玉璽(ぎょくじ)というのは平たく言うと、皇帝の印鑑です。全ての公文書は、この玉璽を押して効力を発揮するので、古くから、権力の象徴として神聖視されてきました。
玉璽は何でつくられているの?
材料は、金、銀、銅、玉、と主に貴金属を用いて造られます。ランクも存在し、一番上が「璽」次は「章」最後は「印」です。日本の奴国の王に後漢の光武帝から送られた金印は、「印」で、ランクとしては一番下である事がここから分かります。その玉璽でも、最も権威が高いのが伝国の玉璽という印鑑です。これは、今から、2200年前に中国を初めて統一した。始皇帝が、霊鳥の巣から発見した玉から造り出した印鑑でした。
政権の正統性を保障する象徴のアイテム
この伝国の玉璽は、秦が滅んだ後、漢にも伝わり、政権の正統性を保障する象徴する至高のアイテムになりました。前漢が王莽の計略で滅亡する時に王莽の使者は、王政君という皇太后から、取り上げようとしました。
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王政君ブチ切れ
王政君は、自分が取り立てた王莽が、漢を滅ぼすのを恨み、「この恩知らずの悪党!!」と罵った上で、伝国の玉璽を床に叩きつけたと伝承されます。
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本物と偽物の玉璽違い
その時に、玉璽は装飾の龍の角が欠け、それが本物と偽物を見分ける方法と言われています。しかし、今、偽物と書いたように、何度も戦乱と破懐が繰り返された中国では、伝国の玉璽といえど、その保管は容易ではありません。
中国では、漢の後に、晋を経て、五胡十六国時代を経過して、南北朝期、隋、唐の時代までは何とか、存在できたそうですが、玉という宝石で造られている玉璽は美術品の価値もあり、略奪の対象になりやすく、唐の後の戦乱、五代十国時代に、行方知れずになっています。そこで、歴代の王朝は、漢の時代の伝国玉璽をモデルにして、幾つものレプリカを作成して、これを本物として主張しました。その為に現在の中国には、伝国玉璽と伝えられるものが、十数個も存在していると言われています。
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—熱き『キングダム』の原点がココに—