呉の三代目君主である孫権(そんけん)には、面白い民話が伝わっています。
孫権は、若い頃武昌にいた事がありました。
彼は、武芸にも学問にも優れていて、殆ど全ての学びを終えると
暇で仕方が無くなったので
近くにいた農夫からカボチャの栽培方法を学びました。
孫権は頑張り屋さんな性格
孫権は何事も手を抜かず、一生懸命にやる性格だったので、
自分でカボチャの種を植えると、毎日、水をやり、肥料を与えて、
カボチャの蔓が延びると、棚を造って這わせ、熱心に世話をしたので、
ぐんぐんとカボチャは育って誰にも負けない美味しいカボチャになりました。
張飛(ちょうひ)が孫権に会いに行く
そんな頃、主君劉備(りゅうび)の命令で、
張飛(ちょうひ)が孫権に会うべく呉にやってきました。
「呉君はどこにいらっしゃるのか?」と張飛が呉の家臣に聴くと
皆、「呉君は、カボチャ畑にいらっしゃる」と答えます。
張飛は、それを聞いても俄かには信じませんでした。
「呉の主ともあろう者がそんな農夫のような事をするわけがない
孫権は、俺に会いたくない理由でもあるんだろう」
張飛は、構わず、呉の方々を探し回りますが、どこに行っても孫権はいません。
実際にカボチャ畑に行ってみた
そこで、まさかと思いつつ、言われたカボチャ畑に馬を走らせました。
そこは、一面のカボチャ畑で、麦わら帽子を被った農夫が、
泥だらけになって一生懸命にカボチャを収穫しています。
「なんだ、やっぱり、ここにも孫権はいないじゃないか!
あいつら嘘つきやがって、ぶつぶつ、、」
張飛は八つ当りで、そこにあったカボチャを蛇棒でプスプスと突き刺して遊んでいます。
孫権、現る
「将軍!何をするのです、カボチャに傷をつけないでくれ!」
農夫が振り向くと、それは紛れもない孫権の姿でした。
張飛はビックリして、馬から降りて、無礼を詫びたと言われます。
孫権が育てたカボチャは、皮が薄く実が締まっていて美味しいと
評判になり、後にその土地の名産物になったそうです。
孫権のほのぼのした話
なんだか、ほのぼのした話ですが、
ストレスの強い時代を生き抜いた孫権ですから、
もしかしたら、本当に気晴らしで農業をしたのかも
知れないと思うのは私だけでしょうか?
それにしても、張飛は、龐統の時といい、孫権の時といい
劉備の代わりに、どこかに行くパターンが多いですね。