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成蟜(せいきょう)ってどんな人?史実の通り策士な政(始皇帝)の弟

2017年2月5日


 

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成キョウ(成蟜)

 

キングダムでは、秦王政の弟として登場し、露骨な貴族意識と差別主義で

政を憎んで王位を狙い、漫画でも異彩を放った成蟜(せいきょう)。

結局は信の活躍で陰謀は破れ、政に派手にボコられるという形で

漫画からは、一旦、フェードアウトしていました。

次に現れた時には改心し、政を支える頼れる男になっていましたが、

封地の城主代行に叛かれて幽閉された上に反乱軍の親玉の濡れ衣を着せられ、

妻である瑠衣(るい)を救う為に重傷を負い、死んでしまっています。

そんな思わぬ所で泣かせてくれる成蟜は、本当はどんな人なのでしょうか?

 

自称・皇帝
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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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政とは違い、秦本国で産まれたエリート王族

呂不韋

 

成蟜には個人の伝はありませんが、史記、春申君列伝や始皇帝本紀に記述があります。

事実として秦王政の弟ですが、趙で産まれた政と違い、紀元前258年に

父の子(しそ)が呂不韋(りょふい)の手引きで趙を脱出した後に秦で産まれます。

もちろん、政と母は趙に置き去りなので、母親も違うという事になります。

 

こうして考えると、政と違い、趙人の憎悪の中で生活する事がなかったので、

性格としては、暗いところがなく伸び伸び育ったのかも知れません。

成蟜は王族として長安君に封じられます。

 

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少年時代、韓の宰相として領地を割譲させる

 

漫画では、自分では何もできず、部下任せでありながら、尊い血筋だけを誇り

成りあがり者を毛嫌いする嫌な性格として描かれる成蟜ですが、現実には

兄の政よりも早く手柄を立てています。

 

昭襄王

 

史記、春申君列伝によると、彼は盛橋(せいきょう)という名前で登場し

曾祖父である昭襄王(しょうじょうおう)の命令で韓に宰相として送り込まれます。

当時の韓は漫画と違い(同様?)弱小国で、常に秦の干渉を受けていました。

 

ここで成蟜は、秦の為に謀り、韓の土地の百里四方を割譲させて、

秦の領地に組み込んでいます。

 

これは、昭襄王の末年の出来事ですが、その時、成蟜は十歳未満なので

大きな手柄と言っていいでしょう。

年齢から言って当人の仕事ではないでしょうが、それだけ有能な臣下に

恵まれていたという事かも知れません。

 

—熱き『キングダム』の原点がココに—

春秋戦国時代

 

呂不韋の策謀で王位は望めず恨みが募る

嬴政(始皇帝)

 

しかし、成蟜が王位に就く事はありませんでした。

彼の父である子楚は呂不韋の援助を受けており、紀元前250年

荘襄(そうじょう)王として即位すると趙から帰還した趙姫を正妃とし、

政を太子としたのです。

 

当時の成蟜は10歳に満たないので、何と言う事も無かったのでしょうが、

成長するに従い、腹違いの兄の事が疎ましくなっていきます。

それが成蟜の中にいつか取って替わろうという野心を育てていきます。

 

紀元前239年、屯留で謀反!

 

紀元前239年、秦王政の命令により成蟜は軍を率いて

趙の領地である屯留を攻めて、これを陥落させます。

ところが、その後、成蟜は屯留の人間をまとめ上げて秦に反旗を翻すのです。

もちろん、この謀反を秦王政は許さず、軍を送り込んで鎮圧します。

屯留と蒲鶮(ほこう)の兵は降伏せずに勇敢に戦い、すべて斬り殺されました。

 

八年、王弟、長安君成蟜、軍を将いて趙を撃ち、屯留に反す。

軍吏皆斬死す。其の民を臨洮に遷す。将軍、壁死す

 

その団結力を恐れた政は、屯留の民がここに留まる事を許さず

臨洮に移動させてしまいました。

史記正義による補則では、成蟜は城壁の中で戦死した、

つまり将軍壁死すと解釈しています。

   

異説、成蟜は死なず趙に逃れた説・・

趙政

 

史記正義は、唐の張守節が編纂し736年に成立したものです。

司馬遷(しばせん)の記述を補う為に書かれましたが、しかしキングダムの時代から

およそ千年後のもので、どこまで真実か分りません。

 

また、壁死は壁という名前の将軍が死んだとも解釈できるようで、

成蟜が戦死したと断定できる記述ではありません。

 

このように史記には、成蟜が死んだという断定的記述はありません。

では、本当に成蟜は死んだのでしょうか?

実は、ここには異説があり成蟜は死なず趙の悼襄(とうじょう)王により匿われ

饒に封じられたという話があるのです。

 

忽然と出現する紀元前239年長安君、饒に封じるの記述

 

史記の趙世家には、

悼襄王の六年、長安君を封ずるに饒を以てすという記録があります。

これは紀元前239年にあたりますが、ちょうど成蟜が反乱を起こした

その年にあたるのです。

 

長安君という尊称は、同じ時代の趙の王族には見当たりません。

時代を遡る事26年前、紀元前265年に悼襄王の父である孝成(こうせい)王が

即位した時に、趙は援軍を斉に求めていますが、この時に趙は、

先代恵文(けいぶん)王の皇后であった太后が自分の末っ子の長安君を

人質に差し出さないと援軍は出さないと言ったという記述が出てきます。

 

その後、すったもんだで長安君は斉に人質に出され、

斉からは援軍を受ける事が出来ました。

 

しかし、その後、この長安君には何の音沙汰もありません。

あるいはお役御免として紀元前239年に斉から趙に戻り、

甥にあたる悼襄王が改めて封地を与えたと考えられなくはありませんが、

かなり不自然な感じがします。

 

成蟜は趙による扇動で反乱を起こしたのではないか?

剣を持ち戦う李牧

 

こちらは、成蟜が陥落させた屯留の位置ですが、趙の領内にあたります。

あるいは、趙は、李牧(りぼく)か龐煖(ほうけん)の計略によって

成蟜を叛かせたという事は考えられないでしょうか?

 

キングダム セイキョウ

 

元々、血筋では政よりもずっと王位に近い成蟜ですから、

「ここで自立して趙の援軍を受けて秦に攻め入り、お前が秦王になる」

と唆されれば、将来を考えて、いちかばちかの賭けに出たと考えられなくありません。

 

そもそも、成蟜の単独の謀反なら、被征服者の屯留の兵が

全員斬り死にする程に秦に抵抗した理由が分りません。

どうして、侵略者の成蟜の為にそこまでしたのでしょうか?

 

ここは、成蟜と趙の間で密約、おそらく反乱の成功、失敗も含めての談合が

すっかり出来あがっていて、その密約に沿い敗れた成蟜は悼襄王の手配で

饒に封じられ、秦の内情を知るものとして重宝されたと考えるのが自然です。

 

キングダムウォッチャーkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

キングダムでは、キレイに最期を飾ってしまった成蟜ですが、

史実では叛いたのは確実であり、なかなか強かな野心家だったようです。

個人的には、屯留では死なず、趙の領地で一生を終えたという説が

魅力的に見えるのですが、皆さんはどう思いますか?

 

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