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もし許褚が曹操に仕えず独自の武道を築いたら?秘められた拳法の謎

2024年9月14日


 

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水滸伝 武松

 

三国志ファンの皆様。突然ですが、東洋の武道って、恰好よいと思いませんか?

 

水滸伝の武松

 

私自身がカンフー映画などを、子供の時にテレビなどで観て喜んでいた人間です。そんな人間が、三国志を読んでいて思うこと。そういえば、「体術系」の武将って、三国志にはいませんよね?

 

陳武

 

みんな、剣や矛を持っていますよね。殴打や蹴りで敵将を討ち取る武将なんて、いませんよね?

 

水滸伝の武松

 

そんなことを考えていた時に、ふと、思いついたことがあります。三国志の時代に、体術を中心に活躍する武将がいたら、面白くないですか?のみならず、その武将が切り開いた武道が、後世にまで影響を与える「中国拳法の重要な一流派」になったら、面白くないですか?

正史三国志_書類

 

私がこんなことを言いだしたのも、史実に近いとされている『正史三国志』の記述を読んだ際に、「この人は、ぜったい、武道家が向いていたのではないか?いや、武道家として生涯を過ごしたほうが歴史に大きな名前を残せたのではないか?」と思える人物がいたからです。

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

それは誰かといいますと?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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『正史』で伝えられている内容だけでも十分規格外な許褚!

許チョ(許褚)

 

はい、この御方です。許褚(きょちょ)。字を仲康(ちゅうこう)曹操(そうそう)に仕え、特にそのボディガードのように、身辺を警護していた人物です。

 

馬超 vs 許褚

 

この許褚という人物、馬超(ばちょう)軍との戦いにおいては、船にすがってきた兵士を剣でなで斬りにしている描写があります。つまり、別に体術家ではなく、戦時においては武器を使っていた人物のようですね。まぁ、それが普通ですが。

 

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志(本)書類

 

しかし!この人物の伝記を、よく読むと、体力と腕力が、とにかく、異常なのです!もしかしたら、この人物は、帯刀して曹操の側に仕えるより、武道家として生きたほうが、才能があったのではないでしょうか?

 

 

許褚が「武道家」に向いていたことを示すこれだけの史実!

西遊記巻物 書物_書類

 

その証拠に、以下のエピソードを見てください。『正史三国志』の記述ですが、まるで、規格外な武道家エピソードのように読めないでしょうか?

 

許チョ(許褚)

 

・昔の許褚は女子供を含めた平民たちを引き連れて砦を築き、山賊集団と抗争をしていた。そのとき、素手で石を投げつけただけで、山賊たちを続々と打ち倒している

・その山賊に対して和解の交渉をした際、許褚は暴れ牛のしっぽを片手で掴み、ずるずると腕力で引っ張って贈り物として持ってきた。これを見た山賊たちのほうが、腰を抜かして逃げた

・ある戦で曹操がピンチに陥った際、川に浮かべた船に曹操をのせて、右手で船を漕いで急流を乗り切ったことがある

馬超(ばちょう)と曹操が会談を持つことになった際、馬超はスキさえあれば曹操を殺してやろうと意気込んで会談の場にやってきたが、許褚にジロリと一瞥されただけで震え上がって帰っていった

 

五虎大将軍の馬超

 

最後の「馬超がおとなしくなった」というエピソードは、「馬超が勝手にビックリしただけ」という可能性もありますが、いやいや、これはきっと、本人も武勇でも名を馳せていた馬超、許褚に尋常ならざる「何か」を感じ取ったというエピソードなのでしょう!

 

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もしこんな許褚が武道の学校を開いたら?

許チョ(許褚)と曹操

 

かように、曹操のボディガードとして一生を費やすよりも、武道家として自身の並外れた身体能力を極限まで高めていったほうが面白かったのではないか、と思えるのが、許褚の凄いところ。

 

史実では許褚(許チョ)に敗れる張衛

 

あくまでイフ展開ですが、山賊を追い払った後の許褚が曹操に出会わず、そのまま地方で武道の学校を開き、門下生を集めて、一流派を築いたら、どんな武道が完成したでしょうか?

 

おそらく、その学校の訓練方法は、以下のようなものでしょう。すなわち、暴れ牛のしっぼを片手でつかまえ、引っ張る訓練。許褚は牛を百歩ほど引きずったといいますが、その弟子たちが、毎日、牛を引っ張る訓練に精を出せば、始祖の百歩という記録には遠く及ばずとも、一歩だけ引きずれた者、三歩だけ引きずれた者等々がついに登場したかもしれません!

 

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それに、許褚の武道には、カラダを鍛えて強くなることよりも、遥かに大事な教えが含まれるのです。それは、質実剛健、贅沢をせず、おごらず、ただただ朴訥と正直に生きることの奨励です。史実では曹操に仕え、徹底して素朴な忠誠心を見せた許褚。

 

三国志の武器 巣車 許チョ(許褚)

 

このイフ展開では許褚は武道の先生になってしまいますが、野心や慢心を抱かず、ひたすらに体を鍛え、あとは自然に従って正直に生きる彼の姿勢は、間違いなくこの流派の精神的な理想像として、弟子たちに伝播していくでしょう。

 

木曾義仲(源義仲)武士 鎌倉

 

そしてこの精神は、東にある島国、日本に武士が出現したとき、彼らの好みに一致するのではないでしょうか?そうなれば、なんと他のどこよりも、許褚の武道は日本で尊敬され流行するかもしれません!

 

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まとめ:流派の名前は「虎痴流」でいかがでしょう?

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そんな許褚の中国武道。名前はどうしましょうか?始祖の許褚のニックネームに倣って、「虎痴流」というのは、いかがでしょう?史実におけるこのニックネームは、「虎のように強いが、痴人のようにいつも、ぼーっとしている」許褚の生き様からついた愛称のようですが。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

しかし、これを転じて、「虎のように強健な肉体を鍛えつつ、精神はまるで痴人と間違われるほど純朴たれ」という始祖の教えとして流行らせれば!

 

許褚 三国正史 食べる

 

「虎痴流」はけっして悪いニュアンスの名前ではなく、いかにも東洋思想的な含みをもった名前として認知されるのではないでしょうか?

 

ものすごく強かった光武帝

 

そして現代のカンフー映画においても、ブルースリーやジャッキーチェンのような、俊敏なタイプの武道家ばかりでなく、許褚のような「朴訥とした大男」が主役として活躍するジャンルが、成立していたかもしれません!

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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