彼は病にかかっていつ亡くなってもおかしくない状態に陥ります。
そのため彼は後継者を曹芳に決め彼を補佐するための人材達も決めておりました。
しかし曹叡の側近である孫資(そんし)と劉放(りゅうほう)は、
曹叡が決めた皇帝を補佐する人事に危険を感じます。
そしてふたりはこのまま曹叡の遺言通りに人事が行われれば自らの命に危険が及ぶと考え、
ある行動を取りますがこの行動は他の人にバレれば、
即座に死刑にされかねない危険な行動でした。
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幼い皇帝を補佐する人事を知った二人
孫資と劉放は曹叡が皇帝に就任してからずっと曹叡の側近として君臨しており、
曹叡からも非常に可愛がられておりました。
そんな曹叡が瀕死の重病に陥ることになります。
曹叡は自らの命が尽きようとしていることを知ると自らの後継者に斉王・曹芳に決めます。
しかし曹芳は幼かったためにこの皇帝を補佐する人材として、
秦朗(しんろう)と燕王・曹宇(そうう)、そして夏侯一族の夏侯献(かこうけん)に決めます。
側近のふたりはこの事を知ると大いに恐ることになります。
孫資と劉放は曹叡の人事に不満
孫資と劉放は曹叡の後継者と後継者を支える人材を知ると大いに驚くとともに恐れを抱きます。
その原因は次世代の皇帝補佐に選ばれた人材達とうまくいっていなかったことです。
もしこのまま曹叡の遺言通りの人材が配置されれば、
孫資と劉放を快よく思っていない秦朗や曹宇達に粛清される可能性がありました。
そのためふたりは密談を交わしてある行動を起こすことを決めます。
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曹叡に直談判して遺命を変更させる
孫資と劉放は密談を交わしてどうすれば粛清されることなく、
次世代の皇帝にも仕えることができるのかを考えます。
その結果曹叡に直談判して遺命を変更させてしまえば粛清されることはないであろうとの結果を
導き出します。
そしてふたりは秦朗や曹宇がいない時を見計らって曹叡が伏せている部屋へ侵入します。
もし孫資と劉放の二人が秦朗や曹宇達に見つかったらすぐに処断される可能性があり、
非常に危険が迫っている状態でした。
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必死の説得
孫資と劉放は曹叡に会うとすぐに口を開きます。
彼らは「陛下。魏の政権は誰に委ねることにしたのでしょうか。」と訪ねます。
すると曹叡は「秦朗や曹宇に決めているのだが知らんのか」と答えます。
孫資は知っていながら再び口を開き「陛下。
秦朗らは陛下がご病気の時に看護をする女中達と冗談を言いながら笑い合っており、
曹宇は兵馬の権を握っていることから皇帝を気取っているような始末です。
このような状態にした彼らのせいで朝廷の内と外は連携することができず,
政治は混乱している有様です。」と述べます。
すると曹叡は怒りを顕にして
「ではお前達は誰に幼い皇帝を補佐させればいいと考えているのだ」と問いただします。
すると「曹爽(そうそう)様は優秀な人物であると噂が立っております。
また司馬仲達殿と一緒に協力させて魏の政権を運営させれば魏の政権は安泰でありましょう。」と
必死に説得します。
この説得を聞いた曹叡は満足気に頷くとすぐに詔勅(しょうちょく)を二人に下すよう命令を出します。
孫資と劉放はこうして次世代においてもなんとか生き残ることに成功します。
三国志ライター黒田レンの独り言
二人がいなくなった後、魏の政権を担う人材として曹叡に指名されていた曹肇(そうちょう)が
孫資と劉放が曹叡の部屋に入ったところを見ており、すぐに曹叡に進言。
曹肇は「陛下。司馬懿は何を考えているのか全く分からず危険な人物です」と涙を流して説得。
この説得に心を動かされた曹叡は詔勅を取りやめさせます。
曹肇は満足気に曹叡の部屋を出て行くのですが、
孫資はこの場面を目撃しておりすぐに曹叡の部屋に入って再び曹叡を説得します。
曹叡は孫資の説得に応じるのですが、詔勅を書く力もない状態でした。
そのため彼は曹叡の手を動かして「曹宇・秦朗・曹肇らの官職を解く」と詔勅を書いていきます。
この孫資の必死の行動によって曹宇・秦朗・曹肇は官職を解かれることになり、
孫資・劉放はなんとか政敵を排除することに成功するのです。
しかし自らの命を守るために行った行動が曹魏の滅亡を早めることになるとは、
この時のふたりは考えていなかったでしょう。
参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志魏書1 今鷹真・井波律子著など
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