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この記事の目次
キングダム642話ネタバレ予想「王翦と軍功地主」
当時、どの程度、軍功地主が増え欲に塗れていたかは、始皇帝に楚の項燕の討伐を命じられ60万の大軍を預けられた王翦が、始皇帝の警戒心を解くために何度も美田や邸宅を褒美に求めた故事に表れています。
これが浅ましい行為として始皇帝に映れば、自分には野心などなく物欲に拘泥する小者だと証明するPRになると王翦は考えたのですが、それは裏返すと美田や邸宅を褒美に求める軍功地主が当時は非常に多かった事を裏付けます。そして同時に漫画と違い、史実の王翦は貴族ではなく元々は、流れ者の軍功地主であった事も分るのです。
キングダム642話ネタバレ予想「暴虐な軍功地主が六国の憎悪を煽る」
軍功地主には、庶民からの成り上がり者が多くいました。この連中は若い頃から、ほとんどを戦地で過ごし常識も非常識も全て戦場の尺度であり、ガラが悪く残酷で任地でも凶暴な振る舞いをして、憎まれているものも大勢いました。キングダムでも、戦勝者の権利として乱暴を働き、李信に制裁された乱銅という男がいましたが、あれは蒙驁配下の千人将で兵卒ではありません。
李信は軍功地主では真面目まともな部類ですが、秦では戦場が広がった分は動員兵力も増えて、乱銅のような軍功地主も多くいたのです。始皇帝の中華統一後は、そんな乱暴な軍功地主が各地で横暴な振る舞いをし、戦争で敗北し劣等感に苛まれた旧六国の人々に激しく恨まれました。
キングダム642話ネタバレ予想「軍功地主の処分ができない秦」
本来なら、このような横暴な軍功地主は処罰すべきでした。しかし、急激に領地を広げた秦は各地から上る不満にほとんど対応できない状態であり、このような不満を解消できません。もう一つは、このような軍功地主こそが、秦の軍隊の強さの秘密であり、ここにメスをいれてしまうと士気が低下し、反乱軍に対して対応が遅れてしまうというジレンマも秦は抱えていました。
処置が遅れる間に始皇帝は没し二世皇帝胡亥が即位すると、さらに求心力は低下し、六国の人民は秦を見限り反乱に身を投じたのです。
キングダム642話ネタバレ予想「強国秦は強い軍隊のせいで滅んだ」
始皇帝の失敗と言うと、万里の長城や阿房宮、驪山陵などの大規模な公共事業への人民の使役がありますが、その裏には、軍功地主というトラブルメーカーに対する処置の誤りがあったのです。これは、何も秦だけではなく、統一を成し遂げた国においては用が無くなった兵力の処置に四苦八苦するものですが、始皇帝は思い切った事が出来なかったんですね。
極論してしまうと、秦は李信のような低い身分の人間を軍功地主として活用する事で、中華統一し、その処置を誤り滅亡したとも言えます。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
国の統一までは、ミルクボーイのネタじゃないですが、兵力はいくらあってもいいのです。しかし、統一した途端に国防に必要な分以外は、全て無用の長物になります。
こうしてあぶれた兵士が喰う為に賊になったり、反乱を起こしたりして、今度は政権に討伐される側になるのです。中には諦めて帰農する人もいたでしょうが、戦場の倫理で生きている兵士には酷な話でもあったでしょうね。
参考文献:始皇帝中華統一の思想 「キングダム」で解く中国大陸の謎
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