日常生活

はじめての三国志

menu

はじめての変

屁理屈から論理的に導く名家ってどんな人達?

この記事の所要時間: 349
photo credit: orchid bloom via photopin (license)

photo credit: orchid bloom via photopin (license)

 

諸子百家(しょしひゃっか)の多くの思想家たちは、縦横家に代表されるように弁舌のたつ人物でした。

 

他人に対して説得力のある意見を説くには、

なにより合理的で論理的な弁論の技が必要となります。

それには論理を組み立てる論理学が有効です。

 

しかし、論理学にこだわりすぎると、それはしばしば本質を欠いた、

論争のための理屈=詭弁に陥ってしまいます。

 

諸子百家にはそんな論理学を説いた“名家”と呼ばれる学派が存在しました。

 

 

古代中国を離れて古代ギリシャに目を向けてみましょう

ギリシャ s

 

一旦、古代中国を離れ、ギリシアに目を向けてみましょう。

古代ギリシアの時代、ゼノンという自然哲学者がいました。

 

ゼノンは『ゼノンのパラドックス』という考え方で知られる人物です。

 

『パラドックス』というのは、一見正しいように思える前提条件と、妥当な推論を進めたはずなのに、

何故か受け入れられない結論が出てしまうような状況を意味する言葉です。

日本語では逆説とか背理と呼ばれますね。

 

ゼノンのパラドックスで有名な話『飛んでいる矢は止まっている』

 

ゼノンのパラドックスで有名な話として『飛んでいる矢は止まっている』というものがあります。

 

飛んでいる矢を想像してください。

そしてその矢が飛んでいる一瞬を抜き出します。

 

その瞬間、矢は空間のある位置に固定され、前に進んではいません。

時間の流れはこの一瞬の連続であるわけですから、飛んでいる矢は常に静止しているのです。

 

……というのが『飛んでいる矢は止まっている』というパラドックスです。

 

古代中国には「飛んでいる鳥の影は動かない」

photo credit: Cóndor via photopin (license)

photo credit: Cóndor via photopin (license)

 

感覚的には明らかに間違っているのですが、理屈で反論すると難しいですよね。

実はこの『飛んでいる矢は止まっている』というパラドックスによく似た話が、古代中国に存在しています。

それは『飛んでいる鳥の影は動かない』というもの。

 

このパラドックスを唱えたのが、名家の思想家たちでした。

 

白馬は馬にあらず

三国志 白馬

 

名家は相手を論破するための理屈を生み出す論理学を説いた諸子百家のひとつです。

諸子百家の時代は、縦横家に代表されるような弁舌の徒が活躍した時代でした。

 

いかに素晴らしい理念やアイデアであっても、それを相手に理解させ共感させる論理性が必要となります。

名家はこの論理の重要性に気づき、相手を論破し自身の意見に賛同させるための弁論術=論理学を重視した人たちでした。

 

名家を代表する人物として公孫竜の名を上げることができます。

公孫竜の名前を有名にした話として『白馬非馬説』が知られています。

 

『白馬の“白”とは色の概念であり、“馬”とは動物の概念だ。

つまりその二つの概念が合わさった“白馬”は馬ではない』

 

というのが『白馬非馬説』。

 

明らかに、これは詭弁と呼ばれる類の理屈ですね。

実際、公孫竜は詭弁家と批判され、それまで彼を重用していた君主に見捨てられて、

最後には悶死してしまいます。

 

結局、議論のための屁理屈に留まった名家の思想

photo credit: Iris via photopin (license)

photo credit: Iris via photopin (license)

 

ゼノンのパラドックスは、それ自体は名家同様、詭弁と類される理屈に過ぎません。

しかし、その理屈には物の存在と本質を分離して考えるという性質も含まれていました。

 

やがてそれは事物の本質を論じるイデア論につながり、

ギリシア哲学の発展をうながすことにもつながっていきました。

 

対して、古代中国の名家はそのような発達を見せることなく、

弁論術の訓練としての詭弁の域を出ることがありませんでした。

 

これは諸子百家があくまで己の理念を実現するための手段としての弁論を用いたためで、

弁論そのものの技術自体を発展させようという意識が生まれてこなかったからと考えられます。

 

諸子百家にとって、理屈はあくまで道具に過ぎませんでした。

 

名家の詭弁が発達していれば、どのような哲学が生み出されていたのでしょうか?

それを見られなかったことは、残念に思えます。

 

関連記事:老荘思想の創設者|老子と荘子の二人を分かりやすく解説してみた

関連記事:キングダムの時代に開花した法家の思想

 

—あなたの知的好奇心を刺激する諸子百家—

諸子百家 バナー

 

 

こちらの記事もよく読まれています

森 卵 s

 

よく読まれてる記事:諸子百家(しょしひゃっか)ってなに?|知るともっと三国志が理解できる?

 

 

関連記事:史上最強の交渉術を備えた縦横家ってどんな人?

 

photo credit: P6290038.sm via photopin (license)

photo credit: P6290038.sm via photopin (license)

 

関連記事:呂不韋は始皇帝の父だった?諸子百家のいいとこ取りの雑家

 

 

この記事を書いた人:石川克世

石川克世 三国志

自己紹介:

小太郎さん(スキッパーキ オス 2歳)の下僕。

主食はスコッチウイスキーとコーヒーとセブンイレブンの野菜スティック。

朝風呂が生きがいの小原庄助的ダメ人間。ヲヤジ。

関連記事

  1. 【軍師連盟】諸葛孔明の北伐は司馬仲達がいなければ成功していたの?…
  2. 曹丕(そうひ)得意の詩で蜀の調理法を斬る
  3. 三国大戦スマッシュ!(さんすま)とはどんなアプリゲーム?
  4. 曹操の塩対応に張松ブチ切れ!曹操が冷たく扱ったのは傲慢ではなく驚…
  5. 鄧芝(とうし)ってどんな人?|敵国孫権に愛された蜀の名使者
  6. みにおん三国志とはどんなアプリゲーム?
  7. 陳羣(ちんぐん)ってどんな人?画期的な人材採用法を確立させた魏の…
  8. 三国志の時代に象兵はいたの?

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 張嶷(ちょうぎょく)とはどんな人?異民族討伐のプロフェッショナルだった蜀の将軍【前編】
  2. 歴史の影に女あり!絶世の美女たち
  3. 鍾毓(しょういく)とはどんな人?風格のある人柄で秀才の誉れ高い魏の臣
  4. 三国志|前半戦のまとめその3(長坂の戦いまで)
  5. 審配(しんぱい)とはどんな人?衰えていく袁家を支えた忠臣
  6. 五禽戯(ごきんぎ)とは何?華陀が生み出した元祖ラジオ体操が凄すぎる!

三國志雑学

ピックアップ記事

おすすめ記事

献帝死亡説を利用した?劉備が漢中王に即位したのは孔明と法正の入れ知恵の可能性が浮上! 【軍師連盟】司馬懿は遼東遠征の時なんで大虐殺をしたの? 【今さら聞けない】妖怪三国志ってなに?お父さんも子供も夢中の新世代三国志! 民話に出てくる司馬懿がまるで昔話のいじわる爺さんレベル! 曹操の迅速な機動力VS劉備の逃げ足の速さ 孔明の最期の晩餐は一体何を食べていたの? 信濃守護職就任と武田晴信の出家 三国志や古代中国史を科学的視点から丸裸にする良記事まとめ7選

おすすめ記事

  1. 鮑信(ほうしん)とはどんな人?自らの命を犠牲にして曹操を助けた曹操の数少ない友人
  2. 夏侯惇は軍人としては優秀だったの?正史三国志から夏侯惇を分析
  3. 【孔明死後の三国志に詳しくなろう】司馬師打倒の兵をあげた毌丘倹の反乱はなぜ失敗したの?
  4. 王莽(おうもう)史上初、帝位を簒奪した男 
  5. 司馬朗(しばろう)とはどんな人?司馬懿でさえ頭が上がらない偉大な兄の生涯
  6. もうひとつの宗教団体、五斗米道(ごとべいどう)ってどんな宗教だったの?
  7. 今川家のポンコツではなかった今川義元の前半生に迫る!
  8. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース23記事【10/10〜10/16】

はじさん企画

袁術祭り
特別企画
異民族
諸子百家
春秋戦国時代
日常生活
はじめての三国志TV
PAGE TOP