黄月英(こうげつえい)はどんな人?実は名前さえ分からない謎の女性

2017年10月16日


 

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※こちらの記事は「大戦乱!!三国志バトル」専用オリジナルコンテンツです。

 

諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)の妻といえば、

黄月英(こう・げつえい)と三国志ファンなら答えるでしょう。

彼女は髪が金髪で色黒のブスでしたが、頭脳においては孔明に匹敵していて、

木牛流馬を発明するなどして、夫の仕事を助けた良妻賢母だと言われます。

しかし、実は、孔明の奥さんについては史実では名前さえ分かっていないのです。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孔明の妻については襄陽記に僅かな記述があるのみ

 

黄月英について記述しているのは、蜀書、諸葛亮伝の註にある襄陽記です。

それによると、以下のような事が紹介されています。

 

黄承彦(こう・しょうげん)とは沔南(べんなん)の名士で、

爽やかで開けっぴろげな性格だった、彼が諸葛孔明に謂うには

 

「聞けば君は妻を探しているとか?私にはブスの娘がおり

髪は金髪で黒い顔色だ、しかし才能は君の妻として耐えられるがどうだ?」

 

孔明が「それならば是非」と許したので、即座に車に載せて送った。

同時代の人々は失笑して、故郷では、諺が出来た。

曰く「孔明の嫁選びを真似するなかれ、黄ちゃんトコのブスを引くぜ」

 

黄月英に関する正史の記述は、たったこれだけです。

分かっているのは、髪が黄色で顔が黒く、ブスだけど聡明だった

という記述のみで、それ以外の事は不明なのです。

 

民間伝承で黄月英は、キャラクターがつけられる

 

そんな孔明の奥さんですが、黄色い髪に黒い顔のブスで賢いという

キャラ設定は強烈であり、変人孔明を支える変人嫁として、

人々の格好の空想の餌食になります。

こうして、名前さえ不明の彼女には、黄月英という名がついて、

孔明の代わりに発明家としての役割を与えられるなど、

民間伝承の中で異彩を放つようになるのです。

 

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民間伝承 孔明の嫁取り

 

では、一つ、孔明と月英の馴れ初めを伝える民間伝承を紹介しましょう。

 

昔々、諸葛孔明は、若い頃から隆中で学問に励み、一心不乱に務めたので、

次第に名声が上がりますが、お付き合いは書物だけで女っ気はからきし

もう、二十にもなろうというのに、所帯を持とうともしません。

 

そこに、名士の黄承彦が目をつけて、孔明を自分の家に呼び、

「私の所に婉貞(えんてい)という年頃の娘がいるのだが、君の妻にどうだろう?」

とお見合いを斡旋してきたのです。

 

ところが、孔明、お茶を濁すばかりで、少しも前向きではありません。

なぜか?それは、孔明が黄承彦の娘が、赤毛、色黒、あばた顔という

評判のブスである事を知っていたからです。

 

(承彦め、、私にブスを押しつけようというのだな、、そうはいくか!)

 

そんなある日、今度は黄承彦が、自分の家の古画を見に来ないか?

と誘ってきました、どうせ、また、娘と会えと言うんだろうと孔明は、

ゲンナリしましたが、上手く断る理由がなく渋々やってきます。

 

孔明に襲いかかる、猛犬と猛虎!

 

嫌々、黄家の玄関をくぐる孔明ですが、そこに突然、猛犬が現れます。

びっくりした孔明が逃げると、今度は横から猛虎が飛び出して来ます。

「お!お!お助け~」全力で逃げる孔明ですが、良く見ると、猛虎は、

猛犬を追いまわし、孔明を無視していきます。

 

落ち着きを取り戻した孔明がよく見ると、猛犬も猛虎も、

実は木製のカラクリだったのです。

そこで、ようやく黄家の家人が現れて、孔明を応接間に通します。

黄承彦は、すでに座って待っていました。

 

しばらくすると、孔明の前に、お茶を持った人がやってきましたが、

それを見ると、こちらも木で出来たカラクリだったのです。

 

カラクリを造ったのは、黄承彦ではなく・・

 

孔明はびっくり仰天して、すっかり感服してしまいます。

「黄先生の技はまさに神技、人智を超えております」

 

しかし、黄承彦は手を振って否定します。

 

「はっはっは、、褒められて嬉しいが、

これは私が造ったのではない

私の不細工な娘、婉貞が造ったのですよ」

 

孔明は、またまた仰天、こんなに精巧なカラクリを、

まさか女性が造っているとは信じられません。

 

「このような精巧なカラクリを造れる女性が

本当にブスなわけはありませんよ」

 

「いやいや、、本当に見苦しい娘が造ったのですよ

ですので、嫁の貰い手もなかったのです」

 

ここで孔明はハッと気付きました。

自分は、女性の外見にとらわれて内面を見ようとしなかった。

それを黄承彦に見透かされていたのが分かったのです。

 

孔明は耳まで真っ赤になり、その場にひざまずきました。

 

「私が間違っておりました、婉貞嬢は世に二人といない才女、

どうか私に娶(めと)らせて下さい」

 

こうして、孔明は、自分から婉貞を嫁に貰いたいと

黄承彦に告げたのです。

 

不細工と評判の黄婉貞、、本当は

 

さて、婚儀の日がやってきます、寝室で孔明がドキドキしながら、

黄婉貞の顔のベールを取ると、最後のサプライズが待っていました。

赤い髪、黒い顔、あばた顔と聞かされた黄婉貞は、天女と見紛う程の

美女だったのです。

 

「あなたはブスだと聞いていたのに、どうして嘘をついたのですか?」

孔明が不思議に思い聞くと、黄婉貞は恥ずかしそうに言いました。

 

「私は幼少の頃から、諸子百家の学問に親しんでいました。

それで、年頃になったので、つまらない男を避ける為に、

わざと髪を赤く染め、顔を黒く塗り、あばたを描いて

ブスであるという噂を振りまき、外見ではなく

中身を見てくれる男性を待っていたのです」

 

こうして、外見ではなく内面を取った孔明は結果として、

外見も美しい妻を手に入れる事が出来たのでした おしまい・・

 

ギャップと教訓話の融合

 

こちらの民間伝承では、孔明の妻の名は、黄月英ではなく黄婉貞ですが、

話の骨子は、発明家、本当は美女、つまらない男をかわす為に

ブスを装う=才女というセオリーを踏襲しています。

さらに、孔明のように外見ではなく、内面を見る目を養いなさい

というような教訓話も加味されました。

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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