『諸子百家』特集として、数々の思想を紹介してきましたが、
他にもまだまだ色々な思想家が存在しています。
ここでは、これまで紹介できなかった思想家についてお話しして参りましょう。
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陰陽家(いんようか)~陰陽五行説
陰陽家は「陰陽説」と「五行説」、2つの思想を軸として展開した思想家のことです。
代表的な思想家として騶衍(すうえん)の名が上げられます。
「陰陽説」とは、この世界を構成する事物が常に2つの対極的な存在
(例えば「男」と「女」、
「天」と「地」、
「昼」と「夜」など)=「陰」と「陽」に
分かれそれらが調和しあうことで成立しているとする説です。
陰陽説はそれを表す太極図でも有名ですね。
(太極図)
五行説は、世界が「陰」と「陽」から生まれた5つの要素……
「木」「火」「土」「金」「水」から成立しているとする説です。
古代ギリシャからヨーロッパに至る広い地域で支持された
「四大元素」(土・水・空気・火)に似ていますが、
五行は単なる独立した要素(エレメント)ではなく、
互いに影響しあい変化していくとされることが特徴とされています。
日本では平安時代に安倍晴明を始めとした陰陽師によって、
この「陰陽五行説」が発展しました。
農家(のうか)~共産革命にも影響を与えた重農主義的思想
読んで字のごとく、農業を国の基本としてその思想と技術を説いた思想家のことです。
漢代の歴史書である『漢書』には、農家の思想書であるとされる
『神農』などの名前を見ることができますが、現代には伝わっていません。
『呂氏春秋』や『淮南子』といった雑家の思想書に無断引用されているとされます。
儒家の代表的思想家であった孟子は、
その著作の中で農家の思想家である許行(きょぎょう)に触れています。
孟子によれば、許行は農耕や炊事こそが国の中心であり、
王侯貴族であっても自身の手でそれをすることによって天下万民は平等となるとと説いたそうです。
孟子はこのような許行の思想を王侯が政治を行うことを否定するものだとして批判しています。
農家の社会改革を説く政治的要素は秦の全土統一以降衰退していきますが、
農業を重視する思想自体はその後も有力な思想として残り、
毛沢東の革命戦略につながったともされています。
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小説家(しょうせつか)~民間伝承を記録する記録作家
現代において小説家と言えば、主にフィクションのストーリーを書く仕事のイメージですが、
諸子百家の時代における小説家は記録作家のことを指しました。
古来中国には稗官と呼ばれる風俗を管理・管轄する役職が存在し、
この役職から発展したのが小説家であると考えられています。
小説家は故事(世の中の出来事や説話)を収集、
整理して書物として形に残すことを、その仕事としていました。
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