呂布特集
官渡の戦い




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

三国志の時代は農民に至るまで腰に剣を佩いていた




曹操

 

三国志の時代というと、武器を帯びているのは武官だけで

文官は筆だけを持っていたそのようなイメージがあるかと思います。

西晋時代に入ると、実際にそのような時代になるのですが、実は三国志の時代までは、

文武百官はおろか、農民に至るまでが腰に剣を()いていた尚武(しょうぶ)の時代でした。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:三国志の時代の庶民の家はどんな建物をしていたの?

関連記事:【素朴な疑問】三国志の時代にも居酒屋ってあったの?

 

 

そもそも剣を帯びるのは礼記に記された貴族の嗜み

剣

 

中国では周の時代、貴族は皆、腰に剣を佩く義務付けられていました。

儒教のマナーブック礼記(らいき)には

「臣下は君主の剣と衣服を値踏みしてはならぬ」とあり、

当時、貴族は剣を腰に佩いていた事が分かります。

 

※ちなみに腰のベルトから紐を垂れ剣を吊るすのを佩くと言い、

腰帯に直接、刀を差すのを帯びると言います。

 

 

どんなに貧しき士でも剣だけは持っていた

韓信

 

春秋戦国時代の戦国四君、孟嘗君(もうしょうくん)に仕えていた食客の馮煖(ふうけん)は、

凄まじい貧乏でろくに持ち物もありませんでしたが、

一振りの剣だけは肌身離さず持っていました。

その剣は柄に何の装飾もなく、ただ荒縄を巻いただけです。

 

それ以外にも楚漢戦争の国士韓信(かんしん)は食うに困った無名時代でも

バカみたいに長い剣を背負い、その為に街の不良に因縁をつけられ、

股をくぐるという屈辱を受けています。

劉邦

 

項羽(こうう)を破り、天下を統一した劉邦(りゅうほう)も、旗揚げした時には、

一本の剣を引っ提げて立ち上がったと後年詩に詠みました。

どんなに貧しい士でも、身分によらず剣だけは佩いていた事が、

この辺りから察する事が出来ます。

 

時空を越えた最強の将軍対決
呂布対項羽

 

文官に見える蕭何も剣を帯びていた

蕭何

 

劉邦が天下を取る為に、絶えず兵員と物資を送り続けた蕭何(しょうか)は、

張良(ちょうりょう)韓信に並ぶ漢の三傑として、劉邦から特別待遇を受けますが

その特権には、剣を帯びて履を履いたまま宮殿に上がって良い

というものがありました。

 

このような特別待遇は、三国志でも散見されるものですが、

明らかに文官に見える蕭何も、ちゃんと剣を佩いていた事が分かります。

 

漢の時代の宮廷では百官全てが剣を佩いた

銅雀台

 

漢の時代になると、貴族でなくても剣を佩くのが士の嗜みになります。

例えば、独裁権力を握った前漢の霍光(かくこう)は身辺の安全を考えて、

自分に謁見する人間のボディーチェックを欠かさず必ず剣を外させました。

これも宮殿では剣を佩く事が原則になっていなければ成立しない決まりです。

 

また、前漢末の宣帝に仕えた宰相魏相(ぎしょう)は上奏を行う士には必ず剣を佩かせ

持っていない時には、人に借りてでも佩かせました。

この時代には、士は剣を佩くのが義務になっていて、持っていないのが

オカシイという風潮になっていたようです。

 

農民まで剣を佩く状況が生まれた

黒山賊

 

前漢の時代に広く佩剣が浸透した結果、農民に至るまでが剣を持つ風潮になります。

例えば宣帝の時代に渤海太守になった龔遂(きょうすい)は、相次ぐ飢饉で野盗が蔓延(はびこ)るようになった

渤海(ぼっかい)では、農民までが刀剣を帯びている事を報告しています。

 

龔遂は、武力で反乱を抑えずに質素倹約を進めて、公平な政治をしたので、

多くの野盗や農民が武器を捨てましたが、一部の農民は頑なに剣を佩いていたので

「お前たちはどうして腰に牛を下げているのか?」と言い、

腰の剣を売って牛に替えるように勧め、ようやく武装解除を成し遂げました。

肉を分ける陳平

 

混乱が治まりつつあった渤海郡であっても、剣を牛に替えよという

代替案を出すまで剣を捨てない農民がいたのは、農民の中にも尚武の風があり

腰に武器を帯びない事に不安があった事を示していると言えます。

 

単純に武装蜂起するなら、矛や戟の方がリーチが長い分有利で扱いやすいのに

一定の修練が必要な剣や刀に農民が(こだわ)るのは、そこに尚武の気風が影響し

自分の身は自分で守るという自己防衛の精神があったと考えられます。

 

尚武の風潮が武芸者を産み出した

曹丕

 

一般の農民までが、剣を佩く風潮は後漢までも継続しました。

以前、はじめての三国志で書きましたが、曹丕(そうひ)は双剣の使い手であり、

河南の史阿(しあ)という師匠について、剣術を学んだ事を記録しています。

 

ちなみに、曹丕の師である史阿は桓帝の時代に虎賁だった王越(おうえつ)の弟子で

王越から剣技の全てを受け継いだ人であるようです。

今風に言えば、免許皆伝という事になるでしょう。

 

ここには剣技の伝承という発想が見られるので、当時、私塾のような形で

剣術道場があって免状の発行があった事を推測します。

三国志大学

 

当時、官吏は30万人はいたと考えられ、彼らの中で武芸に熱心なモノが

10人に1人いたとしても、需要は3万人、後漢の時代は私塾が盛んなので

同様に剣術道場もあり、剣を学びたい人々の需要を満たしていた

そんな風に考えてしまうのです。

 

三国志の時代を最後に剣は装飾品になる

王莽

 

しかし、上は君主から下は農民まで剣を帯びていたのは三国志の時代で終り

晋の時代からは、「使わないのに重い」という理由で刀身は木剣になります。

こうなると、後は坂道を転がるように剣はアクセサリになっていき、

士の腰を飾るだけの存在になり、そのまま六朝時代を迎えるのです。

 

以後、剣は復権する事なく、剣を佩く事をプライドとした時代は、

遠い過去の話になってしまったのでした。

 

 

三国志ライターkawausoの独り言

三国志ライターkawausoの独り言

 

酒の席で曹丕と剣術論議をして口論となり、サトウキビを剣に見立てて勝負して

ボロ負けした奮威将軍の鄧展(とうてん)は5種類の武器に通じている上に

素手で武器を取り上げる無刀取りまで出来ると豪語していました。

 

いかに戦の多い時代とはいえ、独力で5種の武器に通じ、ましてや、

敵の武器を素手で取り上げる事が出来るようになるでしょうか?

やはり若い頃に武芸を習い、そこに実戦経験を重ねて無刀の境地に達した

そう考えるのが自然だと思えます。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:【シミルボン】1800年前の三国志時代はご馳走が現代居酒屋風だった

関連記事:三国志の時代の防犯はどんな方法があったの?三国志時代の犯罪防止法!

 

史上最大の軍事衝突 帝政ローマvs三国志
帝政ローマvs三国志

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 魏延と孔明 三国志 Three Kingdomsの諸葛亮がいじわるすぎる!
  2. 大船団を率いて呉を攻める王濬(おうしゅん) 濡須口の戦いって何?どうして何度も戦争になるの
  3. 沖縄そばを食べる関羽 時空を超える関羽、琉球の民話に登場
  4. 凌統 凌統(りょうとう)ってどんな人?本当は甘寧と仲直りしてないよ
  5. 貂蝉 こち亀の両さんか!三国志の美女は一本眉だった?
  6. 三国志ライター よかミカンさん 三国志演義の「卵」登場シーンとピータン豆腐の作り方
  7. 【ポスト五虎大将軍】蜀の四龍将が生きていれば蜀は魏を倒せた?
  8. 孟達を討伐する司馬懿 【真田丸特集】司馬懿と秀吉、大返しで天下を手繰り寄せる!

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 陸遜
  2. 于禁と曹操
  3. 魏延と孔明
  4. 徳川家を守った篤姫
  5. ダムが完成した蜀
  6. 周瑜に憧れる袁術

おすすめ記事

  1. 橋本左内の子孫はバラエティ豊かだった!
  2. かつて日本で大流行したカリスマコメント付き三国志が存在した! 周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志
  3. 荀粲(じゅんさん)とはどんな人?秀才ぞろいの荀彧の七男で、一人の女性を全身全霊で愛した愛妻家
  4. 諸葛亮がもし延命していたら三国志はどうなる?第五次北伐後の孔明の戦略 歳をとっても元気な孔明
  5. 許褚(きょちょ)ってどんな人?曹操のボディーガードとして自ら語る
  6. そんな!諸葛亮は曹操を目指していた?似てる二人を解説 孔明VS曹操

三國志雑学

  1. 陸遜
  2. 袁紹モグラ作戦
  3. 空城も計 孔明
“はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 結婚を喜ぶ孫策
  2. 三国志に出てくる海賊達と甘寧
  3. 過労死する諸葛孔明
  4. 孔明もコペルニクスに似ていた
  5. 悪い顔をしている諸葛亮孔明
  6. 張コウ 張郃
  7. kawauso編集長 はじめての三国志主宰・おとぼけ

おすすめ記事

秦檜(しんかい) 秦檜とはどんな人?実はスパイだったの? 【1年3ヶ月ぶり】宇治一世 氏の朗読作品「耳で聞いて覚える三国志」の再開お知らせ 信陵君 戦国四君 元祖男気ジャンケン、魏の信陵君 于禁 【衝撃の事実】于禁は三国志のアニメで女の子として登場している!? 曹操 耳で聞いて覚える三国志 「耳で聞いて覚える三国志」をはじめました 馬にまたがって戦う明智光秀 明智光秀の魅力がビンビン伝わる!麒麟がくるの主人公の魅力を紹介 スウェーデンで海外ロケの撮影をしている田畑政治と金栗四三 いだてん 大河ドラマ初の海外ロケ「いだてん」はどこで撮影されたの? 明智光秀 麒麟がくる 明智光秀はどんな顔をしていたのか?イケメン男子だったの?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

PAGE TOP