信長の構想

本能寺の変で「是非に及ばず」と切り替えの早い織田信長a

 

織田信長がもし生きていたら、日本はこんなふうになっていたろう、あんなふうになっていたろうと想像するのは、歴史ファンにとって楽しいことですね。それだけの強烈な存在感が、織田信長にあるからと言えるでしょう。

 

本能寺の変で「是非に及ばず」と切り替えの早い織田信長b

 

ですがいっぽうで、冷静に考えると、「それほどまでに日本史上でも傑出した個性」だったからこそ、本能寺の変における急死を招いた、という見方もできます。

 

織田信長を裏切り謀反を起こす荒木村重

 

あるいは、これほどスケールの桁違いな人物は、「『本能寺の変』がなかったとしても、別のタイミングで別の誰かに殺されていたのでは?」というあたりでしょうか。

 

戦国ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

織田信長の覇業が完成しなかったことも、そして徳川家康という「日本人らしい」政治家が最終的には成功したのも、もしかしたら「日本史の必然」といえるのかもしれませんね。

 

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とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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