キングダム「堕ちた龐煖?ゲス化の深層を考察」

2019年11月16日


 

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2週間ぶりに発売されたキングダム621話を読んで、多くの読者は思った事でしょう。いやマジで龐煖ほうけん)ってゲスくない?kawausoもそれは感じました。ええ、確かに龐煖は勝ちました。羌瘣(きょうかい)をメタくそにブチ壊し、その強さを見せつけました。しかし、今回ほど龐煖のゲスさが際立った回は無かったんではないでしょうか?今回はネットで、もはやランカイレベルとさえ言われた龐煖の心理状態について考えてみます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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ガッカリ、権威主義者(けんいしゅぎしゃ)だった龐煖

ホウ煖(龐煖)

 

Kawausoは、龐煖について誤解(ごかい)をしていました。

確かに龐煖は傲岸不遜(ごうがんふそん)であり、自らを武神と名乗る狂えるバーサーカーですが、武に対してだけは真摯(しんし)であり弱者は見下す一方で強者は尊敬する側面もあるのではないかと・・・しかし、それもキングダム621話で崩れ去ってしまいました。

それが羌瘣に対する

「吠えるな神堕(かみお)としの分際(ぶんざい)で、貴様こそ所詮(しょせん)(うつわ)、宿すものではない今の貴様の場所など、とうに踏みしだいたわ」

このセリフです。

君主論18 kawausoさん

 

いえね、圧倒的に羌瘣をあしらって、恐怖と絶望を与えながら、このセリフなら龐煖おっかねェべともなりますが、羌瘣に翻弄(ほんろう)されて翻弄されて、いら立ちから口走ったセリフですから、そのダサさが半端ないんですよ。

つまりは、俺の方が偏差値(へんさち)高い高校に通っているから、お前より上等な人間だと言っているようなもんでしょ?しかも試験で負けておいて、肩書だけに(すが)り無意味に威圧する幼さは、チャイルドか貴様は?ってなもんです。

 

悲報!昔より幼稚になった龐煖

羌瘣

 

そんな龐煖、羌瘣との初見であるキングダム十四巻ではこんな事言ってます。

「さあ、荒ぶる神、宿す者と堕とす者、どちらが天に選ばれし強者か存分に示そうぞ」

 

このセリフは、まあカッコいいですよ、どっちが強いか決めようぜですから、神を宿した方が堕とすよりも上なんだぜという変な偏差値主義も臭ってきません。それから数年、確かに強くはなったけど、精神レベルはチャイルドにまで退化した龐煖、哀れすぎて何も言えねえって感じです。

 

これでは、信も怒りを示す以前に、王騎を殺したほどの終生の宿敵の落ちぶれた姿にむしろ哀れみを見せるのではないでしょうか?(きょう)王騎(おうき)麃公(ひょうこう)を殺した頃は、無茶苦茶な性格でも、こんなに落ちぶれてはいなかったでしょう。

 

キングダムネタバレ考察

 

まるでランカイ!武人の矜持(プライド)も捨てた龐煖

兀突骨

 

そして、何よりもあいたたたと思ったのが、羌瘣を捕まえられないので(いら)立ち、足を(つか)んで地面に叩きつけた、あのランカイ化のシーンです。あれだけ長大な矛を持っていながら、捕らえられないと分かれば足を掴んでプロレスのように地面に叩きつける。

kawauso編集長

 

それも全身武器PRと言うよりは、自分を部分的に超えた羌瘣に対する憎しみを抑えきれず、鬼のような形相で何度も地面に叩きつけて留飲(りゅういん)を下げています。純粋に武と武で撃ち合う精神、傲岸不遜であっても孤高の強者であった筈の龐煖はどこへやらで、弱者とみなしていた相手が、己を超えた事に我慢ができないで、ひたすらに八つ当たりするまるで子供の駄々っ子です。

 

「なんで、僕ちんの思う通りに矛が当たらない!なんで攻撃をよけるんだ、ふざけるなお前なんか地面に叩きつけて壊してやるぅ」

成キョウ(成蟜)

 

なんだか、王弟反乱編の頃の成蟜(せいきょう)のようでもあります。己の血の高貴さだけに縋り、自分は一切成長しようとせずに、財力だけで反対者を抹殺してしまおうとした成蟜。最強の武を自分の専売特許のように感じて、それを脅かす存在に狂気の憎しみを向ける龐煖は、甘ったれの頃の成蟜に重なります。

 

信に力で敗れ生まれ変われるか?

楊儀と魏延

 

しかし、龐煖が醜いほどに荒れているのは、自分が信じてきた価値観が崩壊しようとしている事を恐れて、葛藤(かっとう)し苦しみもがいているからでもあります。誰だって、それまで信じてきたものが(いつわ)りかも知れないと思えば、心穏やかでは居られないでしょう。

スケールは全然違いますが、私たちだって社会人として生活している中で、他人が信じられなくなり、ヤケ酒を飲んだり、同僚と喧嘩した過去だってあるはずです。

 

でも、人生最悪の時は、再びゲインする出発点でもあったと思います。龐煖はまさに自分が信じた武の極みに疑問を感じ、私たちが酒に当たるように、羌瘣を木っ端みじんに砕いて現実逃避しているのだと考えられないでしょうか?kawausoは考えられないです(嘘)

考えてみると、俺は頭がいいと錯覚(さっかく)しているヤツが、その幻想から覚めるのは、もっと頭が良いヤツに遭遇した時です。俺はモテるというヤツが、本当は大した事ないと気づくのは女に振られた時です。何が言いたいのかと言えば、人は得意だと思っている事で敗北した時に、一皮むけて謙虚になるという事です。

矛を持った信

 

ならば、龐煖は神を堕とした者よりも遥かに劣る信に全力で立ち向かって敗れた時に、自らを縛り続けた武の極みの呪縛(じゅばく)から解き放たれ、自由になるのかも知れません。

【次のページに続きます】

 

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kawauso編集長

kawauso編集長です。 はじ三の中の人です。 様々なトピックを立てますが 盛り上がらない時には ごめんね。 大体、咬まないので 気軽にからんでもらえると 嬉しいです。

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