春秋戦国時代

はじめての三国志

menu

デザイン担当:よりぶりん

日本人にとっての『三国志』の原点……吉川英治『三国志』

この記事の所要時間: 241




吉川英治様表紙リスペクト

 

皆さんはなにがきっかけで『三国志』に興味を持つようになったでしょうか?

小説やマンガ、映画やゲームなど、『三国志』はあらゆるメディアで数多くの作品として描かれていますので、

それだけ多くの“出会い”があると言えるでしょう。

 

しかし、現代日本人にとって、『三国志』の定番中の定番と言えば、

やはり吉川英治の小説『三国志』では、ないでしょうか?




従軍記者としての体験が契機となって

吉川英治 従軍記者

 

吉川英治は幼少期から『三国志』に親しみを持ち、

自作の江戸時代を舞台にした伝奇ロマン小説に『江戸三国志』とタイトルを付けるなど、

『三国志』に対する愛着を持ち続けていました。

 

彼が小説『三国志』を執筆しようと思い立つきっかけとなったのが、

1937年(昭和12年)から二度に渡る従軍記者としての経験でした。

軍と共に中国大陸各地を渡り歩き、目の当たりにした大陸の広大な風土や悠久の歴史に感銘を受け、

1939年(昭和14年)から新聞の連載小説として『三国志』の執筆を開始、1943年(昭和18年)に完結しました。




三国志演義をベースにしつつも、独自の視点で味付けされた吉川三国志

Eiji_Yoshikawa

 

『三国志演義』では、しばしばストーリーの展開上の出来事を省略、あるいは単純化されて描写されることがありますが、

吉川英治は自身の味付けで登場人物の行動や内面を掘り下げ、日本人向けの創作を心がけました。

 

『三国志演義』は劉備・関羽・張飛の3人が桃園で義兄弟の契を交わす、有名な『桃園の誓い』のシーンから始まりますが、

吉川版では『桃園の誓い』に至るまでの三人の交流を描きこむことで、より感銘的に描いています。

 

また、それまで単なる悪役として描かれることの多かった曹操について、

その魅力的な側面を描きこむことで、

それまでのイメージを払拭する人間性豊かな人物として描いていることも特徴のひとつと言えるでしょう。

現代中国でも曹操の再評価が進んでいるとされますが、

中国人より日本人に曹操ファンが多いとされるのは、吉川三国志の影響であることは間違いありません。

 

一方で、吉川英治は『三国志演義』の荒唐無稽な描写に関してはその描写を排除、

あるいは合理的な説明を付けています。

 

『三国志演義』では妖術や呪いの類が描写されるが吉川英治作は?

孔明 東南の風

 

『三国志演義』ではしばしば妖術や呪いの類が描写されていますが、

吉川英治はこれを“幻覚”によるものと説明、

また、赤壁の戦いにおいて孔明が吹かせたとされる『東南の風』については、

孔明がこの地方のこの季節にだけ吹く貿易風のことを知っており、それを利用したとするなどの工夫をしています。

 

 

日本の『三国志』作品に与えた最大の影響とは?

孔明過労死

 

ところで、『三国志のラストシーン』と聞いて、皆さんはどんな場面を連想されるでしょうか?

おそらく多くの方は、五丈原で諸葛孔明が死ぬ場面を思い描かれるかと思います。

 

実は『三国志演義』では孔明の死後も物語が続いており、

最終的に晋が魏・呉・蜀の三国を統一するところまで描かれているのです。

この、五丈原で物語を終わらせる形式の原点となったのが吉川版『三国志』だったのです。

 

吉川英治以降に書かれた陳舜臣の『秘本三国志』や北方謙三の『三国志』など、

日本で書かれた多くの三国志小説が五丈原で物語を終わらせています。

(柴田錬三郎の『柴錬三国志 英雄ここにあり』に至っては孔明が“出師の表”を上奏する場面で終わっています)

 

三国志には興味がある、最初に何を読めばいいの?

張飛 本 学問 三国志

 

『三国志』には興味があるけど、何から読んでいいのか分からないと迷っていらっしゃる方もおられるでしょう。

まずは吉川英治の『三国志』から、始めてみてはいかがでしょうか?

 

三国志 文庫 全8巻 完結セット (吉川英治歴史時代文庫)
吉川 英治
講談社
売り上げランキング: 53,490




この記事を書いた人:石川克世

石川

ライター:

石川克世

自己紹介:

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。
最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。
三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

好きな歴史人物:

曹操孟徳
織田信長

何か一言:

温故知新。
過去を知ることは、個人や国家の別なく、
現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

 

関連記事

  1. キングダムの羌瘣(きょうかい)は実在したの?飛信隊の美女にはモデ…
  2. 【誤解しないで!】男同士のひざまくらが三国志の時代に大流行!その…
  3. 【九州三国志】『三國志』は中国だけじゃない!日本の三国志事情 P…
  4. 18話:菫卓を守った最強のボディーガード呂布
  5. 諸葛瑾(しょかつきん)ってどんな人?偉大な孔明の兄はどうやって乱…
  6. 日中交渉は卑弥呼と魏だけではない!?
  7. キングダムの時代に開花した法家の思想
  8. 曹操が遺言で見せた女性への愛情

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【皇帝から手紙を受け取る呂布】呂布は朝廷に従順な姿勢を見せていた!?
  2. 劉備の蜀攻略戦で活躍したのは武将ばかりではなく、みんな知っている○○があったから
  3. 根拠のない夢を信じないリアリスト曹操
  4. 【孫武の名言】「将、軍に在りては君命をも受けざるところにあり」っていつ言ったの?
  5. 馬超はどんな性格だったの?謎に満ちた蜀の五虎大将軍【前半】
  6. 曹叡(そうえい)とはどんな人?曹丕の息子で二代目魏の皇帝

三國志雑学

ピックアップ記事

おすすめ記事

成蟜(せいきょう)ってどんな人?史実の通り策士な政(始皇帝)の弟 王騎の矛はどういう武器なの?矛と槍との違いも徹底解説! 趙雲ってどんな人?|投票ランキング1位の理由 三国大戦スマッシュ!(さんすま)とはどんなアプリゲーム? 霍峻(かくしゅん)とはどんな人?劉備の益州乗っ取りの明暗を分けた名将 【三国志if】もし袁紹が官渡の戦いで曹操に勝ってたらどうなってたの? 【三国志ライター黒田廉が行く】始皇帝と大兵馬俑から始皇帝がおこなった政策を覗いてみたよ 三国志|前半戦のまとめその3(長坂の戦いまで)

おすすめ記事

  1. 李通(りつう)とはどんな人?義侠心に溢れた魏の知られざる勇将
  2. 【ネオ三国志】第2話:蒼天航路の曹操と魏武の強
  3. 袁術が評価される日も近い?スーパー袁術の凄い所7連発!!
  4. 三国志で一番の悪酔い君主は誰だ?【酒乱ランキング】
  5. 司馬尚(しばしょう)とはどんな人?趙の新三大天でもある最期の一人
  6. 後漢王朝の華だった尹夫人の波乱万丈の生涯Part.2
  7. キングダムと三国志の豪傑を対比|王騎と言えば誰?
  8. そうか!曹叡が豹変したのは、孔明が死んだからではなかった!

はじさん企画

袁術祭り
特別企画
異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
はじめての三国志TV
PAGE TOP