あらすじ:後の高麗二十五代忠烈王、諶(しん)は、1269年、高麗王、
元宗の代理で皇帝フビライ・ハンが留まる上都に沢山の貢物を持ってやってきました。
現在では、モンゴルと連合して対馬を攻めている高麗、しかし、それ以前は、
三十年に渡りモンゴル軍と激闘を繰り広げた国だったのです。
そして、その事は、モンゴルの高麗国への不信として色濃く残っていました。
日本史上最大の危機、元寇を描いた、たかぎ七彦の冒険チャンバラ時代劇
「アンゴルモア元寇合戦記」のネタバレです。
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前回記事:アンゴルモア 元寇合戦記ネタバレ 第29話 高麗がモンゴルと組んだ理由
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この記事の目次
フビライ・ハンは、諶に更なる忠誠を要求する
モンゴル語で自己紹介をしようとして、モンゴルの家臣達に嘲笑された諶ですが、
フビライ・ハンは、「自分の言葉で語ろうとするものを何故笑う!」と一喝します。
しかし、フビライは、高麗を信用しておらず、上位に上りたいなら、
さらに忠誠を尽くせと諶を見下し、冷たく言い放ちます。
モンゴルは率先服属を重要視していて、無抵抗で降伏した国であればあるだけ
重く扱うという掟を持っていました。
その掟に従えば、三十年も抵抗した高麗は、最低ランクに甘んじるしか
無かったのです。
モンゴルの公主を妻にし王族に上りたい 諶の野望
諶は、惨めな高麗の境遇を何とかしたいと思っていました。
搾取されるばかりの最下層の国から脱し、モンゴルの王族並みに遇されるには
どうすればいいのか?
「フビライ・ハンの娘を妻にすれば王族に上れる」
諶は、その野望の為に、どこまでもモンゴルに媚び尽くしフビライの信頼を掴み
その娘を妻にして高麗の地位を高める事を決意します。
高麗の使節が帰国する途中、武臣の林衍(イム・ヨン)がクーデターを起こして
元宗を玉座から引きずり下ろすという事件が起きます。
諶は、この時に躊躇わずにモンゴルに救援軍を要請し、援軍と共に漢城に戻り
林衍を撃破して、父、元宗を再び、玉座に戻しました。
諶、自ら望んで元の親衛隊(ケシク)に入る
諶は、内紛を自力で解決できない事で、高麗の内政にモンゴルを介入させます。
さらに諶は、復位した父、元宗に対して、フビライの娘を妃に迎える為に
自分自身が、モンゴルの親衛隊(ケシク)に入隊したいと志願しました。
ケシクに入れば、2~3年は高麗には戻れません。
裏を返せば、皇太子、諶は、ていのよい人質になるわけです。
それに対し、元宗は複雑な表情を見せます。
降伏したとは言え、モンゴルはかつての敵なのです、そのモンゴルに皇太子の
諶が喜んで媚びていくのが、たまらなく寂しかったのです。
「諶よ、、父の顔が見えてるか?上都へ行って以来、
お前は、どこか熱病にでもかかっているようだ」
しかし、モンゴルの力で、息子の機転で玉座に戻れた王に、
諶を止める事は出来ませんでした。
ケシクとして励む諶にフビライ・ハンが話しかける
西暦1271年、諶はケシクに入隊します。
ケシクはフビライ・ハンを守る直属の親衛隊で、モンゴルに服属する
諸国、諸王の子弟で構成されていました。
このケシクでは、大ハーンへの忠誠が叩きこまれる思想改造が行われ
ケシクを出た人材は、元帝国を支えるエリートとして各地へ派遣されました。
像が引く輿に乗るフビライ・ハンが護衛に付く諶に話しかけます。
フビライ「朕の娘が欲しいのだったな?」
諶「そうです」
フビライ「だが、まだやるわけにはいかんな」
再び、高麗が三十年もモンゴルに盾突いた事を口にするフビライ
うんざりする諶ですが、そこでフビライが意外な事を言います。
フビライ「だが、どうしても欲しくば、武功を立てる事だ」
フビライ・ハン、日本遠征を示唆、高麗に先陣を命じる
フビライ・ハンは服属命令にも応じず、勝手に皇帝を名乗り、
独自の年号を使い、モンゴルが戦闘中の南宋を支援する
日本に遠征すると宣言します。
そこで高麗が、その戦いに従い、大きな手柄を立てれば、
フビライは、娘を諶にやってもいいと言ったのです。
フビライ「そなたの父、今の高麗王は、朕の威徳が日本に届くのを、
何年にもわたり妨害してきたが、朕の娘婿になるお前はどうかな?」
諶は、迷う事なく、高麗軍を率いて、日本を屈服させて、
世界をモンゴルの屋根の下に一つにすると宣言します。
フビライ「息子よ、お前の言葉は随分上達したな・・」
フビライ・ハンは、目を細めて初めて笑いました。
やがて、高麗王、元宗が死去し、諶は忠烈王として即位。
こうして、高麗はモンゴルと共に日本に攻め込む事になるのです。
アンゴルモア元寇合戦記 kawausoの一言
元寇に高麗、(今の韓国と北朝鮮)が関わっていた事を知る人は少ないです。
さらに、それ以前に高麗がモンゴルと30年、激闘していた事も、
あまり知られていないでしょう。
激しく抵抗した為にモンゴルに冷遇され、それを取りかえす為に、
どこまでもモンゴルに尽くし、モンゴル帝国の中で上を目指した諶、
心情としては分かりますが、日本サイドとしてはウーンですね。
何でって、高麗って史実では結構、強いんですよ・・
高麗の葛藤を描いた、たかぎ七彦氏の筆力には脱帽です。
おさらい:アンゴルモア元寇合戦記七巻
モンゴル軍に追いつめられた、朽井迅三郎(くちい・じんざぶろう)と
対馬武士団、そして避難民は安徳帝の勅書を伝手に、刀伊祓(といばらい)衆の居城。
金田城(かなた・ぎ)に籠城する事になるが、裏切りと苦戦が待ち受けていた。
いつもながらギリギリの戦いが熱い、おススメです。
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