キングダム
南蛮征伐




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

【三顧の礼】諸葛亮の嫁の父・黄承彦の詩にドラゴンが出てカッコいい!

黄月英




黄月英

 

劉備(りゅうび)諸葛亮(しょかつりょう)を自分の幕僚に加えるために三度も訪問したという三顧(さんこ)の礼。

三国志演義(さんごくしえんぎ)では、最初の二度の訪問時には諸葛亮は留守だったことになっています。

 

3000人の配下で孔明の庵を包囲する武闘派な劉備

 

二度目の訪問のあと、空しく(いおり)を後にしようとする劉備の前に、風よけの帽子をかぶり狐の皮衣を着て驢馬(ろば)に乗ってやってくる人物が現れました。この人は諸葛亮の妻の父親の黄承彦(こうしょうげん)

 

二刀流の劉備

 

たまたま諸葛亮の家に遊びに来たところで劉備と出会ったのですが、このとき黄承彦が吟じていた詩がなんだか名詩っぽくて気になりすます!

※本稿で扱うのは三国志演義の内容です

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:黄月英(こうげつえい)はどんな人?実は名前さえ分からない謎の女性

関連記事:三国時代の黄夫人(黄月英)とは、実際にいた人?

 

 

黄承彦登場のシチュエーション

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志

 

諸葛亮の庵の描写は、始終 俗塵を離れた風雅な雰囲気で彩られています。

庵の様子を詠んだ古体詩とやらが書かれていますが、「脩竹(しゅうちく)(こもご)も加わりて翠屏(すいへい)を列し 」だの

「四時 籬落(まがき)に野花は(かお)れり」だの、隠者の質素ながらも美しい住まいの様子が描かれています。

その古体詩、若干やりすぎ感のある描写もございます↓

「戸を叩く蒼猿は(たえず)(このみ)を献げ 門を守る老鶴は(よなよ)な経を聴く」

野生の猿がプレゼントを持って門を叩いたりしますかね。

猿がお釈迦様に蜂蜜をプレゼントしたという話からのパクリくさいです。

あと、鶴は鳥目(とりめ)だから夜は経を聞かないで寝てると思います。

さて、劉備がこの風雅な庵を後にして帰ろうとしていると、門番の童子が垣根の外を手招きして

「老先生が来た!」と叫びます。劉備が見やると、小さな橋の西のほうに一人の人物が見えました。

風よけの帽子をかぶり、狐の皮衣を着て、驢馬にまたがり、後ろに青い服を着た童子を連れ、

瓢箪(ひょうたん)に入った酒を携え、雪を踏みながらやってきます。そうして詩を一首 吟じました。

むむむ、風雅です!

 

 

モダンすぎる黄承彦の詩

 

こうして風雅に現れた黄承彦。

劉備が屋敷に向かう途中に降り始めた雪がひどくなっており、

この時には風に舞いながら降りしきっていました。

吟じたのはこんな詩です。

 

一夜 北風寒し

万里 彤雲(とううん)厚し

長空には雪 乱れて飄り

江山の(すがた)を改め尽せり

(おもて)()げて太虚(なかぞら)(なが)むれば

疑うらくは是れ玉竜の闘うかと

紛々として鳞甲(りんこう) 飛び

頃刻(たちまち)にして宇宙に(あま)ねし

()()って小橋を過ぎ

独り嘆ず梅花の痩せたるを

 

「一夜」から「万里」に飛び、

「長空」で壮大なドラゴンバトルを妄想し、

「宇宙」まで広がってから、

最後はちっぽけな「梅花」に縮むという構造。

なんなんですかね、この様式美。

ちょっと、モダンすぎて物語の舞台である後漢・建安年間の詩らしくないです。

建安の頃の詩ってもっと一直線に書かれていますし、政治にからめたり故事をひいたりしながら

くどくどくどくど書いてあって、現代人から見て美しく見えるような雰囲気じゃないのが多いです。

この黄承彦の詩は、明らかに三国志演義を書いた後代の士大夫(したいふ)の感性で書かれています。

 

よかミカンが贈る「黒三国志入門」
よかミカンのブラック三国志入門

 

なにを詠んだ詩なのか?

龍

 

黄承彦の詩は二通りの読み方ができると思います。

表向きには、雪の舞い散る様子がドラゴンバトルに見えたけど小さな梅に心を惹かれました、

という意味になります。

もう一つの読み方は比喩(ひゆ)として解釈することで、一夜の風で彤雲(とううん)が広がったというのが、

黄巾の乱を表しているのではないでしょうか。

太虚(なかぞら)には雪 乱れて飄り 江山の(すがた)を改め尽せり」は

兵乱が広がって天下の様子が変わってしまったよ、という意味。

「紛々として鳞甲(りんこう)飛び 頃刻(たちまち)にして宇宙に(あま)ねし」は

竜の(うろこ)のきらきらする様子を刀や戟の刃がきらきらする様子にたとえたのではないでしょうか。

あっという間に刀や戟がそこらじゅうでチャンチャンバラバラやる世の中になってしまったというのが、

頃刻(たちまち)にして宇宙に(あま)ねし」の部分。

そうして天下大乱に思いを馳せながらちっぽけな橋を渡ると、

雪に半ば埋もれながらぽつんと咲いているような梅の花が見えました。

この最後の「独り嘆ず梅花の()せたるを」の部分ですが、

痩せている梅花は何の比喩でしょうか。

天下大乱で追い詰められてくすぶっている劉備のことをたとえたのか、

それとも志を持ちながら飛躍の機会を得られずにいる隠士をたとえたのか。

いずれにしても、結局は政治くさい詩であることには変わりありませんね。

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンの独り言

 

三国志演義の三顧の礼の場面では、いろんな登場人物が詩を読むシーンがありますが、ほとんどの詩が興冷めなコマーシャルソングのようなものであるのに対し、黄承彦の詩だけが目立って美しいです。

 

水滸伝って何? 書類や本

 

三国志演義を書いた人は、この部分を書いた時には“神が降りてきた!”と思いながら書いたのではないでしょうか。これの文学的価値は全然分かりませんけれども、三国志演義に出てくる詩の中でいちばん美しげな詩はこれなんじゃないかなーと思います!

 

参考文献:岩波文庫『完訳 三国志(三)』1988年7月7日 小川環樹/金子純一郎 訳

(詩の書き下し文の引用元)

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:【荊州獲ったどー!】諸葛亮&愉快な仲間の州乗っ取り計画

関連記事:孔明はニートなのに、どうして劉備が飛び付いたの?ーー誰も教えてくれないキャリアアドバイス

 

転職活動に役立つ特集記事 三国志と転職

 

よかミカン

よかミカン

投稿者の記事一覧

三国志好きが高じて会社を辞めて中国に留学したことのある夢見がちな成人です。

個人のサイトで三国志のおバカ小説を書いております。

三国志小説『ショッケンひにほゆ』

【劉備も関羽も張飛も出てこない! 三国志 蜀の北伐最前線おバカ日記】

何か一言:
皆様にたくさん三国志を読んで頂きたいという思いから わざとうさんくさい記事ばかりを書いています。

妄想は妄想、偏見は偏見、とはっきり分かるように書くことが私の良心です。

読んで下さった方が こんなわけないだろうと思ってつい三国志を読み返してしまうような記事を書きたいです!

関連記事

  1. 泣く子も張遼 【鬼は溺死!】容赦ない三国志の節分臘日(ろうじつ)
  2. 【はじさん砲】劉備は全然いい人なんかじゃなかった
  3. 太平道の祖・張角(黄巾賊) 9話:張角が太平道信者を増やした方法
  4. 于禁、曹操、青州兵 【はじめての孫子】第4回:兵は勝つことを貴ぶ。久しきを貴ばず
  5. 曹操の塩対応に張松ブチ切れ!曹操が冷たく扱ったのは傲慢ではなく驚…
  6. 曹丕の残忍さがよく分かる曹丕の妻、甄氏の悲劇
  7. 三国志の徐州争奪戦が何だかややこしい!仁義なき徐州争奪戦を分かり…
  8. まるでルイージマンション?曹操の自宅は、お化け屋敷だった!!英雄…

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 劉備 髀肉の嘆 ゆるキャラ
  2. 韓信と劉邦
  3. 桃を持った姜維(はじめての三国志)
  4. 范増

おすすめ記事

  1. 羌族は何者?何度も反乱を起こし漢王朝のHPを削ったヒャッハー集団 暴れまわる異民族に困る梁習
  2. 曹操くんポカーン。こやつ何を言ってるんじゃ?古代中国の方言から現代中国の方言まで徹底解説!
  3. 授業や教科書では教えてくれない長篠の戦いをセンゴクから見てみよう
  4. 于禁はチキン?その評価の妥当性について考えてみた 戦え于禁
  5. 古代中国の玉器と印鑑の使用用途は?宋代にも玉璽はあった? 玉璽
  6. 噛ませ犬じゃないよ!正史では立派な人・王朗

三國志雑学

  1. 眠る于禁
  2. 後悔する孫権
  3. 孔明
“はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 鎌倉時代の侍
  2. 幕末大勢で一人に襲いかかる新選組
  3. レッドクリフ
  4. 篤姫
  5. 孟達と孔明
  6. 劉備と関平たち

おすすめ記事

ボロボロになった馬超 晩年の馬超が精神的にも燃え尽きていた事実が判明 蓋勲(がいくん)とはどんな人?霊帝に信頼され董卓が恐れた硬骨漢 酒を飲む曹操と劉備と呂布 【シミルボン】驚愕!三国志の時代の酒のマナー 読者の声バナー(はじめての三国志) 読者の声(10月7日~10月13日) 胡亥 みんなが名乗りたがる最高の位!皇帝と王の違いについて分かりやすく解説 kawausoと呂布と張遼 三国志一騎打ちの強さベスト10!一騎当千は誰だ! 三国志とキングダムのそっくり武将は誰?|信と呂蒙 裏切りそうな悪い顔をしている明智光秀 明智光秀が比叡山焼き討ちを計画していた!織田信長が躊躇するほど徹底した光秀

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム
“水滸伝"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志PR募集法正"
PAGE TOP