皆さんは出師の表を知っているでしょうか?
正史である三国志のみならず、三国志演義でも出てくるので知っているという人も多いでしょう。特に三国志演義では暗愚暗愚と言われている劉禅ですら涙を流したと言われている出師の表。今回はその出師の表について、少しお話をしたいと思います。
この記事の目次
泣かずは忠臣に非ず
さてまずは出師の表に付いての基本的なお話をしていきましょう。出師の表とは諸葛亮が魏との戦いの前、いわゆる北伐の前に劉禅に対して奉った上奏文です。その文章は「読んで泣かざる者は忠臣に非ず」とも言われており、繰り返すようですが三国志演義でも劉禅はこれを読んで涙したとされています。
出師の表を要約
そんな出師の表ですがどんなことが書かれているのかを次に説明しましょう。とは言え全文を乗せてもちょっと芸に欠けるので、ここは筆者なりの要約を。この出師の表は要約すると
「蜀の全ては劉備様のおかげ!」
ということになります。はい、実に簡単な内容ですね!いやいや、冗談ではないんですよ、これ。
劉備劉備劉備劉備……
出師の表では、大半が劉備の話になります。その中から一文をちょっと抜き出してみましょう。
「忠志乃士 忘身於外者 蓋追先帝之殊遇 欲報之陛下也」
この文章に出てくる先帝とは、つまり劉備のことですね。このように劉備は出師の表では先帝と記されていますが、その出てくる数は何と十三回。一つのそう長くはない文章で先帝と十三回も言っているんです。
これはもう驚きです、現代の会社のプロジェクトで「前社長が」とか十三回も言われたら周囲はドン引きでしょう。
出師の表を(ちょっと真面目に)要約
とまあ劉備の名前が出てくる回数がちょっと多すぎる出師の表ですが、更に分かりやすく要約すると
「蜀の人たちはみんな劉備に恩がある」
「劉備は漢王室を復興させたかった」
「北伐をやるのは劉備への恩返し」
ということになります。これに多少劉禅の行動を諫めるようなお小言と、劉備と諸葛亮の思い出、劉備が後を託した武将などが入っています。しかしこの内容こそが、諸葛亮の巧みな政治手腕の表れなのです。これについて説明していきましょう
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