よかミカンの三国志入門
夷陵の戦い




はじめての三国志

menu

デザイン担当:よりぶりん

魏延(ぎえん)ってどんな人?|裏切り者?それとも忠義の士?

この記事の所要時間: 316




基礎 孔明の後継者姜維03 魏延

 

蜀に仕えた魏延(ぎえん)は、長く『裏切り者』としての烙印を押され、語られてきました。

そのイメージの多くは『三国志演義』の影響によるものですが、史実と見比べるとそこには魏延の別の一面が見えてきます。




大抜擢を受けた魏延

魏延

 

三国志演義』においては、始め荊州の劉表配下の将軍として登場する魏延ですが、

史実では劉備の入蜀に際し部隊長として戦功を上げ、将軍に昇格しています。

 

後に、劉備は魏と蜀をつなぐ要害の地である漢中の太守に魏延を抜擢しました。

 

周囲のほとんどの者は、漢中の太守には劉備挙兵以来の重鎮である張飛が起用されるものと考えていたので、

この大抜擢に大いに驚いたと言われています。

 

それは魏延にとっても同じ思いだったのでしょう。

 

漢中太守就任への意気込みを劉備から問われた魏延は

曹操配下の将軍が十万の兵で押し寄せるなら、私はこれを併呑しましょう』と言って気を吐いてみせました。

 

関連記事:三国志は2つある!正史と演義二つの三国志の違いとは?

関連記事:劉表のお家騒動に巻き込まれて殺されかける劉備

関連記事:劉表死す、そして偽の遺言書で劉琮が後継者に




諸葛孔明との確執、楊儀との対立

魏延

 

劉備亡き後、魏延は諸葛孔明の配下として北伐に従軍し、戦功を重ね、その功績で出世していきます。

 

魏延 孔明

 

しかし、魏延は孔明に対して不満を抱いていたことも知られており、自分が提案した作戦を却下されたことに対して

『孔明が臆病だから俺の才能が発揮できない』と不満を漏らしています。

 

魏延の不満は他の諸将にも向けられます。

特に孔明の幕僚だった楊儀に対しては公然と手向かい、時に剣を突きつけて脅すこともありました。

 

 

角の生えた夢

三国志 夢

 

北伐の陣中において、魏延は自分の頭に角が生えるという夢を見ました。

この夢のことを聞かされたある人物は

『麒麟は角を持っていますが使うことはありません』といい、その夢は魏延にとって吉兆であると答えます。

 

しかし、魏延が退出した後、その人物は別の者に向かって

『“角”という字は“刀”を“用いる”と書く。あれは不吉な夢だ』と真意を語ったといいます。

 

五丈原で孔明が没した後、魏延は楊儀の指揮下に入ることを拒み、自分を将軍として北伐を続行すべしと主張。

楊儀を始めとする諸将は魏延に反し、孔明の指示通り撤退を開始します。

 

状況を知って怒った魏延は楊儀に先行して成都の劉禅に楊儀が反逆したと上奏、楊儀も正反対の主張を上奏します。

 

二人の申し分に困惑した劉禅でしたが、

他の諸将の意見を聞いて魏延に疑いを向けます。

 

結局、魏延は楊儀の命を受けた馬岱によって斬り殺されてしまいました。

 

関連記事:馬岱(ばたい)ってどんな人?実は記録がほとんどない馬超のイトコ

関連記事:蜀滅亡・劉禅は本当に暗君だったの?

関連記事:劉禅が読んだ韓非子ってどんな本?

 

裏切り者として描かれた『演義』での魏延

楊儀と魏延

 

三国志演義』では、魏延は裏切り者として物語の舞台に登場します。

 

最初、荊州の劉表の配下として登場する魏延は、

劉表亡き後に魏に降伏した蔡瑁らに反抗し、劉備を招き入れようとします。

 

しかし、それに成功しなかった彼は、韓玄という別の太守に身を寄せます。

 

韓玄が劉備に攻められると、今度も劉備に内応する形で韓玄を裏切り、開城して劉備を迎え入れました。

孔明は魏延が主である韓玄を裏切ったことを咎め、『反骨の相があるから重用しないように』と劉備に進言します。

 

北伐に当たり、孔明はなお魏延に警戒心を抱いていましたが、

その武勇に依るところが大きく、彼を切り捨てることはできませんでした。

 

結局、魏延は病に冒された孔明の延命の儀式を妨害し、その死の直接の原因を作ることになります。

 

関連記事:諸葛亮の死因は過労死らしいけど、一体どんな仕事してたの?

関連記事:魏や呉にもいた諸葛一族の話

関連記事:古代中国のコペルニクスは孔明だった?彼はなぜ天文学を学んだの?

関連記事:孔明や荀彧が務めていた尚書(しょうしょ)ってどんな役職?女尚書も存在した?

 

 

魏延の行動は強すぎた忠義心のためだったのか?

劉備 関羽 張飛

 

史実における魏延は、劉備の大抜擢を受けて、関羽張飛とならぶ厚遇を得ています。

武侠の人であった魏延は、このことに大いに感じ入ったに違いありません。

元々、武侠を好み、関羽張飛を重用した劉備の人となりが、魏延を魅了させたとも考えられます。

 

魏延が孔明に対して批判的な言動を取ったのは、

先帝である劉備への、過剰なまでの忠義心がそうさせたものではないでしょうか?

 

もちろん、孔明は自身の見識と戦略的な構想を持って北伐の兵を率いていましたが、

武一辺倒であった魏延にはその真意を読み取ることができなかったのかもしれません。

 

だから、孔明の指揮は魏延には“慎重の度が越して臆病だ”と見えていたと考えられます。

 

魏延が蜀に背こうという気持ちはなかったかもしれない

魏延

 

魏延に、蜀に背こうという気持ちがあったとは思えません。

 

五丈原からの撤退を拒否したのも、たとえ孔明が亡くなろうとも先帝の恩義に報い、

魏を討とうとした彼の忠義心ゆえの行動だったとは考えられないでしょうか?

 

魏延にとっては軍を撤退させた楊儀こそが、先帝の恩顧に背く反逆者であったのです。

 

正史三国志の編さん者である陳寿「魏延が本気で謀反を起こそうと考えていたとは思えない」と述懐しています。

 

『三国志演義』における“裏切り者”としての魏延のイメージは、

孔明信仰による影響の強い、誤ったものである可能性があることを踏まえて見る必要があるでしょう。

 

関連記事:三国志の生みの親であり歴史家の矜持を悩ます歴史書編纂の裏事情 

関連記事:「危うく抹殺されそうになりました、陳寿さんのおかげです」卑弥呼より

関連記事:【衝撃の事実】三国志演義はゴーストライターによって書かれた小説だった!?羅貫中じゃないの?

 

 

耳で聞いて覚える三国志




こちらの記事もよく読まれています

姜維

 

よく読まれてる記事:姜維は忠臣なのか、それとも愚将か?

 

劉禅

 

よく読まれてる記事:蜀滅亡・劉禅は本当に暗君だったの?

 

孔明VS曹操

 

関連記事:曹操軍20万vs蜀の歴代最強メンバー【漢中争奪戦】

 

 

この記事を書いた人:石川克世

石川

自己紹介:

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。
最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。
三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

関連記事

  1. みんなが名乗りたがる最高の位!皇帝と王の違いについて分かりやすく…
  2. 義兄弟・張苞と関興はどこまでが三国志演義の創作なの?
  3. 【月間まとめ】2016年2月の注目ニュース10選!
  4. 真田丸の関ヶ原の戦いはすぐに終わったが、どうして西軍は負けたの?…
  5. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース34記事【2/6〜2/12…
  6. 馬鈞(ばきん)とはどんな人?諸葛亮を凌駕する魏の天才発明家
  7. 三国志の時代の庶民の家はどんな建物をしていたの?
  8. 平原君(へいげんくん)ってどんな人?欠点多いけど結果オーライ!人…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【真田丸特集】バツイチ女性が好きだった曹操と家康!
  2. 赤兎馬ってどんなウマ?呂布も関羽も愛した名馬
  3. 豊臣秀頼(とよとみひでより)は本当に豊臣秀吉の息子なの?
  4. 幾島とはどんな人?篤姫の尻を叩いて将軍後継者問題を進めた女スパイ
  5. 「楚」ってどんな国?キングダム戦国七雄を徹底紹介
  6. 趙嚴(ちょうげん)ってどんな人?人材豊富な魏の武将達を取りまとめた影の功労者

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

意外!?金持ちの息子の曹操は貧乏症だった? 十常侍に学ぶ正しい謝罪!真土下座の花道【ビジネス三国志】 文欽・毌丘倹の反乱を鎮圧することができたのは傅嘏の進言があったからこそ? 龐徳(ほうとく)ってどんな人?忠烈な最期を称えられた魏(義)の猛将 後漢の始祖・光武帝劉秀(りゅうしゅう)ってどんな人?苦難に耐えて皇帝になる Part.2 【江南八絶】孫呉を支えた!絶技を持った八人のプロとはいったい誰? 趙達とはどんな人?数学知識を駆使して未来を予言した男 孟嘗君(もうしょうくん)とはどんな人?戦国七雄に絶大な影響力を持った戦国四君【青年編】

おすすめ記事

  1. 【告知】朝まで三国志2017年 秋 本日22時開始
  2. 阿部正弘の家紋鷹羽紋とはどういう家紋?
  3. 呉書を斬る!袁術に帝位を勧めたのは魯粛だった!?
  4. 【はじめての君主論】第2話:愛されるより恐れられよ!董卓の恐怖政治とマキャヴェリズムの違い
  5. 竹中半兵衛重治と黒田官兵衛はどっちが凄かったの?
  6. 趙儼(ちょうげん)とはどんな人?三国志時代の調整力を備えた魏の文官
  7. 【月間まとめ】2016年2月の注目ニュース10選!
  8. 桓騎軍のDQN集団がヤバ過ぎる・・・何であんなのが配下に集まるの?その驚くべき理由とは?

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“邪馬台国"
PAGE TOP