【八陣図】三国志の戦術マニア必見!少ない兵力を多く見せる必殺疎陣とは何?

2017年11月29日


 

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三国志の時代における基本の陣形を八陣(はちじん)図と言います。

色々な説がありますが、八陣とは、方陣、円陣、疎陣、数陣、錐行之陣、

雁行之陣、鉤行之陣、玄襄之陣の8つで、それを戦の状況に応じて使い分けるのが、

軍師や将軍の役割であったのです。

そこで、今回は、このような八陣の中で、少ない兵力を多く見せる事が出来る

Kawauso好みの疎(そ)陣について解説しましょう。

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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少ない兵力でも、大丈夫、少数を多数に見せる疎陣

 

兵法家孫武(そんぶ)は、「兵は詭道(きどう)なり」と書いています。

詭道とは騙すという意味であり、戦争に精通している将軍や軍師は、

少ない兵力を多くみせ、多い兵力を少なくみせ、近くに来ても、まだ遠いと誤認させ、

未だ遠くても、近くに来ていると恐れさせ、変幻自在、敵を翻弄して

隙を突き、勝利を掴むのです。

そんな詭道の中でも、直接、敵と戦うフォーメーション、陣形は重要です。

 

疎陣とは、上記のようなフォーメーションです。

特徴は、少ない兵力を目一杯に拡散して、こちらの数を多く見せ、

敵に攻撃を躊躇(ちゅうちょ)させる事により、敵の士気の喪失を狙います。

兵士の数を多く見せるのは、玄襄(げんじょう)之陣も同じですが、

あちらは、積極的に戦わないのに対し、疎陣は積極的に戦う点が違います。

 



疎陣を成功させるポイント1 ゆっくりと動き、薄い中央を誤魔化す

 

疎陣を成功させるには、とにかく、ゆっくりと動きまわるのがポイントです。

この陣は、中央がとても寂しいので、左右の陣がゆっくりと動いて、

さも、この陣は密度が詰まっているぞと錯覚させるのです。

ですので、この疎陣で厳禁なのは、兵士が走る事で、兵士が走ると、

陣形の足並みが乱れてしまい、実は兵力が少ないのがバレてしまいます。

 

疎陣を成功させるポイント2 旗と武器を外側に向けて増やす

 

疎陣のポイントは、旌(しょう)や旄(ぼう)、幡(はん)という軍旗類、

そして、を敵からよく見える前面に出す事です。

武器や軍旗は、目立たない内側の兵から、外側の兵に渡し、

さかんに振り回す事で、いかにも、大軍に見せかけるのです。

 

皆さんは、こんな子供騙しで、敵が兵数を錯覚するのか?と思うかもしれませんが、

人間の一瞬における数の認識は、いい加減なもので、数える対象が700を超えると

それを見た時の印象次第で700~2000までバラつきが出ると

kawausoは何かのテレビで見た記憶があります。

 

つまり、印象次第で、目の前の敵の数は、実際の3倍に見えるという事、

勢いよく、活発に兵を動かす事により、1000の兵を3000に見せるのも

可能になるという事なのです!多分・・

 

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素早い動きには、軍旗「表」を用いる

 

また、素早い兵の動きには、軍旗である「表」の動きが重要です。

皆さんは、義務教育の時代、体育祭などで揃って行進などをした筈ですが、

その時に、基準になる生徒がいませんでしたか?

 

その生徒が、運動場の真ん中に走り出て、右手を上げて「基準」と叫ぶと

他の生徒が、わーっと集まって、基準の生徒を中心に整列するアレです。

こうすると、漫然とバラバラに集まるより、素早く綺麗な整列が出来ます。

 

表というのは、その基準の生徒の役割を果たす旗で、

表を中心に兵士が集まり陣形の変化などに対応するのです。

こちらの表は曹操(そうそう)が書いた、歩戦令にも出てきますよ。

 

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三国志ライターkawausoの独り言

 

今回は、少ない兵力を多く見せる陣形、疎陣について解説してみました。

八陣とは基礎ですが、これに、それぞれの将軍や軍師が無数のアレンジを加える事で、

実際の陣形は、複雑なパターンを持つモノに変化していきました。

ただ、陣形の基本はジャンケンのように臨機応変なもので、最強の陣形、

もしくは、絶対にやぶれない無敵の陣形などというのは創作の中だけの話で、

実際には、存在しませんでした。

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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