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『うしおととら』の獣の槍の元ネタは孫子の時代にあった?古代中国の名剣・干将と莫邪

うしおととら(1) (少年サンデーコミックス)

 

1990年から週刊少年サンデーに連載されたマンガ『うしおととら』。

数々の賞を取り、2015年には25年連載開始から25年越しのテレビアニメ化が実現したこの作品に登場する武器“獣の槍”の元ネタが、

古代中国にあったとされる名剣ということを、皆さんはご存知でしょうか?

 

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『うしおととら』で語られる“名剣”鋳造の逸話

 

『うしおととら』の劇中、主人公が時を遡ってたどり着くのが「2290年前の中国」です。

時代的にはちょうど戦国時代に当たる時期です。

ここで主人公が出会った刀工の親子は、王に献上するための剣を作ろうとしていましたが、製造の過程でどうしても剣にヒビが入ってしまい、上手くいきません。

 

落胆する刀工の父親に息子が修行先で聞いた話として教えたのが名剣、干将(かんしょう)と莫邪(ばくや)の逸話でした。

 

一対の名剣

 

干将と莫邪は合わせて一対とされる名剣とされています。

剣を作った職人の名前が干将、その妻の名前が莫邪で、その二人の名を取って命名されています。

陰陽説に基いて、干将は陽剣、莫邪は陰剣であるとされました。

 

また、それぞれ刀身に、干将には亀裂のような文様が、莫邪には波紋のような文様があったことが外観上の特徴であったとされています。

 

“干将”と“莫邪”にまつわる逸話

孫武 ゆるキャラ

 

“干将”と“莫邪”が作られたのは、現代からおよそ2500年前、『うしおととら』の劇中の時代からは約200年ほど前、春秋時代の呉の国でした。

 

その時代の呉は、六代目の王、闔閭(こうりょ)が統治する時代でした。

闔閭には、伍子胥(ごししょ)や孫武(そんぶ)といった臣下が仕えており、呉はその時代隆盛を誇っていました。孫武とはあの「孫子」の作者とされる人物です。

 

あるとき、闔閭は名工として知られる干将に二振りの剣を作るように命じます。

干将は国中から最高の素材を集め、剣造りに最高の条件を整えて剣の鋳造に挑みました。

 

しかし、急に気温が下がったことから鉄が溶け合わず、作業は三ヶ月経ってもなおはかどりませんでした。困り果てた干将が思い出したのは、自分の師匠のことでした。

 

髪と爪を炉に投じて剣を作る

photo credit: d8_november via photopin (license)

photo credit: d8_november via photopin (license)

 

かつて、干将の師匠は今の干将と同じような苦難にあったとき、夫婦ともども炉の中に身を投じて鉄を溶け合わせさせました。

干将はそのことを思い出し、妻である莫邪に髪と爪を炉に投じるよう命じます。

 

さらに、三百人の弟子にふいごを吹かせたところ、鉄はようやく溶け合い見事な一対の剣を作ることに成功しました。

 

その出来栄えのあまりの良さから、干将は陽剣を手元に残し、陰剣のみを闔閭へ献上したといいます。

 

やがて、闔閭は魯の国から来た使者にこの莫邪を与えようとしましたが、刀身に刃こぼれがあることに気づいた使者は呉がやがて滅亡することを予感し、剣を受け取ろうとはしませんでした。

 

“呪われた剣”としてのイメージ

photo credit: All Lights via photopin (license)

photo credit: All Lights via photopin (license)

 

上記の話は『呉越春秋』(ごえつしゅんじゅう)という書物に書かれているものですが、他の書物では物語の舞台は呉ではなく楚(そ)の話であるとする説もあります。

 

その書物によれば、干将は剣の献上が遅れたこと、更に一対の剣の片方を隠したことに逆上した楚王によって処刑されてしまいます。

干将が死んだ時、莫邪がみごもっていた子である赤(せき)は成長してからこのことを知り、父の隠していた陽剣を見つけ出して復讐を誓いますが、逆にそのことを知った楚王によって終われ、山へと逃げ込みます。

 

父の仇を取ることかなわず、赤が嘆き悲しんでいるところに旅人が通りかかります。

事情を知った旅人は『代わりに仇を取ってお良いがそのためにはお前の首が必要だ』とお言います。

赤は旅人が約束を守ると誓うと、自ら首を刎ねて死にました。

 

赤の首を持った旅人は楚王に献上し、『熱湯で煮て溶かさなければならない』と告げます。

楚王は言われた通りに赤の首を煮えたぎる釜に入れますが、いつまでたっても溶けません。

旅人から「王が上から良く見ればきっと溶けるでしょう」と言われた楚王が釜を覗き込んだその時、旅人は隠し持っていた陽剣で王の首を刎ね、そして自分の首も刎ねてしまいました。

 

三王墓2

 

3つの首はすべて釜の中で融け合ってしまい、臣下のものは致し方なくそれらをまとめて葬ることにしました。

この墓は“三王墓”と呼ばれ、現在も存在しています。

 

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