司馬懿渾身の迷作?「讌飲詩」について徹底分析!


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司馬懿

 

『三国志』といえば

諸葛亮(しょかつりょう)を思い浮かべるという人も

多いのではないでしょうか。

 

特に『三国志演義』では

「これもう諸葛亮が主役なんじゃね?」

と思ってしまうほどの活躍を見せますよね。

前半ではほぼ無双状態の諸葛亮ですが、

後半に差し掛かる頃、

突如としてライバル的存在が登場しますよね。

そう、司馬懿(しばい)です。

 

しかし、この司馬懿さん、

どうにも詩をつくるのが

とても苦手だったのだそう。

彼の唯一の作品は

『晋書』に残されているのですが、

千数百年経った今でも苦笑される出来なのだとか…。

司馬懿の詩はそれほど残念なものなのでしょうか…!?

 

今回は司馬懿が残したという

唯一の詩「讌飲詩(えんいんし)」について

徹底分析していきたいと思います!

 

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まずは問題の詩をご覧ください

司馬懿

 

司馬懿の問題の詩は

『晋書』高祖宣帝紀に見えます。

 

景初二年、

公孫淵(こうそんえん)の反乱を鎮めた司馬懿が

知己を集めた宴会で次のように詠ったそうな。

 

天地開闢 天地は開闢(かいびゃく)

日月重光 日月は光を重ぬ

遭遇際会 遭遇際会し

畢力遐方 (すべて)に遐方に力す

将掃群穢 将に群穢(ぐんわい)(はら)わんとし

還過故郷 還りて故郷を過ぐ

粛清万里 万里を粛正し

総斉八荒 八荒を総斉せん

告成帰老 成を告げて帰老し

待罪舞陽 罪を舞陽に待たん

 

【現代語訳】

天地が分かれて世界が始まり、

日月は光をより一層放っている。

私は思いがけず時機に出くわし、

ついには遠方にまで力を轟かせるに至った。

ちょうど天に仇なす者たちを一掃し、

その帰りに故郷を通り過ぎた。

万里において賊どもを追放し

国の隅々まで全てを平らげたい。

成果を告げたら隠居でもして

その処分を舞陽で待とうかな。

 


 

最初は結構頑張っているのでは…?

不満な顔をしている司馬懿

 

ザッと詩を眺めてみても

これといって優れている点は見当たりません…。

…いえいえ、

ただ一通り読んだだけでは気づかない妙意があるはず!

 

というわけで、

一句一句に隠れた意味がないかどうかを

洗っていきましょう!

まず「天地開闢、日月重光」の2句ですが、

いずれも神話に関する言葉です。

 

天地開闢というのは

混沌とした世界が天と地に分かれて

世界が始まったということであり、

日月重光というのは

かつて天が壊れたのを女媧(じょか)が修復したときに

日月の光がみなぎったということです。

 

これらの言葉は

おそらく魏王朝が立ち

世の混乱を治めたということを

比喩的に表現しているのでしょう。

 

続いて「遭遇際会(そうぐうさいかい)」ですが、

「遭遇」も「際会」も

どちらも偶然出会うという意味です。

偶然にも時運もしくは主君に恵まれたということを

強調していると受け取っておくべきでしょうか…?

 

3句目は微妙ですが、

とりあえずこのあたりまでは

司馬懿の頑張りが見られますよね。

まぁ、いずれの表現も

正直なところ陳腐ですが…。

 

時代を超えて愛される中国四大奇書「はじめての西遊記はじめての西遊記

 

ハイパーそのままタイムのはじまり

司馬懿

 

そしてここから

司馬懿の詩が「何これ?」と言われる所以である

ハイパーそのままタイムが始まります

 

続く「畢力遐方」はその言葉通り。

特に言及すべきことはありません。

 

「将掃群穢、還過故郷」については、

公孫淵(こうそんえん)の反乱を鎮めた後

魏の都までの帰り道に故郷の近くを通って

懐かしんでいるということを詠っているのでしょうが

ご覧の通り何の技巧もありません。

 

「粛清万里、総斉八荒」は

司馬懿の故郷に錦を飾りたいという

遠大なる志を表している言葉なのでしょうが、

直接的過ぎて何の情緒もありませんね。

 

最後の「告成帰老、待罪舞陽」の2句も

ただ自分の願望をそのまま詠っているだけ…。


 

司馬懿のこの詩は…

司馬懿

 

正直良いところを探す方が難しい

司馬懿のこの詩。

唯一特筆すべき点といえば

四言のリズムをとっているということでしょうか

 

その当時流行していた詩は

五言のリズムが一般的だったので、

あえて『詩経』に掲載されている詩のような

古めかしい四言詩をつくったことには

何か意図があったのかもしれません。


  

 

 

三国志ライターchopsticksの独り言

三国志ライターchopsticksの独り言

 

後にクーデターを起こす司馬懿ですから、

技巧に富んだ詩がもてはやされた

魏の風潮への反発のようなものが

この詩に現れているのではないかと

思えるような気がしなくもないですが、

やっぱり最初の2句を頑張って絞り出した後

韻を踏むこと以外は考えることを

放棄してしまったようにしか感じられません。

 

まぁ、酔っぱらって作った詩だったようですし、

本人にとっても

「ちょっと興がのって詠ってみたけど

グダグダになっちゃった(テヘペロ」

くらいなものだったのではないでしょうか…。

 

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