キングダム646話で一番悲惨だった人物と言えば、公子嘉でしょう。
悼襄王が死んで当然の如く、自分が王になるものと思っていたら直前で悼襄王が遺言を書き換えていた事実が発覚して王位を公子遷に奪われ、さらには邯鄲を追われてしまいました。
育ちが良い人で打たれ弱いのか、逃走途中で部下に涙ながらに謝罪し、部下の士気まで下げるお茶目な一面を見せていましたが、可哀想な公子嘉は史実ではどんな人生を歩んでいくのでしょう。
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趙の滅亡後、代に亡命政権を建てる
公子嘉が史実に登場するのは紀元前228年で、趙が王翦により滅ぼされ李牧も、幽繆王に誅殺された後の事です。捕えられた幽繆王は房陵に流罪になりますが、生き残った公子嘉は一族100名あまりを引き連れて、趙の北辺である代に移動し、趙の大夫達に推戴されて代王嘉として即位します。
キングダム時間から考えると8年後の事ですから、そこまでには聡明だけど打たれ弱い性格からは脱却するんでしょうね。
代とはいかなる国か?
代とは、趙国の北にある土地で、中原とは異なる民族で構成された国でしたが、周の初期には周王に認められ、分封された歴史の長い国です。
紀元前458年に、趙国の祖である晋の趙無恤が、代への使節を夏屋山に送り代王を宴席に招待して、そのまま官人に銅の柄杓で代王を撲殺させ、さらに兵を派遣して代を滅ぼして版図に組み込み、紀元前403年に趙が諸侯になった後も引き続き趙国の一部でした。
趙には、舜水樹のように匈奴との混血のキャラもいますが、そういうキャラの出身地が代なのかも知れません。
燕王喜と連携して秦に対抗する
代という土地は燕の都である薊に近く、その関係で代王嘉は燕王喜と結んで秦に対抗する事になります。
燕にしても趙が滅んだ事で秦の脅威をまともに受ける事になり、どこかと連携する必要がありましたが、斉は秦と組んで中立状態、楚は燕からは遠く、韓と魏は瀕死状態であり組めるのは代しかなかったのです。
しかしながら代王嘉は、相当くじ運がない人らしく、燕と盟約を結んだ事で秦との抗争に巻き込まれるのです。
燕代連合軍が秦軍に撃破される
この燕王喜の太子は丹と言い、昔、趙へ人質として送られ秦王政と親しくしていた人物でした。ところが、その後、燕の太子となった丹は秦に使節として向かい秦王政に挨拶しましたが、政には冷たく対応されました。
太子丹は、その事に衝撃を受け、秦は燕に禍をもたらすと国だと恨み帰国したのです。紆余曲折の末、太子丹は暗殺者荊軻を雇い、秦王政の暗殺を謀りますが失敗、怒った政は荊軻を八つ裂きにした上で燕に侵攻します。この事態に同盟関係だった代王嘉も援軍を燕に派遣しますが、易水の西で王翦と辛勝の軍に撃破されました。
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