楊沛(ようはい)とはどんな人?魏の諸将を恐れさせた行政官

2017年3月5日


 

はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

魏の曹操

 

広大な領土を作り上げることに成功した曹操(そうそう)。彼の領土は非常に広大であったので、各地色々な文官が活躍しておりました。今回はその内のひとりで非常にマイナーですが、けちんぼ曹洪(そうこう)や曹操と同郷であった劉勲(りゅうくん)らを恐れさせた行政官である楊沛(ようはい)をご紹介していきたいと思います。

 
 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


【誤植・誤字脱字の報告】 バナー 誤字脱字 報告 330 x 100



【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



桑の実を貯蓄させる

楊沛はとある町の長に就任します。当時の中国は群雄が各地で割拠している時代で戦は絶えず続いていたおり、各地で飢饉も発生しておりました。そのため楊沛はいつ自分が治めている土地へ飢饉が来てもいいように備えることにします。まず桑の実を乾燥させて食料庫に貯蔵させていきます。また自然の中に生えている豆を採取して食料庫にぶち込んでいきます。こうして食料庫は次第に貯蔵されていく量が増えていくことになります。

 



食糧不足の曹操軍へ提供

 

楊沛が食料庫の充実を図っている時、曹操は皇帝を自らの拠点である許へ移そうと考え、洛陽へ迎えに行っている途中でした。彼の領土も飢饉によって兵糧を捻出することが難しい状態であったので、あまり食料を持っていませんでした。そんな時、楊沛が治めていた土地を通過することになります。楊沛は曹操に会うために彼の元へ行って「曹操殿。あなたの軍勢はあまり兵糧を持っていないように思われる。今この土地には少しの蓄えがあるので、あなたの軍勢に振舞ってあげましょう。」と言って食料庫を開放して曹操軍の軍勢に分け与えることにします。曹操は食料の調達に困っていたので楊沛の心配りに大いに感謝したそうです。

 

濡須口の戦い特集バナー

 

曹洪の客を法に照らして殺害する

魏の諸将を恐れさせた楊沛(ようはい)

 

楊沛は曹操軍に食料を提供したことがきっかけで曹操に仕えることになります。曹操は彼に長社の令へ就任させます。楊沛は長社に赴任すると曹操の一族である曹洪の客が税金を納めていないことが発覚。彼は曹洪の客に税金を納めさせるために取立てを行いますが、応じることはありませんでした。楊沛は曹洪の客が税金を払わないため、法律に照らし出して彼を殺害してしまいます。曹操は自らの一族に関係している者でも容赦なく法律に照らして罰していく彼の姿勢に感心し、各地の太守を歴任させます。しかし彼は軍の監督役と喧嘩したことが原因で刑罰を受けてしまいます。

 

鄴の行政官へ任命される

魏の曹操孟徳

 

曹操は孫呉を討伐するために本拠地である鄴(ぎょう)を離れることになります。曹操がいなくなった鄴では非常に治安が悪くなり法律を破る人が多くなってきます。曹操はこの報告を聞くとすぐに「新しい県令を選んで報告しろ」と命令を下します。命令を受けた役人は曹操へ「新しい鄴の県令の人選を行いましたが、楊沛と同じくらい厳格な人間でないと鄴をしっかりと収めることは難しいでしょう」と報告。曹操はすぐに罪に服している楊沛を呼んで「今から鄴の県令として働いてくれ」と命令します。そして曹操は場に集まっていた諸将へ「こいつはマジで怖いから気をつけろ」と笑いながら話します。楊沛が鄴の県令を務めることを知った曹洪や劉勲はすぐに鄴へ馬を走らせて、自らが養っている客や子供達、使用人へ「鄴の法律をしっかりと守れ。次に来る県令はかなり厳しいから気を付けよ」と忠告したそうです。

 

三国志ライター黒田レンの独り言

三国志ライター黒田レン

 

楊沛が鄴へ着任するとすぐに法律を厳格にして民衆達をしっかりと治めていきます。曹操が遠征から鄴へ帰還すると以前とは見間違えるほど民衆や役人達はキビキビと動き、犯罪が報告されることはほとんど無くなったそうです。ほとんど知っている人がいないマイナーな武将ですが、彼らがいなければ広大な魏の領土を上手く治めることはできなかったでしょう。ほとんど知られないマイナー文官列伝・楊沛をご紹介しました。

 

参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志魏書3 今鷹真・井波律子著など

 

関連記事:【孔明死後の三国志に詳しくなろう】司馬師打倒の兵をあげた毌丘倹の反乱はなぜ失敗したの?

関連記事:【晋の皇帝 司馬炎の悩み】司馬家の後継者問題

 

魏のマイナー武将列伝

 

 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

三國志が大好きです。オススメのマンガは曹操を描いた蒼天航路がオススメです。三國志の小説のオススメは宮城谷昌光氏が書いた三國志です。好きな食べ物はマグロ、ぶり、アジが大好きな猫です。

-はじめての魏
-