袁紹(えんしょう)と曹操(そうそう)が激戦を繰り広げた官渡の戦い。
この戦いの結末は曹操が袁紹の食料集積地であった鳥巣(うそう)を襲撃して、
焼き払います。
その結果袁紹軍の兵糧が無くなった事がきっかけで袁紹軍は敗北してしまうのですが、
鳥巣を襲撃して兵糧を焼き払ったことだけで袁紹軍は敗北してしまうのでしょうか。
実は鳥巣襲撃が終わった後、
曹操があることを行ったことがきっかけで袁紹軍の兵士達が
恐慌状態になってしまったんです。
鳥巣攻撃によって袁紹軍の兵糧が無くなったことを知った張郃(ちょうこう)らは、
曹操に降伏し袁紹軍の官渡城攻略軍は崩壊することになり敗北してしまうのです。
今回は袁紹に勝利することになった要因である鳥巣襲撃時に曹操が行ったことを
ご紹介したいと思います。
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許攸(きょゆう)から情報提供される
曹操軍は官渡の城に篭城して袁紹軍の猛攻を防いでおりました。
袁紹軍は地下道を掘って官渡の城へ攻撃を行ったり、
土で山を作ってその上から弓矢を官渡城へ放ったりしておりました。
官渡城内の曹操軍は上空が見えなくなるほどの袁紹軍の弓矢の乱射を受けることになり、
城内を歩くときは常に盾をかざしていないと歩けいないほどの状態でした。
これほどの苦戦を強いられている状態の袁紹軍から一人の人物が、
曹操軍へ寝返ってきます。
その人物の名は許攸(きょゆう)です。
彼は曹操へ「鳥巣に袁紹軍の兵糧が集積されており、守備軍もあまり多くはありません。
ここを奪えば袁紹軍は攻撃を継続することができなくなるでしょう」と
袁紹軍の機密情報を提供。
曹操は幕僚をよんでこの情報を信用するべきかどうか会議を行わせます。
諸将の大半は「許攸の情報を信じるべきではない」と判断しますが、
荀攸(じゅんゆう)らの軍師達は「この情報を信じるべきである」と述べます。
曹操は荀攸らの判断に従って鳥巣攻撃を行うべく出陣することにします。
鳥巣の兵糧を焼き払う
曹操は許攸の情報提供を信じて鳥巣へ自ら軍勢を率いて出陣。
許攸の情報通り鳥巣には兵糧が集められている状態で、
袁紹軍の守備軍もあまりいない状態でした。
曹操軍はすぐに鳥巣守備軍へ攻撃を敢行し、鳥巣の兵糧を焼き払うことに成功すると
鳥巣守備軍の将軍達を殺害し兵士や家畜達を集めるとあることを行います。
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牛の舌を斬り、兵士の鼻を削ぐ
曹操は鳥巣守備部隊であった兵士や家畜達を集めます。
そして鳥巣守備部隊であった兵士達の鼻を削ぎ、
家畜達の舌を切り落として台車に乗せて袁紹軍の本陣へ向かわせます。
鳥巣守備部隊が袁紹の本陣へ到着すると彼らの鼻がないことに気づき、
袁紹軍の兵士達の士気は一気に崩壊して、曹操軍に恐怖を抱くことになります。
また鳥巣の兵糧集積所が陥落したことを知った官渡城攻撃部隊であった
張郃や高覧(こうらん)らは曹操軍へ降伏することになります。
こうして袁紹軍の前線部隊は壊滅状態に陥り、
この隙に官渡城を守備していた曹洪(そうこう)軍が袁紹軍に猛攻をかけたため、
袁紹軍は大敗北してしまうのです。
こうして官渡の戦いは曹操軍の勝利で閉幕することになります。
三国志ライター黒田レンの独り言
曹操は厳しい戦いであった官渡の戦いに勝利します。
曹操軍よりも袁紹軍のほうが兵力が多く圧倒的に不利な状況に置かれていたため、
曹操もなりふり構っていられない状態であったのでしょう。
だからこそ曹操は袁紹軍の士気を低下させ恐慌状態にさせるためには、
鳥巣を守っていた守備兵達の鼻を削いで家畜達に残虐な行為を行うことで
曹操軍がどれほど恐ろしいのかを示したのではないのでしょうか。
参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志魏書1 今鷹真・井波律子著など
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