孫子曰く、城を攻めるは、もっとも下策と言われるように、城攻めは攻撃サイドに取って最悪の選択と考えられていました。通常は、攻城兵器を推し立てて、損害を回避しながら戦うのですが、そんな余裕もない時、攻撃サイドは、直接城壁によじ登って大損害覚悟で、戦う事になります、このような戦法を蟻傅(ぎふ)と言います。
蟻傅の意味は、蟻(アリ)のように傅(くっつく)であり、城壁に張り付いて、よじのぼる兵士をそのまま表現した言葉でした。これに対して迎え撃つ側は、防御兵器を駆使するのですが、もっとも使われた兵器が、私達にも馴染み深いウ○チだったのです。
打撃兵器より、ずっと有効だった液体兵器
城壁をよじのぼろうとする敵兵に対して、有効な武器には弩や投石などがありますが登ってくる兵士もバカではないので、武装くらいはしています。このような場合には弩は鎧に阻まれて効かない場合もありますし、石であったとしても、打撃が軽減されて敵兵が落ちない可能性もありました。そこで、より有効とされたのが液体兵器で、熱湯や溶かした金属などを城壁の上から敵兵にぶっかけたのです。
液体は、鎧の隙間から皮膚に入るので、打撃兵器よりは遥かに効果が高く大火傷を負った敵兵は、城壁をよじ登るどころではなくなります。また、火傷は傷の中で、治りにくい部類に入り戦線復帰も時間がかかりました。不衛生な戦場では、火傷が化膿して死ぬ確率も高いので、防御サイドとしては、液体兵器は非常に有効だったわけです。
資源に限りがある液体兵器そこで・・
このように液体兵器は非常に有効でしたが、攻城戦をしている城は大体包囲されており外からの物資を遮断されている事が多いので、金属や水では資源が枯渇する恐れがあり長期の戦争になると使えない事になりました。
そこで、注目されたのが、誰でも生産できる液体兵器ウンコでした。城内に兵が居る間は、ウンコは枯渇する恐れはないですし、使い道とすれば、肥料くらいなので、戦争中は用途がありません。という事でウンコは、幾らでも補充がきく万能兵器として活用されたのです。
阿鼻叫喚 煮えたぎるウンコが降り注ぐ地獄の戦場
ウンコは、大鍋に入れられ、下からガンガンに火で焚かれて、煮えたぎる最強の液体兵器として、攻撃サイドの兵士にぶちまけられました。これはもう地獄です、猛烈な臭いですし、まともに被れば火傷しますし、ウンコはかなり滑るので、敵兵はウンコ塗れで城壁を登る為に悪戦苦闘したのです。
もちろん、ウンコばかりではなく、小便も煮詰めてぶちまけられます。激戦となれば、城壁の周辺はウンコとシッコだらけだった事になります。三国志映画などでは攻城戦が描かれる事もあるのですが、どこまでも、ビジュアルの問題で、そんな汚いシーンが描かれる事はありません。
しかし、本当の戦場では大量のウンコとシッコがばら撒かれる阿鼻叫喚の地獄絵図が、展開したであろう事は想像に難くないのです。攻撃サイドの兵士は、一旦休戦となっても、ずーっとウンコ塗れで臭いまま、食事も睡眠もとらないといけないわけです。なんで、命掛けの戦いをしながら、ウンコまでぶつけられるのか?これだと違う意味で「戦争反対」と言いたくなりますね。
三国志ライターkawausoの独り言
三国志では、大軍で移動する時に、もっとも悩んだのはウンコの処理でした。大軍が一か所に留まると、どうしても排泄物の処理が行き詰まり、伝染病の原因となったのです、これは公害ならぬ黄害でした。逆に考えれば、城内では、ウンコやシッコを処理しつつ戦いにも、利用できる液体兵器は、一石二鳥だったと言えるかも知れませんね。
参考:三国志軍事ガイド 著篠田耕一 166P
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