キングダムは秦を主軸にした歴史超大作漫画です。
秦王政は天下統一を実行するべく、色々な人材を仲間にしていくことになります。
色々な人材を仲間にしていくと必ず派閥が形成され権力争いが生じることが多々あります。
また高位の位についている人物が自分よりも有能な人材が後から入ってくると自らの地位を
守るために下位の者を蹴落としてしまいます。
一例をあげると秦の宰相であった李斯(りし)と韓非(かんび)の関係性が
挙げられるのではないのでしょうか。
李斯は秦の宰相として国政を握る立場にいましたが、
始皇帝が気に入っていた韓非が登用されると彼の能力の高さが自分の地位を脅かすことを恐れ、
彼を抹殺してしまいます。
このようなことは秦の国だけではなく、
戦国時代の国々では基本的にどこでも行われていることでした。
今回は正直者であったことが災いして政争に敗北してしまった屈原(くつげん)をご紹介しましょう。
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有能な政治家
屈原は戦国時代の人物で楚の王族出身であったことが幸いして、時の楚王であった懐王
(かいおう=楚漢戦争時代にいた懐王とは別人)を補佐する役目を与えられることになります。
彼は学識豊かで、懐王から国政に関する相談を受けてもしっかりと改善案を出して提案。
また諸国からやってきた外交官に対しても丁寧な応接を行っていたことが評判を呼んでおりました。
さらに諸国に対しての外交官としての役目を与えても難なくこなす内政のスペシャリストとして
楚の国内で彼の名前を知らない者はいない状態でした。
そんな彼には政敵も多く存在しており、
彼の名声の高さと懐王からの信頼関係を嫉妬している文官は数多く存在しておりました。
だが彼はこういった政敵からの嫉妬を一切気にする風もなく、
職務を忠実に実行していくことになります。
嫉妬していた政敵の罠にハマってしまう
屈原は有能な政治家であったことから楚の懐王から色々な事を任させることになります。
彼は懐王から法令の原案見直しを任されることになります。
屈原は家に帰って法令の原案見直しについて色々と過去から洗い直して調べ、
原案製作に取り掛かっていきます。
こうして法令の原案がある程度完成したところで、同僚が屈原の家を訪れます、
この同僚は屈原の法令原案を見ると「このまま楚王へ提出してしまえばいいではないか」と
中途半端な状態で法令の原案を出すように幾度も進めます。
しかし屈原は「馬鹿な。法令は国を統治する上で非常に大切なものだ。
これがしっかりと完成する前に提出するわけには行かないであろう」と断固拒否します。
同僚は屈原の意思の堅さに辟易して彼の家から去っていきます。
だがこの同僚はこうなることを予想しており、
屈原の家を出るとそのまま宮殿に直行して懐王の元へ行き、
「王よ。屈原は最悪な人物です。
彼は王から与えられた法の原案を作成しながら、
「楚は俺がいなければ成り立たないであろう」と言っておりました。
このような人物に政治を任せていては、
楚の国がいずれ危機的な状況に陥るのではないのでしょうか。」と屈原の悪口をでっち上げて
懐王の耳に入れます。
懐王は屈原の同僚から聞いた言葉を信じてしまい、
彼が出仕してきても以前のように頼りにすることがなくなってしまいます。
屈原は王の態度が変わったことに気づいて、
王に謁見しようとしますが懐王は彼に会うことはしませんでした。
そのため屈原は以前のような信頼を得ることができず、
次第に役職は下げられてしまうことになってしまいます。
戦国史ライター黒田廉の独り言
屈原は同僚からの嫉妬を一切気にしないで職務に励んでいたことが原因で、
同僚の罠にハマってしまうことになります。
一生懸命仕事に従事している人物が報われないことは現代でも多々ありますが、
屈原が生きていて戦国時代にもこうしたことは日所茶飯事でした。
キングダムの時代の各国もこのようなことは起きており、
趙の名将として名高い李牧(りぼく)も文官の罠にハマってしまい亡くなってしまいます。
参考文献 史記 司馬遷著 西野広祥・藤本幸三訳など
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