kawausoの世代は、毎回風呂に入っているキャラといえば、ドラえもんの登場人物しずかちゃんであり、さらにはかなりの高確率でのび太とドラえもんにのぞかれていました。しかし、キングダムで毎回風呂に入っているキャラといえば、趙の悼襄王でしょう。
邯鄲の守護神扈輒にもフランクに「クソ」と呼ばれている安定のバカ王ですが、一体、どうしてオフ王は毎回入浴しているのでしょうか?おふゥ・・
この記事の目次
キングダム644話ネタバレ予想vol2「悼襄王は治療の為に薬湯に入っている」
中国では、殷の時代の甲骨文にすでに「浴」という漢字が登場しているそうです。元々、浴とは沐浴で廟で祈りを捧げる前に禊のために水浴するという意味でした。それが、やがて湯に入り体を温めつつ、汚れを洗い落とすという意味に変化しました。
時代は下って紀元前2世紀、「五十二病方」という医学書が書かれます。これは1973年に出土した馬王堆の古墳から出土したものですが、この中に薬浴が出てきます。
つまり、この当時には風呂に薬草を入れて入浴するという習慣があった事が分るのです。キングダムの時代は馬王堆古墳の時代の100年程前ですが、文化や習慣の変化の速度を考えると時代的に同時代と言ってもよいでしょう。
そこで思い当たるのは、悼襄王が病弱であるという事実です。
オフ王は生来のひねくれではなく体が弱く将来を悲観して捨て鉢になった設定なので、実はあの大きな大浴場には各種の薬草が投じられていてお湯には色がついているかも知れません。
キングダム644話ネタバレ予想vol2「薬湯治療の方法は?」
では、薬湯ではどんな治療が行われたのでしょうか?五十二病方には、以下のようにあります。
①脛の傷が膿んで潰れて膿が流れだしている時には、水に薬用植物を3種入れて、これを煮て湯に足をつけると治る
②疥癬(皮膚病)の場合には、桃の葉を水に入れて3回煮て湯にする。
五十二病方には、247種類の薬用植物が出てくるようで、外用としての使用法は薬浴以外にも、貼り薬、燻して吸引、蒸気にして体に浴びる、薬物を粉末にして炒って患部に当てるという熨法やマッサージがあるようです。
しかし中には、陳棄薬のように、古くなったむしろや動物の糞尿を用いるという明らかに病気が悪くなりそうな処方もあるのでアレなんですが、、
また、周の時代には、端午の節句の5月5日にヨモギ湯に入る事が広く民間にも普及し、1年の特定月に沐浴し、5月に香りのいい植物を煎じて沐浴する事が行われ宮廷においては、香り豊かな植物を袋に入れて池につけ、冬でも一定の温度に池を温めて入浴を楽しんだそうで、温水浴とも言っていました。
このように見ていくと、薬湯はキングダムの時代にはポピュラーであり、オフ王が病気治療の一環として、年中お風呂に入っている可能性も出てくるのです。
キングダム644話ネタバレ予想vol2「あんなに豪華な風呂があったの?」
さて、キングダムの時代に薬湯に入る習慣があったという事は分かりましたが、今から2300年も前に、オフ王が入浴しているような豪華な風呂があったのでしょうか?
古代のローマは日本同様の火山国で公衆浴場が発展していましたが、中国はどうだったのか?
その疑問については、2017年の11月6日に中国の考古学者が、西安付近の秦漢時代の櫟陽遺跡から戦国時代の秦国王・后妃の浴室を発見していて、そこから分かります。この浴室は王と妃用なのか2つに分かれており、バスタブも壁も立派な磚(煉瓦)で覆われていた事が分かっています。
浴槽の底には穴が開いていて、そこから陶器製のパイプが外に伸び、排水も万全になっています。浴室には暖炉もついていて、恐らくはサウナ、さらには浴槽に注ぐ湯を沸かしていたのかも知れません。
規模としては、国王や妃のプライベートな浴室だけありそれほど大きくはありませんが、排水施設の万全さを考えると、大衆浴場のような大きさの浴室も出来たかも知れません。そうだとすれば、悼襄王の豪華な風呂も絵空事とは言えないのです。
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