曹操軍の知将として知られる李典。彼は夏侯惇や于禁と一緒に戦場で戦っていた事がありました。この時、李典や夏侯惇、于禁との対戦相手は劉備でした。李典達は劉備との戦いで敗北してしまうのですが、李典がいなければ夏侯惇や于禁が討ち取られていたかもしれないのです。
劉備軍北上!!
劉表は曹操軍が袁紹軍の残党を討伐するため、曹操自ら軍勢を率いて北上した情報を手に入れます。劉表は曹操の本拠地近辺が留守になっている隙を狙って攻撃を仕掛けようと考え、劉備に軍勢を率いさせて、曹操軍の領土へ攻撃をするようにお願いします。劉備は劉表のお願いを聞いて軍勢を率いて北上を開始します。
夏侯惇とコンビを組んで出陣
曹操は劉備軍が北上してきた情報を入手すると、李典と夏侯惇、于禁らに軍勢を与えて、劉備軍の軍勢を防ぐように命令。李典・夏侯惇・于禁はすぐに軍勢を率いて出陣し、劉備軍が駐屯している地へ向けて進軍していきます。
劉備の策略に引っかかる夏侯惇
劉備は李典や夏侯惇、于禁たちが率いる曹操軍の出現を確認するとわざと軍勢を退却させ、追撃してきた曹操軍を伏兵を用いて一網打尽にする策略を思いつき、早速実行へ移します。李典・夏侯惇・于禁の軍は、劉備軍退却の知らせを会議を開きますが、意見が割れていました。
夏侯惇と李典の意見が激突
夏侯惇は劉備軍が退却しているとの情報が入るとすぐに追撃へ移るための準備を行います。この時李典は夏侯惇へ「劉備軍の退却先は道が狭く、草木が多く伏兵を用いている可能性がめちゃくちゃ高いと言えます。ですからここは劉備軍を追撃するのではなく、劉備軍の様子を見るのが一番いいと思いますけどどうでしょう」と進言。夏侯惇は李典の進言を聞いても劉備軍追撃を中止しないで、すぐに劉備軍を追撃するために出陣してしまいます。
劉備VS夏侯惇戦いの結末は!?
夏侯惇は于禁と一緒に劉備軍を急いで追撃。劉備は夏侯惇率いる曹操軍が追撃してきたことを知ると、仕掛けていた伏兵を用いて曹操軍へ攻撃を行います。劉備の作戦は大成功し、夏侯惇・于禁の軍は劉備軍の伏兵からの攻撃を受けて苦戦し始めます。
後方に残っていた李典は夏侯惇や于禁が劉備軍の伏兵からの攻撃を受けて大混乱している情報を入手すると、彼らを救うべく出陣。劉備軍は李典率いる救援軍が接近していることを知ると急いで軍勢を率いて退却していくのでした。もしこの時曹操軍を率いているのが夏侯惇と于禁だけであれば、曹操軍は壊滅的なダメージを追うことになったかもしれません。そして夏侯惇や于禁は劉備軍の攻撃を受けて討ち取られていたか可能性もあったかもしれません。このことを考えると李典がいたことで、夏侯惇や于禁が討ち死にするのを防ぎ、軍勢の損害も最小限に抑えることができたと言えるのではないでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
上記の劉備軍と曹操軍の戦いを「博望坡の戦い」と言います。この時李典が夏侯惇らと一緒に従軍しなければ、曹操軍の領土へ劉備軍がなだれ込むことになり、曹操が北伐を中止して劉備の対応に追われていたかもしれません。
また曹操が北伐を中止すれば、袁紹の息子達が再び河北へ侵入し曹操軍の領土を荒らしまわっていた可能性もあったかもしれません。このことを考えれば、夏侯惇や于禁は劉備軍に敗北してしまいますが、李典が彼らを救出することに成功し、敗北の傷を最小限で抑えた功績はかなり大きいと言えるのではないのでしょうか。
さらに言えば曹操は袁家の残党を討伐する北伐へ出陣し、勝利を収めることに成功しますが、この北伐の成功は、李典は博望坡で曹操軍の敗北のダメージを最小限に抑えた事も要因の一部と言えると思います。
■参考 正史三国志蜀書・魏書等
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