1ヵ月ぶりに再開したキングダムでは、ようやく論功行賞が行われ王翦と楊端和と桓騎、それに李信、蒙恬、王賁の6名が表彰され、李信と蒙恬と王賁は将軍に昇格しました。
しかし、今回は大将軍に任命される者はいないようですが、空席4つはどうするんですかね?それはさておき、秦王嬴政は、王翦と桓騎と楊端和には装飾が施された宝剣を与えていました。これは何を意味するのでしょうか?
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キングダム643話ネタバレ予想「中華において剣は特別」
中国では、武器は凶器として出来る限り用いるべきではないとされていました。そのため、様々な武器がありながら、特別な意味合いや価値を見出す事はありませんでした。ところが、唯一剣については宝剣と呼ばれる名剣が多く存在していた関係から、王や皇帝が腰に佩いていて芸術品として富と権威の象徴でした。
後漢の時代に書かれた歴史書「呉越春秋」には、まさにキングダムの時代である春秋戦国時代の呉で活躍した夫婦鍛冶、干将と莫邪。5振りの宝剣を造り天下一の名工と讃えられた欧治子の名前が記録されています。
さらに、同じ時代に呉越で覇者になった呉王の夫差、越王句践の名前を冠した宝剣も出土しました。秦王嬴政にしても腰に長剣を差していて、かの暗殺者荊軻に襲われた時に気が動転して中々剣を抜く事が出来ず、柱を背にして剣を抜きなさいという部下のアドバイスで、ようやく剣が抜けたという話があります。
キングダムの読者には、呉越は耳馴染みがないでしょうが、この両国は後に楚に滅ぼされているので、キングダムには登場しません。
キングダム643話ネタバレ予想「宝剣を下賜して忠誠を誓わせる」
このように宝剣は、君主が帯びる芸術品という地位にあるので、これを功績を挙げた部下に下賜するというのは、君主が持つものを自分が持てるという意味で、非常に価値があるものという事になります。それ以外にも、黄金や宝石などいくらでも褒美はあるのでしょうが、中でも宝剣が部下のやる気を強め、忠誠心を高める事に役立った事でしょう。
実際に、兵馬俑からも青銅製の剣が多く出土していて、始皇帝は剣を与える事で兵士の忠誠を維持していたのかも知れません。
キングダム643話ネタバレ予想「深読み!宝剣は尚方宝剣では?」
これは深読みですが、秦王嬴政が王翦や楊端和、桓騎に褒美として与えたのは、尚方宝剣なのかもしれません。尚方宝剣とは、皇帝が持っていた剣の事で、これを与えられた者は、皇帝とほぼ同等の権力を持つ事が出来るとされています。
それは軍を動かし諸侯以下の大臣の処罰を委ねられる強大なもので、処分をしてから皇帝に上奏すれば済み、先斬後奏の権を行使するとも言いました。
古来中国では、軍隊を自分の判断で動かし、部下を処罰する事を青銅製の鉞を部下に与える事で象徴していましたが、この尚方宝剣もそうです。ちなみに鉞は罪人の首を斬る道具で、王という漢字も元々は鉞の象形文字です。
ただし、尚方宝剣では皇帝の権力を代行する事が出来るだけであって、皇帝そのものに成り代わる事は出来ないので、嬴政が元気な間は反逆とかは成功しづらいでしょう。
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