三国志にはたくさんのユニークな武器が登場しますが長い歴史を持つ中国史には、三国志以外にも魅力的な物語がたくさんあります。もちろん、登場する武器も様々です。ここでは、三国志には登場しませんが中華世界を彩る武器をもっともっと紹介したいと思います。記事の最後には、あの有名アスリートの話題も……!?
干将と莫耶
陰陽一対の剣、干将(かんしょう)と莫耶(ばくや)は壮絶な伝説を持つ二本の剣です。干将と莫耶は夫婦剣と言われていて、干将は雄剣、莫耶は雌剣です。干将には亀甲型の装飾が施され、莫耶には波紋状の模様があります。実は干将というのは、この剣を作った刀工の名前です。王から命令を受け、この剣を作ろうとしましたが金と鉄が炉の中で溶け合わずに苦しんでいました。そこで、妻の莫耶が自らを炉に投じて犠牲になったところ剣が完成したということです。干将もその後、炉に身を投じてしまいます。
火尖槍
火尖槍(かせんそう)は、槍の形をしていますが、攻撃の仕方は槍として使うのではなく、体内の気から炎を作り出し、穂先から火を噴きだして攻撃する武器です。要するに、火炎放射器です。『西遊記』や『封神演義』に登場します。
打神鞭
打神鞭(だしんべん)は、『封神演義』に登場する主人公・姜子牙(きょうしが)の武器です。道教のえらい神様、元始天尊(げんしてんそん)から授かった鞭(べん)で、敵の精神にダメージを与えることができます。体ではなく精神にダメージ!!みなさん、気を付けてくださいっ。ヘタレライターの私は一発で再起不能になる自信があります。
ちなみに、鞭というと「むち」を思い出しますが打神鞭は鉄でできている棒状の武器で、曲がりません。本来の戦い方は、敵を防具もろとも叩き潰す打撃武器です。姜子牙は実在の人物ですが、実際の姜子牙はこのような鞭はもっていませんでした。
三尖刀
三尖刀(さんせんとう)は、長い柄の先に「山」という字に似た形の刃がついている両刃の刀です。柄も含めた長さは3メートル近くにもなる武器です。この刀は、道教の神、顕聖二郎真君(けんせいじろうしんくん)の持ち物です。顕聖二郎真君は『西遊記』や『封神演義』にも登場する神で、楊戩(ようせん)とも呼ばれます。美青年で、神犬をいつも連れているとされます。
ところで……ソチオリンピックで日本で唯一金メダルをとったフィギュアスケート男子シングルの羽生結弦選手は中国でも非常に人気が高いそうです。一部の女性たちから羽生選手は「二郎」と呼ばれ親しまれているといいます。
なぜ二郎!?と思って聞いてみたところ、これが顕聖二郎真君が由来とのことです。おつきの神犬は、まさか黄色のくまのキャラクターでしょうか……?
三尖刀を持った羽生結弦選手。はい。
どんな格好をしていても、素敵なアスリートですね!
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