キングダム
黄巾賊




はじめての三国志

menu

春秋戦国時代

戦国時代の詩人屈原に学ぶ自分大好きメンタル開発法

この記事の所要時間: 352



よかミカン

 

昨晩は洗わなければならない食器がなぜだかいつもの3倍くらいありました。

なかなか洗い終わりません。眠いよ~とぶうたれながらやっていたら、

「寝ればいいじゃないか」と言われました。でも洗いものが残っていると翌日朝食を作る前に

片付けないといけないから大変です。誰も私の課題と努力を理解してくれない……と思った時に、

ふと脳裏に浮かんだのが屈原(くつげん)の「離騒(りそう)」の一節です。

()んぬるかな 国に人無く 我を知る()し」

……目下の孤独と絶望に寄り添うような詩句です。

これ、ストレス解消に使えるんじゃないでしょうか。

有名だけど難しげで意外に読む機会のない「離騒」を、ちょびっとだけ味わってみましょう。

 

関連記事:衝撃の事実!忍者のルーツは春秋戦国時代の中国にあった?(HMR)

関連記事:【歴史嫌いな中高生必見】春秋戦国時代はいつ始まってどこで終えたの?

 

 

屈原と「離騒」

 

屈原(紀元前340年頃~ 紀元前278年頃)は中国の戦国時代の楚の国の公族です。

屈原は楚王が秦の国からやってきた縦横家(じゅうおうか)(雄弁家)の張儀(ちょうぎ)にたぶらかされていると心配し、

いろいろ意見していましたが、政争に敗れて左遷(させん)され、

憂悶(ゆうもん)のうちに汨羅江(ぺきらこう)に身を投げて自殺しました。

 

屈原は生前いくつもの文学作品を詠んでおり、その浪漫的で感情ほとばしる作品が、

古代中国の南方の文学作品集の『楚辞(そじ)』に収録されています。

そこに収録されている作品の一つが「離騒」です。

 

 

国を思う気持ちと絶望感を詠んだ憂国のうた

 

「離騒」は屈原が自分のことを詠んだものであると考えられています。

堂々たる公族としてしっかり仕事をしていた自分は、王がくだらない者たちの言うことに

耳を貸して政治をあやまることを心配して王に意見をしていたが、聞き入れられなかった。

自分が評価されないことはかまわないが、国のゆくすえがただただ心配なのである。

というような内容が、せつせつとつづられ、最後にはこの世に絶望するような終わり方に

なっています。実際、ご本人も入水自殺されていますね……。

この「離騒」が屈原の代表作で、屈原は「憂国詩人」と呼ばれています。

 

よかミカンが贈る「黒三国志入門」
よかミカンのブラック三国志入門

 

とても自意識過剰な書き出し

周瑜

 

「離騒」を少しだけ読んでみましょう。書き出しはこういうふうです↓

 

【原文】

帝高陽之苗裔兮朕皇考曰伯庸

摂提貞于孟陬兮惟庚寅吾以降

皇覧揆余初度兮肇錫余以嘉名

名余曰正則兮字余曰霊均

紛吾既有此内美兮又重之以脩能

【書き下し文】

(てい)高陽(こうよう)苗裔(びょうえい)

()皇考(こうこう)伯庸(はくよう)と曰う

摂提孟陬(せつていもうすう)(ただ)しく

()庚寅(こういん)(われ)以て降れり

(ちち)()()初度(しょど)(はか)

(はじ)めて()(たま)うに嘉名(かめい)を以てす

余を名づけて正則と()

余を(あざな)して霊均と曰う

(ふん)として(われ)(すで)に此の内美(ないび)有り

(また)(これ)に重ぬるに脩能(しゅうたい)を以てす

【ざっくり訳文】

自分は高陽帝の末裔で、生まれた日付がすばらしい日であり、

父はすばらしい名前をつけてくれた。名を正則、あざなを霊均という。

すぐれた資質とすぐれた才能を持っている。

 

いきなり自慢話から始まってますね……。

先祖までさかのぼって、血筋がいいことをアピール。オギャアと生まれたその瞬間からの自慢話。

自分で自分のことを「すぐれた資質とすぐれた才能」とか言っちゃってます。

 

ううむ……のっけからキャラクター設定の説明をえんえんと始めるのはライトノベルの

駄目パターンだと聞いたことがあるのですが。

主人公のすごさも、地の文で説明するんじゃなくて、友達の発言とかから

「あいつはすごいやつだ」って言わせないと説得力ないんじゃなかったでしょうかね。

大丈夫なのか、この作品……?

 

俺は正しい!悪いことはみんな人のせい!

周瑜と陸遜

 

冒頭の自慢話が終わると、王様が振る舞いをあらためてくれない、という愚痴が始まります↓

 

【原文】

何桀紂之猖披兮夫唯捷径以窘歩

惟夫党人之偸楽兮路幽昧以険隘

豈余身之憚殃兮恐皇輿之敗績

【書き下し文】

何ぞ桀紂(けっちゅう)猖披(しょうひ)なる

夫れ(ただ)捷径(しょうけい)を以て窘歩(さんぽ)せり

(ただ)()れ党人の偸楽(とうらく)する

(みち)幽昧(ゆうまい)にして以て険隘(けんあい)なり

(あに)余が身()(とが)(はばか)らん

皇輿(こうよ)敗績(はいせき)を恐るるなり

【ざっくり訳文】

王様は昔の暴君の桀王や紂王のように、みだりな邪道に陥ってしまっている。

その下ではまともに仕事をしないずるい連中が徒党を組んでいい目をみている。

国家は危なっかしいことになってしまっている。

自分はみんなに同調せずにひどい目に遭ってもかまわない。

国家が崩壊することを恐れるのだ。

 

王様や政敵の悪口を言って、自分だけいい子ちゃんになってますね。

 

「離騒」の味わい

袁術

 

「離騒」は、徹頭徹尾、「俺が俺が」という調子です。

自己中な内容を、美しい言葉でせつせつと歌い上げております。

現代人の感覚からすると度を越した自己中なのですが、書き方があまりにも痛切なので、

読んでいるうちに読み手がついシンクロしてしまうような雰囲気があります。

催眠術かもしれませんね。同じような文言がくりかえし現われるので。サブリミナル効果。

 

屈原とシンクロしながら自己中表現を読むと、しんみりと自己愛にひたれてなかなかいい感じです。

「自分は素晴らしい人なのに誰も理解してくれないんだ!世の中みんな人でなしばっかりだ!」

なんて、客観的な思考方法を叩き込まれて育った現代人はなかなか自分の言葉では

考えられませんが、「離騒」を読めば自分の代わりに屈原がぜんぶ言ってくれます。

これは正直、とてもいい気持ちです。

 

日常世界では許されない究極の自分甘やかし体験です。

誰にも話せないモヤモヤが、スーッと消えて行きます。

世界中の誰も理解してくれなくても、屈原だけは味方です。

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライターよかミカン

 

私のごく個人的な感想になってしまいましたが、「離騒」にはこんな楽しみ方もあるという

お味のご紹介としては一興だったのではないでしょうか。

孤独を感じた時に、しみじみと浸りながら読んでみると、きっと癒やされると思います!

 

原文および書き下し文引用元:

『中国の名詩2 滄浪のうた 屈原』目加田誠(めかだまこと)訳 平凡社1983年

※漢字は本稿では通用漢字に書き換えました。

 

関連記事:【春秋戦国時代の謎】どうして秦が天下統一することができたの?【法律編】

関連記事:晏嬰(あんえい)とはどんな人?孔明の好きな梁父吟を作った春秋戦国時代の名宰

 

赤壁の戦いを斬る!赤壁の戦いの真実
赤壁の戦い

 

よかミカン

よかミカン

投稿者の記事一覧

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』
https://3594.fun 

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

好きな歴史人物:
王充(おうじゅう。後漢初期の思想家)
※ はじさんのサイト内検索で王充の記事が出てきます

何か一言:
三国志のお話の世界の広がりは無窮。
日々新しい三国志が生まれています。
ご一緒に三国志の新しい歴史を刻みましょう。

関連記事

  1. 河了貂や媧燐もハマった?キングダムの時代の占いはテキトーで過激だ…
  2. オルド将軍は実在するの?やっぱり最期は龐煖にバッサリ?
  3. 【キングダム ネタバレ】王翦の部下は麻紘と亜光ではなかった?
  4. 【キングダム554話】「壁軍の攻防」ネタバレ&レビュー…
  5. キングダム540話 ネタバレ予想「王翦がいよいよ閼与を攻める」
  6. キングダム 533話 ネタバレ予想:失われた士気
  7. 蘇秦(そしん)とはどんな人?秦の圧力を跳ね返す為、六国を結び付け…
  8. 【キングダム】李牧(りぼく)とはどんな人?趙国最後の守護神・三大…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【真の将軍はあいつだ!!】漢の名将・周亜夫が命じた命令とは
  2. 関所撤廃って何?織田信長が行った教科書に記されていない政治
  3. キングダム 533話 ネタバレ予想:李牧が雁門で編み出した戦法
  4. 蜀漢が滅びたのは張飛達を祀らなかったから?
  5. 【シミルボン】本当は凄い!黄巾賊を滅ぼし後漢を支えた三将軍とは?
  6. 【軍師連盟】司馬懿は簒奪をいつから狙っていたの?

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

父・信玄を超えるために武田勝頼が行った政策って何? 卞夫人のライバル?息子がすべて優秀な環夫人 【キングダム552話】「身を切る作戦」ネタバレ&レビュー 楊彪(ようひょう)は袁術の義弟なのになぜ董卓に殺されなかったのか? 就職戦線異状だらけ!かなり大変だった三国志時代の就職 近藤勇の首の行方は?新選組局長の最期の地をめぐる 劉備が皇帝になったのは皇族だった事が大きな理由? 袁術が天下を統一するためにみんなで考えよう【第2回】

おすすめ記事

  1. 中国三大悪女に名を連ねた劉邦の妻・呂雉(りょち)とはどんな人?とても怖い実話
  2. 【転職面接を攻略】呂布、陳琳、孔明に学ぶ面接必勝法
  3. 【政界の怪物】田中角栄が日本に残した功績って何?
  4. 90話:張任によって龐統討たれる
  5. 【キングダム】競争率高すぎ!秦国には大将軍希望者で溢れていた!
  6. 【シミルボン】三国志の真実、劉備が孔明に飛び付いた理由はこれだ!
  7. 呉の太子四友とはどんな人?権力闘争に敗れ失脚していくエリート
  8. 呉が好きな皆さんへ!五分でわかる孫呉の逸話を紹介【三国志逸話列伝】

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“西遊記"
PAGE TOP