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アンゴルモア元寇合戦記二巻ネタバレレビュー


 

 

日本史上最大の危機、蒙古襲来(もうこしゅうらい)、従来神風によって撃退されたと言われた戦いは、鎌倉武士(かまくらぶし)の血と汗と涙によって達成された奇跡でした。

そんな元寇(げんこう)を真正面から取り扱いアニメ化もされた、たかぎ七彦のアンゴルモア元寇合戦記は時代考証も巧みでリアリティもあり、

限界ギリギリで絶望的な戦争を戦う、主人公朽井迅三郎と仲間達の戦いが血湧き肉躍るチャンバラ冒険活劇です。

そこで、今回のはじめての三国志は、アンゴルモア元寇合戦記コミックス二巻についてのレビュー記事を掲載します。

 

※この記事はアンゴルモア元寇合戦記2巻のネタバレが含まれますのでご注意下さい。

ネタバレの核心部分については伏せて文章を構成し完全ネタバレではありません。

アンゴルモア元寇合戦記2巻のおおよそのあらすじを知りたい方は御覧下さい。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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アンゴルモア元寇合戦記 迅三郎の戦い

 

対馬を守る守護代、宗助国(そうすけくに)は80騎と200の歩兵を率いて高麗(こうらい)女真(じょしん)、蒙古の連合軍数万に挑み奮戦しますが衆寡敵せず玉砕しました。

戦闘では、助国と嫡子右馬次郎(ちゃくしうまじろう)が討ち取られ、残った対馬の兵も混乱状態になります。

圧倒的な蒙古兵に踏み潰されるかと思われた戦いですが、ここで、流人にして鎌倉の御家人、義経流(ぎけいりゅう)剣術の使い手、朽井迅三郎(くちいじんざぶろう)が登場。

 

「さあ、各々方、(きびす)を返されよ、今から蒙古の軍勢に突き入らん」

と再び反撃に転じる事を促します。

しかし、完全に負けている上に流人を見下している阿比留弥次郎(あびるやじろう)を当面の当主とする対馬勢は耳を貸そうとしません。

そこに、結局、迅三郎に同調し他人の鎧兜(よろいかぶと)に身を固めた流人の一団が合流します。

 

「我らは宗助国のように負けたりせぬぞ」

 

迅三郎はあえて対馬衆を挑発するような言葉を吐きます。

 

「今日の戦をどう終えるつもりだ?明日をどう迎えるんだ?

拙者のごとき余所者に鼓舞されなければ、その腰は立たぬか?

ならば女子相手に振っておれ!

蒙古から逃げ隠れ、島の地べたを虫のごとく死ぬまで這いまわれ」

 

 

その言葉に対馬勢は憤慨(ふんがい)します。

 

それを確認して迅三郎は不敵な笑みを浮かべます。

まだ宗氏の武士が完全に負け犬になっているわけではない事が確認できたからです。

 

「流人ごときについてくるな、おぬしらの宗家の宝、

この平知盛(たいらのとももり)の鎧に遅れぬようについてこい」

 

迅三郎についてきたのは対馬衆の三分の一、それに流人達です。

追撃してきた蒙古は千人ですが、手柄を焦って縦に伸び切っていました。

ここに迅三郎は矢のように突き刺さっていきます。

流人の中でも元御家人の白石和久(しらいしかずひさ)男衾三郎(おぶすまさぶろう)は、かなりの手練れで蒙古兵を斬り倒しながら本陣目がけて突進していきました。

 

蒙古の千人将は、敵の動きを警戒して、伸び切った兵を下げて敵を包み込んで殺してしまおうとしますが迅三郎の速さに対応できず、

逆に陣を乱してしまいます。

迅三郎はその隙を見逃さず、千人将を斬り、敵に奪われた宗助国と右馬次郎の首級を奪い返して戻ってきました。

 

 

 

アンゴルモア元寇合戦記 迅三郎の過去

 

蒙古勢に一撃を加えた迅三郎の一行は、佐須村(さすむら)のあちこちにある洞穴に身を潜めます。

ここは、海に背を向ける形で穴が開いているので、煙を立てても敵には気付かれにくいメリットがあるのです。

 

しかし、洞窟には武士だけではなく、村を蒙古に襲われ家族と一切の財産を失った佐須村の村人も多く避難していました。

 

流人として迅三郎と共に戦った白石和久は

「今は勝ったが、村人はどうする?このまま置いておけば明日には蒙古に見つかり皆殺しにされよう」と尋ねました。

 

それに対して迅三郎は「それは我らの預かりしらぬ事」と突っぱねます。

白石は「それは確かにそうだが」と言いつつ、かつて自身にも九州に二人の妻と七人の子がいたので村人達に重なり

他人事とは思えなかったとつぶやきました。

 

白石は顔の半分をヒゲで覆った屈強な武士ですが情に厚い性質のようです。

ただ流人に落ちた関係で、自分の甘さに辟易(へきえき)しその性質に蓋をして猜疑心(さいぎしん)を強くしていますが・・

 

ここで白石が迅三郎にお主、鎌倉に妻子はいないのか?と水を向けられた事で謎に包まれた迅三郎の過去が語られます。

 

迅三郎には、最も多い時に四人の妻がいたようです。

これは迅三郎が望んだのではなく、地縁血縁を放置しておく間にどんどん増えていよいよ面倒になったので、整理して一人にしたという話でした。

そして、子供は一人、女の子がいた事も回想で語られます。

ここで語られる渋柿(しぶがき)の話は、殺伐とした場面が多いアンゴルモア元寇合戦記でも数少ないほのぼのする内容です。

それは是非、アンゴルモア元寇合戦記二巻でご確認下さい。

 

ここで輝日姫(てるひひめ)が流人達の洞窟に干し(いい)を持ってやってきます。

輝日は、キツいイメージがある美少女ですが、素の部分は領民と傷ついた武士を思う優しい所があります。

同時に、洞窟に避難した佐須の村人に対し、ここでは防ぎきれないので国府に今晩中に移動するように命じました。

 

国府というのは、対馬の地頭代、宗氏の屋敷と行政庁がある場所でありここには攻撃に参加せず留守に残った武士も待機しています。

少なくとも防御設備さえない佐須の山の中よりは安全でした。

 

しかし、村人たちは疲れ果て、乗り気ではありません。

そして、自分達を守れず蒙古に敗北した輝日姫に不満をぶつけますが、佐須村の長老は率先して立ちました。

「全てを失ったわけではない、わしら一人一人が佐須村だ、生きてさえいれば、再び、佐須に戻り村を立て直す事も出来る」

こうして、村人達は渋々立ち上がりました。

 

ここで、洞窟の奥から物音がしました、敵襲か?と訝しみ臨戦態勢を整えた流人達と対馬衆ですが、そこから現れたのは鬼剛丸(おにたけまる)でした。

鬼剛丸は元は海賊で、迅三郎に捕えられた因縁がありますが、同じく流人として対馬に流されていたのです。

 

しかし、山で迷っていたという鬼剛丸は、そこで異形の集団に遭遇していました。

それが、刀伊祓(といばらい)と呼ばれる奈良時代より対馬の防備の為に中央から派遣された防人(さきもり)の末裔達でした。

 

アンゴルモア合戦記の特集

 

アンゴルモア元寇合戦記 夜襲

 

刀伊祓の首領は長嶺判官(ながみねはんがん)という男ですが、必ずしも対馬の宗氏と協力関係というわけではないようです。

長嶺判官は、迅三郎を対馬に来た時から知っており、その戦いぶりも見物していたと言いました。

そして、迅三郎を彼らが主と仰ぐ、さる人物と合わせたいと提案します。

その人物の判断を待ち、対馬の衆と協働するか決めるというのです。

さる人物とは日本史上にも名前が記録される人物ですが、それが誰であるかはアンゴルモア元寇合戦記二巻で確認して下さい。

 

ところが迅三郎は判官の提案に偽物かも知れないし信用できないと言い放ち同行を拒否。

蒙古に今夜夜襲を掛けるので、月が中天に達したら起こせと言います。

そして、佐須の村人に誰か道案内できないか?と提案しました。

 

村人も輝日姫も、今から国府に逃げようという時に逆に夜襲など無謀と反対します。

ですが、迅三郎はこちらの事情を知らない敵がもっとも嫌がるのは夜襲だと言いここで打撃を与えておけば、蒙古は用心して進軍が鈍ると主張

 

「やつらに知らしめよ、ネズミも猫を噛み殺すのだと」

と檄を飛ばします。

 

それに対し佐須村から蒙古に家族を人質に取られた銀七(ぎんしち)等数名が道案内を志願、迅三郎は、許可し「何か食っておけ」と指示すると

木にもたれかかりいびきをかきながら寝てしまいました。

 

そんな迅三郎の戦好きとしか思えない言動に輝日姫は不安を覚えます。

この男の中には戦しかない、放置すれば、皆を地獄まで引っ張っていくのではないか?

いっそ、今、この場で寝首をかいておくべきか

 

ここで、輝日姫は17歳の娘とは思えないムフフで大胆な行動に出ます。

それが何かは、アンゴルモア元寇合戦記二巻で確認して下さい。

 

月が中天に輝いた時、迅三郎は起き出して夜襲の人員を集めます。

 

そして、夜襲の目的が蒙古の足を遅らせる事であり、奴らの目的は九州なのだから、いつまでも対馬にこだわりはしないので

出来るだけ時間を稼ぎ女子供や武士も含めて島の最奥に隠れて蒙古をやり過ごすのが真意だと告げます。

 

迅三郎の真意を聴き、ホッとする輝日姫がいます。

微妙に揺れる乙女心、誰だって自分が好きになった相手が戦しか頭にない殺戮(さつりく)マシーンだと思いたくないですからね。

 

夜襲に参加するのは、道案内の佐須村の3名を入れて64名、白石や輝日姫も参加していますが、男衾三郎(おぶすまさぶろう)はどこかに姿を消しました。

絶望的な戦力差ですが、昼間の迅三郎の超人的な武勇もあり、それぞれの士気は高いままです。

 

迅三郎は、夜目が利く少年、阿無志(あむし)に蒙古の偵察をさせていました。

その報告によると、蒙古は夜襲を恐れ兵士の大半は船で寝て、浜にいるのは千人程度だそうです。

 

「思った通りだ」と迅三郎は笑みを浮かべます。

それでも、64対1000人なのですが、勝算があると踏んでいます。

 

しかし、村人の案内で闇夜を進んで、あと僅かで蒙古の陣営という時に、道案内をしていた村人は夜襲と叫びながら蒙古の陣営に逃げ込みます。

そう、村人は蒙古に捕まり、家族の命が惜しければ、夜襲をかける敵兵について道案内し同時に敵将を討てと(おど)されていたのです。

 

そして、迅三郎の背後にいた銀七が、不意を突いて迅三郎に斬りかかろうとしました。

輝日姫はそれを阻止しようと声を挙げ、逆に銀七に斬られてしまいます。

迅三郎は銀七を刺し殺すと、輝日姫の手当を任せ、蒙古の陣営に突進、矢が雨あられと降ってくる中で決戦を開始しました。

 

アンゴルモア元寇合戦記 刀伊祓の加勢

 

蒙古兵に襲い掛かる迅三郎等、64名の決死隊は迅三郎及び、鬼剛丸の武勇により優勢に戦いを続けます。

こうして、一定の戦果を挙げた後、迅三郎は引き上げの命令を出します。

飽くまでも夜襲は敵に心理的な圧力を与える為のもので相手が本気になれば、千人に64人は踏み潰されてしまうでしょう。

 

しかし、ここで決死隊の一人が捕らえられた女子供の聴きます。

どうやら奇襲を避けて村人を大船に乗せかえて蒙古に連れ帰る途中のようです。

 

「今なら、間に合う、サッと行って女どもを救いましょうぜ」

 

決死隊は言います。

 

ですが、迅三郎は許可を出しません、そんな事をすれば逃げる時間が稼げない。

救った所で蒙古兵が本気になれば袋のネズミになると言うのです。

 

「フッ、一時は熱を持っていると思ったが、やはり乾いた男だ」

 

近くで戦っていた白石和久は思いました。

ところがここで、鳳凰の旗を掲げる一団が出現、蒙古兵に対して弩の一斉射撃を浴びせます。

刀伊祓の長嶺判官の軍勢、150名でした。

 

「150名か、少ないがこれでもう少し時が稼げる、、さぁ、者共、波打ち際まで駆けろ」

 

こうして、時間の猶予を得た決死隊は波打ち際に殺到して蒙古兵を斬り、拉致された女子供の救出を開始します。

しかし、そこに、新たな強敵が現れます、それは、蒙古遠征軍の東征左副都元帥(とうせいさふくとげんすい)女真族(じょしんぞく)劉復亨(りゅうふくこう)でした。

僅かな手勢で蒙古の千人将の首を獲った迅三郎の噂を聞き、わざわざ高麗の船まで尋ねてきていたのです。

※実際の劉復亨は中国人武将なので、女真人という設定は漫画の創作のようです。

 

※以後三巻ネタバレに続きます。

 

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はじめての孫子の兵法

 

 

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