麒麟がくる第二話は、隣国尾張の織田信秀が二万の大軍を率いて美濃との国境沿いにまで、兵を集結させる所から始まります。ようやく京都から名医の望月東庵と駒を連れていたのに、いきなり大掛かりな戦の仕度をしないといけない羽目になる明智十兵衛光秀。
今回も、主君の明智ならぬドケチ利政(斎藤道三)に理不尽な要求を吹っ掛けられそうです。では、第二回目の麒麟がきたのはじまり、はじまり
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この記事の目次
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「ドケチ利政、旅費を半分返せと迫る」
稲葉山城にやってきた十兵衛は、戦仕度を済ませた叔父の明智光安と出会います。無事に帰ってきた挨拶を済ますと、光安は安堵し嬉しそうな顔をしますが、次の瞬間には緊張した面持ちに戻ります。
その理由は、美濃の国人衆の兵力の集まりが悪いという事でした。織田軍二万に対し、斎藤利政に味方するのは僅かに四千、、五倍の兵力差で利政は機嫌が悪いと光安は告げます。しかし、そんな事は知った事ではない十兵衛、光安と共に利政に挨拶に向かいます。
低い声で謡を口ずさんでいた利政は、すでに機嫌を直していました。そして、
「敵を知り己を知れば、100回戦っても負けないとか何とか言った人間がいたな、誰じゃ?」と光秀と光安に問いを投げかけます。
名前が出て来ず、困った顔をする光安の横で十兵衛はそれは孫子であると答え、彼を知り己を知れば百戦危うからずと孫子の兵法を引いて答えます。
利政は「そう、それよ!」と口走り、わしはいつでも孫子の言った通りに勝ち抜いてきたと言い、信秀の事は夜の営みの事まで知っている、あいつは金持ちだが人望がない、今回の二万の兵力だって金で集めたか、義理で従っている連中だけで士気は低い、戦は兵力ではないという事を思い知らせてやろうと豪語します。
その後、十兵衛は、利政が所望した鉄砲を渡し、同時に見聞してきた堺がいかに豊かで繁栄していたかを語り、美濃もそのようにしたいものだと希望を語ります。それに対し、利政も美濃が豊かになれば、余計な戦をせんで済むと呟きました。
(ただの強欲なケチかと思えば、そうではないのだな)と十兵衛が感心していると
「すぐにとは言わぬが、旅費を半分返せよ」と利政が口走ります。
はあ?と十兵衛が呆れていると、
「皆、やったわけではないぞ、金がないと言ったゆえに貸したのだ」と利政。
なんてケチだと思いますが、実は第一話で、利政は旅費をすべて出すとは言ってなく十兵衛にも「お前蓄えはあるのか?」と聞いているので最初から全額出す気はなかったようです。
しかし、それほど裕福でもない明智家に借金返済の目途がない事を見透かしてか、利政は、此度の戦いで敵の侍大将の首を二つ獲ったらチャラにしてやると約束しました。
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「金の亡者になる十兵衛光秀」
いきなり多額の借金を主君に対して背負った形になった十兵衛、合戦が始まるやいなや、侍大将!侍大将の首と前のめりで織田軍に斬り込んでいきます。いやもう、口を開けば侍大将はどこだと喚いている十兵衛。無理もない、十九歳でいきなり借金を背負わされたのだから、ガムシャラになります。
この戦いは加納口の戦いといいますが、草原での戦いが多い大河ドラマには珍しく市街戦です。今回はロケでセットを組んでの戦いですが、狭い通りで小競り合いを繰り返す織田と斎藤の激突が繰り返されます。
双方の槍部隊が、えい!えい!と掛け声をかけ歩調を合わせて進んできたり、稲葉山城から、投石機で石を飛ばしたり、油をしみこませて火をつけた俵を城から城外の織田方へ放り投げたりとバラエティ豊かな戦いの手法が映し出されます。
そんな中で十兵衛は侍大将の首を求めて、戦場を彷徨います。
群がり襲ってくる敵の足軽に「雑魚には用はないんじゃあ侍大将寄こせー!」と吐き捨てる十兵衛。第一話の清々しい若武者ぶりがウソのような借金に追われる男の顔になっています。
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「籠城を決める利政に光秀ブチ切れ!」
奮戦する十兵衛に対し、稲葉山城の利政より、引き上げの合図が伝わります。
「もう退却!早過ぎる、まだ侍大将の首を獲ってない」ブツブツ言う十兵衛ですが、すでに美濃兵は退却モードです。
ここでも、当時の退却の様子が描かれます。楯を並べつつ、少しずつ下がりながら矢を放って、敵を寄せ付けないようにして退いていきます。考えてみれば当たり前で、我先に後退したのでは潰走と同じになってしまいます。
それに対して、織田軍も矢を放って応酬します。飛び交う矢に当たり戦死する兵士が続出します。情けない最期に見えますが、実際の戦場でも矢に当たって亡くなる兵はかなりの数に上ったようです。
ようやく稲葉山城に兵士を収納し終えると、利政は全ての城門を閉じてしまいます。
城内では、十兵衛の学友で利政の嫡男である斎藤高政が稲葉良通(一鉄)とヒソヒソ話をしています。
それを見つけた十兵衛、いきなり高政の肩を掴んで悪態をつきます。
「わしは、やはりお前の父親は嫌いだ!ヒトに侍大将の首二つのノルマを課しておいてもう引き上げの鐘とは早すぎる!」
いくらなんでも、無関係な高政に、この絡み方はあんまりです。しかし高政は根が優しいのか、怒る事なく苦笑いしながら
「ワシも同じ思いじゃ、美濃の国衆もお前と同じ不満を抱いている」
さっき、稲葉良通と話していた内容も利政の独断専行ぶりに、国衆が呆れているという話だったのです。
「お前は、殿の嫡男だろうが、どうしてお諫めしないのだ」
十兵衛は高政に容赦がありません、よほど借金を背負わされた事で、心の余裕がないのでしょう。
「父上はわしの諫めなど聴かん、わしは側女の子だからな・・」
高政は悲しいような悔しいような表情を浮かべて、去っていきました。
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「道三の罠」
稲葉山城の情勢は、逐一、信秀が城内に放った乱波により信秀にもたらされていました。
斎藤勢は、すでに城内で酒盛りをしているという情報を得た信秀は勝利を確信し、一時は力攻めを考えますが、稲葉山城は堅城で無理押しすると被害が増えるので、無理押しせずに、今日は兵を城から下げて明日総攻撃と決めます。
次のシーンでは、利政が国衆と共に、まずそうに酒を飲んでいます。そこに、伝令がやってきて何やらささやきました。
すると、道三は杯を置き、いかに酒に見せても水はマズくて酔えんと、とても悪い顔をして笑います。
「すでに乱波を通じて、信秀の軍は我々が籠城に決して酒を飲んでいると思い込んでおる。
我が軍を目の前にして敵兵は、呑気に背を向けているのだ。もう籠城はおしまいじゃ、今、攻めないでいつ勝てる!」
利政の檄で、国衆は一斉に攻撃の準備に入りました。
すでに戦は明日だと思い込んでいる織田の兵は、民家に押し入り略奪をしながら酒を飲んで寛いでいました。そこに急に城門を開いて突撃してきた騎兵に為す術がありません。あっと言う間に追いまくられ、屍を晒していきます。十兵衛も、何が何やら分からない間に、そうだ、侍大将のクビだと真っ先に飛び出していきます。
途中、十兵衛は高そうな鎧を着て地面に倒れ込んでいる敵将を見つけ出します。
「やった!侍大将だ」と馬乗りになり脇差を抜くと、その敵将の顔は叔父の光安に似ていました。一瞬躊躇う十兵衛ですが、首を獲らねば自分が殺されると覚悟を決めて、刃で敵将の首を掻ききりました。
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「逆転勝利・・」
その頃、織田信秀は、兄の信康と勝利を確信して連れションをしていました。
しかし、背後から掛け太鼓の音と、えい!えい!という声に振り向くと、同時に矢が飛んできて兄の信康の肩に命中し、信康は崖から転げ落ちました。
「兄者!」
叫んでいる間もなく、幔幕を突き破り、美濃兵が突進してきます。
ようやく、乱破を逆利用して利政が一芝居打った事に気づいた信秀ですがもうどうにもなりません。重臣たちに守られながら、尾張に向かって落ち延びるしかありませんでした。
次に出てきた信秀は、完全な落ち武者ルックになって、供二人と僅か3人です。
途中、兄信康の安否を聞くと、すでに討ち死にしたと聞き、信秀は涙を浮かべますが、次の瞬間には立ち直り、「城に帰って寝るか」と呟きます。
この気持ちの切り替えの速さが信秀の持ち味なんでしょう。子の信長も後年、本能寺で光秀の襲撃を受けると、「是非に及ばず(仕方ねーや)」と悟ってさっさと腹を切りますから、この辺りの性格の潔さは遺伝のようです。
一方の稲葉山城では、戦勝祝いで皆が賑わっています。帰還した十兵衛の腰には、二つの包みがぶら下げられています。どうやら首尾よく首二つを獲ったようです。良かった借金地獄からは解放されそうですね。叔父の光安も、名誉の負傷で意気軒高、望月東庵の治療を受けています。
東庵は、十兵衛に「侍大将の首を二つ獲ったそうで、おめでとうございます」と祝福します。しかし十兵衛は浮かぬ顔で、「ちっともめでたい気持ちにならぬ」と呟きます。その理由は、追い求めていた敵の侍大将の首が叔父に見えて、首を獲るのを躊躇したという話でした。
戦は武士の誉れだと言うが、やっている事はただの人殺しだ。やらなければやられる、だから敵を斬るが、こんな事が果てしなく続く事が空しくなったと正直な気持ちを東庵に吐露します。
それに対し、東庵は「それでも、その気持ちで勝てたならよいではありませんか」と慰めます。十兵衛の中に、戦国の武士としては邪魔になる情が強くある事を見て取ったのでしょう。その気持ちを捨て去れとは言いません、空しさを抱えながら、人が戦わなくてよい世の中を造る為に、その気持ちを活かして欲しいという思いなのでしょう。
麒麟がくる第2話 感想あらすじ「マムシドリンクで婿殿を毒殺」
その日の夜、稲葉山城に、利政の娘婿、土岐頼純が戦勝祝いにやってきます。
帰蝶もそこに同席していましたが、頼純が鎧も着ないでやってきた事を厳しく叱ります。
頼純は「必ず利政が勝つと思っていた故に用意しなかった」と答えました。
そこで、利政は娘の帰蝶を下がらせます。頼純と二人になった利政は、頼純が織田家の重臣である織田信康に書状を送り、利政を倒したあかつきには、美濃一国かそれに比肩する土地を与えると密約を交わしていた事を暴露します。
そして、私は土岐家の為に随分骨を折ってきたのに残念でなりませんと呟きます。
言い逃れようが無くなった頼純は激高し、斎藤家が卑しい美濃の油売りから父子二代で成り上がり、叔父の頼芸をたぶらかして美濃を一飲みしようとするマムシであると詰ります。
出自をバカにされ、ブチ切れた利政は表情を変え「マムシ、誰が?」と頼純を睨みつけます。怖ろしくなった頼純が城を去ろうとすると、利政は頼純を押止めます。
「ここは私の城であり、例え頼純様でも、私の許可なしに城を出る事は出来ません」とドスの効いた声で釘を刺し、再び上座に就くように促します。
「まあ、茶でも飲んで落ち着かれよ・・」
利政は鎧兜姿のまま、茶釜で湯を沸かし茶を碗に入れて湯を注ぎ、茶筅でかき回すと、部下に命じて、茶を頼純の前に置きました。
あからさまに怪しいです、頼純、飲むな!それは毒入りマムシドリンクだぞ、、あああ、何たるバカ、じゃない迂闊な人、少しも疑わずに茶を飲んでしまいます。
「そうだ、それがし、巷で流行る謡を覚えました。ここでご披露致しましょう」
突然に歌い出す利政、そして思った通り、首を抑えて苦しみだす頼純。だから言ったのに、ああ今さら利政を睨んでも遅い、、
世にも怖ろしい形相で利政を睨みながら絶命する頼純、こうして、帰蝶は結婚から一年そこそこで未亡人になってしまうのでした。娘を嫁がせた婿でさえ簡単に毒殺する利政、コミカルな面もありますが、やはり業は相当に深いキャラですね。
麒麟がきたライターkawausoの独り言
今回は、本木道三の魅力爆発の回でした。ケチで強欲で頭がよく、そして邪魔と見做したら娘婿でも平然とマムシドリンクで毒殺する業深き人物。今後も斎藤利政の動向に目が離せませんね。麒麟がきた、また来週をお楽しみに~
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