項翼(こうよく)は実在した?彼は項羽の父なのか?【キングダム考察】


はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

項羽

 

大人気漫画、キングダム、その物語に登場する楚軍の千人将に項翼(こうよく)という人物が登場しています。名剣、莫耶(ばくや)剣を遣うこの人物、項という氏といい楚の人間である事といい、どう考えても西楚の覇王項羽(こうう)の父のように思われるのですが、実際の所はどうなのでしょう?

 

関連記事:キングダムと三国志の違いって何?時代を追ってみる

関連記事:三国志を楽しむならキングダムや春秋戦国時代のことも知っておくべき! 

関連記事:『うしおととら』の獣の槍の元ネタは孫子の時代にあった?古代中国の名剣・干将と莫邪


楚の大将軍、名門項家の系図とは?

項羽 はじめての三国志002

 

項一族の家譜(一族の来歴、官職の有無を記したもの)によると、項家は、代々が楚の将軍を襲名した名門の家系だったようです。キングダムに登場する楚の項燕の父は26世項寄彬(こうきひん)といい楚の下相(かそう)で生まれた人物で、やはり楚の上将軍だったようです。上将軍、項寄彬は、屈(くつ)氏の娘を娶って子供を二人授かります。その長男が後に楚の大将軍になる項燕(こうえん)です。


項羽、項燕の激しい性格は、先祖の屈源が影響している

 

さて、楚には、王族に連なる、屈氏、景(けい)氏、昭(しょう)氏という名族が存在していました。これを楚の三閭(さんりょ)と言いますが項燕の娶(めと)った屈氏は、この三閭の出身と考えて間違いありません。

 

この屈氏からは、歴史に名高い忠臣、楚の屈源(くつげん)が出ています。屈源は激情の政治家で、正論を飽くまでも通そうとする人物でした。その為に、当時の楚王で、暗君として有名な懐王に盾突いて、不興を買い周囲の人間も禍いを恐れて屈源から離れてしまいます。こうして屈源は最後には楚の政治に絶望し憤激の余り入水自殺しますが、項燕や項羽にも見られるその性格の激しさは屈源の遺伝かも知れません。


項翼という人物は、項家に存在するのか?

信 キングダム

 

項燕は字を叔燕(しゅくえん)といい、父と同様に下相の王陵里(おうりょうり)という所で生まれました。軍事に非凡な才能があり地位は大将軍、攻めこんできた秦の武将、李信(りしん)蒙恬(もうてん)の20万の大軍を完全に撃破して天下に名を轟かせます。

 

その余勢を駆って、項燕は逆に秦に攻め込みますが名将王翦(おうせん)は持久戦を採用して動かず楚軍が疲労した時を狙って反撃し項燕を撃破します。そのまま、王翦は楚に攻め込んで楚王の負芻(ふすう)を捕えて楚は滅亡します。楚が滅亡しても、項燕は諦めずに秦にいた楚の王族の昌平君を王に立てて抵抗しますが、長くは続かず、秦の王翦に滅ぼされて自害しました。

 

関連記事:【戦神】昭襄王の兄は無類の筋肉マニア?筋肉へのこだわりがハンパじゃない始皇帝の曽祖父・武王

関連記事:秦国の六虎将軍・李信の妻となるのは誰かを大胆予想!羌瘣?それとも河了貂か?

関連記事:信ってどんな人?キングダムの主人公は史実が少ない謎多き人物

関連記事:秦の始皇帝ってどんな人だったの?幼少期編


項翼のモデルは、項燕の息子達なのか?

 

さて、この項燕は結婚して申(しん)氏を娶り、項嬰(こうえい)、項梁(こうりょう)、項伯(こうはく)、項仲(こうちゅう)という4名の男子を授かっています。これで見ると、項翼という名の人物は4名の中にはいません。もしかすると、実在の人物をモデルにして、名前だけを少し変えている可能性もあるので、この4名の事績を1人、1人見ていきましょう。

 

項燕の次男の項梁は、項羽の叔父として頻繁に歴史に登場します。もし、キングダムで描くなら項翼ではなく、項梁として描くでしょうから、彼は項翼ではありません。項燕の三男の項伯は、項梁の兄弟ですが、武将というより軍師タイプでした。

 

張良

 

若い頃に劉邦(りゅうほう)の軍師、張良(ちょうりょう)に命を救われその恩義から項羽の叔父ながら劉邦を庇ったりしています。このような事から、項伯は項羽とは決別し楚ではなく漢に仕えています。ですので、こちらも項翼のモデルにはそぐわないと考えます。4男の項仲ですが、こちらは、歴史上に明確な記載がありません。そこで、項翼のモデルにするには、無理があると言えます。

 

関連記事:劉邦や劉備も手本にした人物 「重耳」 とは?

関連記事:楚の英雄・項羽と三国志一の強さを誇った呂布には共通点が盛りだくさん

関連記事:項羽(こうう)ってどんな人?史上最強の孤独な戦術家 Part.1

【次のページに続きます】

次のページへ >

1

2>

関連記事

  1. 羌族
  2. 藺相如(りんしょうじょ)
  3. 昌平君
  4. 李儒と三国志(はてな)
  5. 孟嘗君

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


はじめての三国志企画集

“はじめての三国志企画特集"

3冊同時発売

“脱税の歴史

“三国志人物事典"

“ながら三国志音声コンテンツ"

ASMR

PAGE TOP