孟獲の6度目の出陣で带来洞主から声が掛かった木鹿大王。魔法に長け、天変地異を操ると噂されていました。
蜀軍の趙雲や魏延が、撤退するほどの勢いだったそうです。それでは、木鹿大王の戦いっぷりと死の真相を探ってみましょう。
带来洞主の推薦を受ける木鹿大王
いよいよ万策尽きたかにみえた孟獲軍。6回目の戦闘で魔法使いの登場です。
木鹿大王は白い象に乗り、風を呼び、雨を降らせることもできる魔力の持ち主。並大抵の人物ではありません。
带来洞主の仲介で木鹿大王は孟獲のアジトへと足を運びます。
木鹿大王、孟獲と出会う
孟獲が村で木鹿大王に会ったとき、彼は象に跨り、金銀の財宝を身にまとっていたそうです。
二本の大振りの刀を腰に差し、飼いならした虎やヒョウ、狼を檻に入れて参上しました。
孟獲は村の入口まで行って出迎え、過去に木鹿大王に行った仕打ちを許してほしいと願いでます。
すると木鹿大王の懐は深く、過去の事は水に流しましょうと孟獲を許します。
孟獲は喜び、宴の席を設けて盛大に接待するのでした。
初戦に勝利する木鹿大王
翌日、猛獣を連れて蜀軍の討伐に向かう木鹿大王。見慣れない南蛮軍の布陣、そして兵士は鎧さえ身に付けず、赤い体をしています。
腰には四本の剣を下げ、顔は牛のような容貌です。
恐れをなした魏延は一旦、陣に留まると趙雲に告げます。
かの趙雲もこれはまずいと思ったのか陣を引き、徐々に本陣へと押されます。
二人とも諸葛亮の元で戦況を伝えると申し訳なさそうな顔をします。
しかし、諸葛亮は鷹揚に答えます。
「実は対南蛮兵器があるのです。」
諸葛亮は続けました。
「現在、蜀には20台の秘密兵器があります。
今日はその半分を使い、残りはとっておきましょう。」
見ると赤く塗った秘密兵器と黒く塗った秘密兵器がありました。
諸葛亮が兵器を披露すると、そこには木で猛獣の形を彫った車両がありました。表面は五色の絨毯で覆われ、鋼鉄の爪を持ち、中には兵士10人ほどが入れる空間が目に入りました。
諸葛亮は1,000名の精鋭を招集すると、その中から100名を選び、口の中に火種を含むよう伝えました。
木鹿大王は象にやられた!?
翌日、孟獲のアジトの入口まで秘密兵器を率いてやってきた諸葛亮。
見張りの南蛮兵が孟獲と木鹿大王へ敵の襲来を告げます。
「我は無敵である。」
自信満々に登場してきた木鹿大王と孟獲。
諸葛亮は秘密兵器の先端に座り、扇をゆったりと構えています。
「こいつが諸葛亮だ!やってしまえ!」
孟獲の一声とともに進軍を開始した木鹿大王。
猛獣を放って諸葛亮へと襲いかかります。諸葛亮は、ゆったりと扇を構えるとすさまじい風を呼び起こします。
そして、風に乗って孟獲軍の陣へと突撃し、秘密兵器を投入。火を吐く兵器に鼻を黒こげにされた猛獣たちは、身震いをして、鉄の爪に恐れをなします。
たまらずアジトへと引き返す木鹿大王の猛獣部隊。一気に形勢が逆転しました。猛獣隊の退却によって南蛮兵は混乱し、ケガをするものも出ました。
さらに諸葛亮は、最後に黒い秘密兵器を投入。孟獲軍は大混乱に陥ります。
そして、猛獣たちは恐怖のあまり山へと逃げ帰り、戦意を喪失。
それは木鹿大王がまたがっていた白い象も同じでした。大きな象は諸葛亮の秘密兵器に驚くと態勢を崩し、転倒。木鹿大王は、その下敷きになって命を落としてしまいます。
こうして諸葛亮は、銀坑洞占領に成功するのでした。
三国志ライター上海くじらの独り言
猛獣を操る魔法使い・木鹿大王ですが、最後は自分の愛用している象によって死を迎えます。
これほど火を吐く車両を猛獣たちが怖がると予想しなかったのでしょう。退却してくる猛獣たちは混乱して、多くの南蛮兵を傷つけたはずです。
猛獣や水をも操った木鹿大王。
火を操る諸葛亮には手も足も出ませんでした。
これほどの使い手ならば雲南の金沙江(長江の上流)を氾濫させれば勝機はあったかもしれません。
人には強い猛獣でしたが、火には弱いという点を理解していた諸葛亮の知恵が勝った瞬間でした。
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