お勧めしません!部下をダメにする諸葛孔明の管理術

2018年2月20日


 

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三国志演義の諸葛孔明(しょかつこうめい)はいい人です。真面目で公平無私でよく働きます。いつも一生懸命な彼が志を遂げず蜀(しょく)の国運が衰微してゆく様は涙なくしては読むことができません。

 

画像利用について03 孔明

 

誰もが認めるほど有能で努力家のリーダーが失敗するためにはどのような秘訣があるのでしょうか。三国志演義の諸葛孔明像から学ぶべき3つのコツをご紹介いたします。

 

 

※本稿は全て演義ベースで進めます。あらゆる批判は三国志演義の演出に対するものであり、現実の諸葛孔明に対して何ら論評を加えるものではありません。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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【コツその1】人をあからさまに疑いながら使う

 

もしあなたの職場に、ずば抜けて優秀でありながら人格的に信頼のおけない部下がいたとしたら、あなたはどう扱うでしょうか。いかに能力があろうとも果断に切り捨てるでしょうか。それとも、その能力を惜しみ、人格についての不信感は胸の内にしまっておきながら仕事をさせ、不正を行わないかそっと見張っておくでしょうか。いずれのやり方でも、あなたは思うように失敗することができないでしょう。

 

孔明が気に食わない魏延

 

諸葛孔明は「人をあからさまに疑いながら使う」という方法で、優秀な部下の魏延(ぎえん)を反乱に追い込み死に至らしめるという失敗をしました。

 

当初、長沙(ちょうさ)郡の武将であった魏延が郡の長官を殺害して長沙郡を孔明の属する陣営に差し出した際、孔明は本人の目の前で魏延のことを「後に必ず謀叛を起こす骨相の持ち主である」と批判したうえ、「もし異心を抱いたらいつであろうと必ずおまえの首を打つ」と釘をさしながら任用し続けました。これによって、魏延に孔明に対する不信感を植え付け、不満を増幅させ、後に反乱を起こさせる種をまきました。

 

 

【コツその1】人をあからさまに疑いながら使う

 

人格的に信頼のおけない部下への対処法として、失敗するために最も有効な方法は、部下への疑念を本人に直接伝え、もし不正を行ったら即刻処分すると脅しながら部下に働かせることです。こうすれば、部下はあなたに対する不信感を募らせ、必ずやあなたの事業にとって芳しくない動きをしてくれることでしょう。

 

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魏延特集

 

 

【コツその2】優秀な部下に詳細にわたって指示を出す

 

優秀でチャレンジ精神旺盛であり自信も持っている部下は、大まかな方針だけを示してやれば自ら工夫して最善を尽くしてしまうため、失敗に導くことが難しくなります。

 

馬謖の失敗に嘆く孔明

 

諸葛孔明は「優秀な部下に詳細にわたって指示を出す」という方法で、戦略的に重要な地点である街亭(がいてい)を守る馬謖(ばしょく)に誤った判断を下させ街亭を失わせるという失敗をしました。馬謖(ばしょく)は自分に自信を持っていたため、街亭を守るためには山の下に陣をおけという孔明の指示にあえて背いて山頂に陣をおき、孔明の期待以上の成果を出そうと考えました。山頂には水源がなく長時間の滞陣に耐えられなかったため、街亭を失うこととなりました。

 

 

【コツその2】優秀な部下に詳細にわたって指示を出す

 

優秀な部下を使いながら失敗するための最善の方法は、あなたがあらかじめ成功への完璧な道筋を用意して、寸分違わずその通り行うように部下に念押しをしてやることです。こうすれば、部下が優秀であればあるほど心が腐って全力を出さなくなるか、あるいはなんとかして独自性を出して口うるさい上司をあっと言わせてやろうという邪念がわいて課題達成への最善の道筋を探す目が曇り、必ず失敗するでしょう。

 

 

北伐の真実に迫る

 

 

【コツその3】全ての仕事に自分が直接目を通す

 

あなたがリーダーという立場にあれば、周囲にはあなたの方針に従って業務を推進してくれるスタッフがいるはずです。それぞれのスタッフの働き方が有効な方向に向かっているか把握しているだけでは、あなたは失敗することができません。諸葛孔明は「全ての仕事に自分が直接目を通す」という方法で、自身は疲労困憊し後進も育たなくなるという失敗をしました。

 

 

 

孔明は杖罪二十という些末な決済にまで自ら目を通しており、そんなやり方では彼ももう長くないと敵の総大将である司馬懿(しばい)に笑われています。蜀(しょく)が滅んだのは諸葛孔明が亡くなってから二十九年後のことです。

 

【コツその3】全ての仕事に自分が直接目を通す

この方法には3つの効果があります。

 

 

【効果その1】部下の積極性を削ぐ

 

あなたが些末な業務まで細かくチェックするようになれば、部下はあなたのやり方から外れることを恐れて積極性を失い、職場には多様性がなくなり、チームの活気も失われ業績も右肩下がりになることが期待できます。

 

 

 

【効果その2】リーダーの精力を削ぐ

 

あなたが全ての業務に目を通そうとすれば、スタッフが多くなればなるほどあなたの仕事は増え、些事に心身をすり減らすことになります。大局に目を向けるゆとりも失われることでしょう。

 

 

【効果その3】後進が育つのを防ぐ

 

業務全般にわたってあなたの目が光っているとなれば、部下たちはあなたの判断に頼り切って、自分で考えるということをしなくなります。このようにすれば、あなたのリタイア後には自分のアイデアでプロジェクトを推進した経験のない人ばかりが残り、早晩資産を消費しつくし廃業することになるでしょう。

 

 

まとめ

 

失敗するためのコツ

1.人をあからさまに疑いながら使う

2.優秀な部下に詳細にわたって指示を出す

3.全ての仕事に自分が直接目を通す

 

あなたがいかに有能で志あるリーダーであり、部下にすばらしい人材がそろっているとしても、今日からこの3つのコツを実践していけば必ず失敗することができるでしょう。

 

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンさん

 

欧米発のビジネス書にありそうな論理展開を模倣して遊ぼうという趣向だったのですが、なんだか感じ悪い仕上がりになりました。ビジネス書は本が売れなきゃしょうがないので「これが絶対正解、これさえ読めば」というような書き方がふつうですが、現実は複雑であって、みんな何が正解か分らないなかでそれぞれ頑張っているので、そういう努力に対しては敬意を払いたいです。

 

諸葛孔明が細かい業務にまで目を通していたというのは正史三国志の注にひかれる『魏氏春秋(ぎししゅんじゅう)』にもある話で、そのやり方には賛否両論あると思いますが、その努力に対して畏敬の念を抱かない人はいないのではないでしょうか。私のようなひねくれた人間でも心の底から尊敬せざるを得ないほどですから。

 

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波動の時代を生きた先人たちから学ぶ『ビジネス三国志

 

 

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よかミカン

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。 個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。 三国志小説『ショッケンひにほゆ』 【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】 何か一言: 皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。 妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。 読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

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