刀匠と言われる干将・莫耶(かんしょうばくや)。
ゲームFate/Zeroに出てくる英霊アーチャーが使っている剣が、
干将・莫耶という名前の剣で、二対の剣を使って戦っている姿は、
見たことある方は「あれか~」と納得していただけると思います。
また名作マンガの一つである「うしおととら」にも干将・莫耶のお話が出てきます。
さらにキングダムでも項翼(こうよく)が莫耶刀と言われる剣を抜いて戦っておりました。
このように色々なところで干将・莫耶の名前が出てくるので、結構知っている方も多いと思いますが、
実はこのふたりが作った剣が三国志にも登場しているのをご存知でしたか。
今回は干将・莫耶の剣と三国志がどのように関わっていたのかをご紹介したいと思います。
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干将・莫耶が作った名刀
干将・莫耶は夫婦で旦那が干将、奥さんが莫耶です。
二人は春秋戦国時代の人で呉国の出身であると「呉越春秋(ごえつしゅんじゅう)」と
言われる歴史書に書かれております。
彼らが作った剣は数多く色々なところに残っておりました。
その後ふたりが作った剣は時を越えて三国志の終末時代へ流れていきます。
蜀は滅び、魏は司馬氏によって乗っ取られて無くなり、国号を晋としておりました。
また呉は蜀滅亡後も名将・陸抗(りくこう)や陸凱(りくがい)と言われる文官が、
頑張っていた事がきっかけでかろうじて国土を保持しておりました。
そして晋が呉を討伐して天下統一を成し遂げようとしていた時に、
干将・莫耶が作った剣が再び歴史の表舞台に姿を現すことになります。
呉の方角に紫気あり
晋の時代文学者に張華(ちょうか)という人物がおりました。
彼は若い頃占い師に「君は60歳を超えた時に三公の位に就任することになるであろう。
また三公就任時、宝剣を手に入れることになるであろう」と予言されました。
こうして彼が60歳に近づいていた頃、
晋では呉を討伐するかどうか激しい議論が交わされておりました。
張華は呉討伐に賛成しておりましたが、議論が決着をつくことはありませんでした。
その後彼はある夜、天文を読む人々とともに南方の空を見ていました。
すると天文を読む者達が「呉の方角に紫気が見える。呉はまだまだ討伐されないでしょう」と
張華に進言します。
この言葉を聞いていた張華でしたが、
彼はスルーしてそのまま夜空に浮かぶ星星を見ておりました。
その後呉は晋によって討伐されることになりますが、
天文を占う人々は紫気が消えていないと張華に訴えます。
そこで彼は豫章(よしょう)に住む天文学者である雷換(らいかん)を呼び寄せます。
雷換の読み
雷換は張華の元へやってくると「南方の紫気は宝剣が埋まっている事を示しているのでしょう。」と
さらりと述べます。
この言葉を聞いた張華は「そうか。そういえば昔占い師に60歳を超えた時に、
宝剣を手にすることができるであろうと言われたことがあった。その宝剣は一体どこにあるのだ」と
聞き返します。
すると雷換は「豫章郡の豊城県の方角から見えます」と進言。
張華は「君を豊城県の県令にしてあげるから宝剣を持ってきてもらいたい。できるか。」と
問います。
すると雷換は任せてくださいと快諾。
こうして張華は雷換を豊城県の県令に任命すると彼に宝剣捜索をさせます。
二振りの剣を見つけるが・・・・
雷換は豊城県の県令になるとすぐに宝剣を発見。
しかし宝剣は二振り隠されており、一つの宝剣には龍泉。
もう一つには太阿(たいあ)と書かれておりました。
雷換は龍泉の剣を送り、太阿の剣を自らの元に残しておりました。
張華は雷換から宝剣が届くと大いに喜び、いつも部屋に飾っておりました。
しかし張華は晋王朝の権力争いに巻き込まれて亡くなってしまいます。
彼の死後干将・莫耶が鍛えた剣は行方知れずになってしまうのです。
三国志ライター黒田レンの独り言
この話には続きがあり、雷換も張華が亡くなった後に亡くなります。
雷換が持っていた宝剣は息子である雷華(らいか)へ受け継がれることになります。
彼はいつも宝剣を腰にさして歩いており、仕事で延平の渡で船に乗ることになります。
この時腰に差していた宝剣がいきなり川に落ちてしまいます。
彼は急いで従者を水中に潜らせて探させます。
数分後従者が川から上がってくると雷華に「殿。水の中に二匹の龍がいて探せません。」と
言ってきました。
雷華は水中を覗くと大きな龍の姿が水の中に浮かび上がっておりました。
こうして宝剣は雷華の手に戻ることなく失われてしまったそうです。
「今回の三国志のお話はこれでおしまにゃ
次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃあまたにゃ~」
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