三国志演義が今どき嫌われる理由


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キレる禰衡

 

三国志ファンの間で三国志演義の話をすると、三国志の「さ」の字も知らない人のように思われて白眼視(はくがんし)されることがあります。

三国志演義は歴史物語小説で、史実に忠実でない部分があるので、三国志演義の話をすると史実とフィクションの区別がついていない人だと思われて

仲間はずれにされるようです。

 

一方、司馬懿(しばい)の扇からビームが発射されるようなファンタジー描写のあるゲーム「真・三国無双(さんごくむそう)」シリーズの話題を持ち出しても

誰にも馬鹿にされません。

司馬懿の扇からビームが発射されるとは歴史書に書かれていないのに、どうしてそれには寛容で、三国志演義にばかり風当たりが厳しいのでしょうか。

演義に冷たい風潮の源について考えてみました。

 

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三国志演義とは?

三国志演義とは?

 

三国志演義は、中国の元末~明初(14世紀)の人物・羅貫中(らかんちゅう)が書いたと言われている歴史物語小説です。

三国志の時代はそれより千年以上も昔のことで、その間には三国時代に題材をとった講談や劇がたくさん作られ、それらを元にした読み物の

「三国志平話」も出版されました。

 

それらの作品は、その時代の民衆の理解や好みに合わせて脚色されており、時代考証はいいかげんで、諸葛亮(しょかつりょう)が豆を撒いて兵隊を増やすことのでき

る仙人であったり、張飛(ちょうひ)の大声で橋が落っこちてしまったりといった荒唐無稽描写が多々ありました。

 

そういう三国志物語を見聞きして、これが三国時代の史実だと思ってしまう人も多く、歴史書の三国志を読んでいるような知識人はその傾向を苦々しく

思っていました。

そこで、巷の三国志物語に対し、正史三国志を始めとしたいくつもの歴史書によって考証を加え、誤りを正し、荒唐無稽要素を削り、物語としての

面白さを残しつつ知識人が読むに耐える読み物にまでブラッシュアップさせて成立したのが、三国志演義です。

三国志演義は100%歴史書準拠というわけではなく、七分が史実で三分が虚構と言われている歴史物語小説です。

 


 

クオリティが高まりますます紛らわしくなった

 

三国志演義は千年前の古文のような文体で書かれている箇所が多く、内容もけっこう歴史書によっているので、ファンタジーなのか

ノンフィクションなのか、ますます紛らわしいことになってしまいました。

 

仮にそれを史実だと思い込んでしまっても、おおむね歴史に沿った流れになっているので、ざっくりと三国志のイメージをつかむには

それで充分かもねーというような受容をされてきました。

スワロフスキーでできたアクセサリーにいっぱいダイヤモンドをくっつけてゴージャスに改造して、ほぼほぼダイヤじゃね? みたいな……。

 

まだ漢王朝で消耗してるの?

まだ漢王朝で消耗しているの

 

日本では長らく三国志といえば三国志演義だった

三国志演義

 

日本には正史の三国志は古くから入ってきていましたが、それは知識人くらいしか読まないもので、広く大衆に知られるようになったのは、

江戸時代に湖南文山によって日本語に翻訳された三国志演義です。

 

これは「通俗三国志」という邦題がつけられましたが、その読者層は元ネタの正史三国志を知らないものですから、これは三国時代の歴史を記したお話

なんだねと素直に受け入れます。

昭和の時代に入って、吉川英治(よしかわえいじ)さんが主に「通俗三国志」をベースにして小説の「三国志」を書くと、これが大ヒット。

 

題名が「三国志」なもんで、三国志=これ、という理解をされます。

その後、吉川英治三国志を元にした横山光輝(よこやまみつてる)さんの漫画「三国志」や三国志演義を元ネタにして制作されたNHKの人形劇「三国志」がヒットし、

三国志=これ、という理解がますます広がりました

本場中国ではこのダイヤアクセにはスワロフスキーが混ざっていると知られていても、日本では100%ダイヤだと思われていたふしがあります。


 

ゲームファンブックによって演義と正史の違いが周知される

 

漫画と人形劇に次ぐ大きな三国志ブームはコーエーの歴史シミュレーションゲーム三國志によって起こりました。

ゲームソフトに添付されているプレイングガイドや、ゲーム攻略本などでは、三国志に詳しい人によって演義と正史の違いが紹介されました。

人形劇三国志や吉川英治三国志が史実準拠だと思われているような環境で育った世代の人たちにとって、それは衝撃的な情報だったのでは

ないでしょうか。

 

折しも筑摩書房の正史三国志の和訳が文庫化され、それをむさぼるように読み、正史ではこんなふうだったのか!

こんなに違うのに世間で演義が史実だと思われているのは由々しきことだ!と憤りを覚えた方も大勢いらっしゃったのではないでしょうか。

その時のインパクトが現在三国志演義に吹いている逆風の源だと思います。


  

 

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンの独り言

 

三国志演義の悲劇は、クオリティーが高すぎて紛らわしかったことに原因があると思います。

真・三国無双は、扇からビームとか、呂布(りょふ)の足踏みだけで周囲にいる雑兵がダメージを受けるとか、そういった描写を見てもこれが史実だと

勘違いしてしまう人はいないので、目くじらたてなくても安全ということで、みなさん寛容なんだと思います。

 

さて、先人たちのご努力によって、現在では三国志演義と正史三国志の違いをはっきりさせるという受容のしかたが主流になってきていると思います。

もう演義を特別扱いしなくても安全な時代になったのではないでしょうか。

スワロフスキーにはスワロフスキーの輝きがあります。

そろそろ、たくさんある三国志カルチャーの一つとして、三国志演義のことも受け入れてみませんか。

 

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