孔明の大きな見せ場、赤壁前の論戦!後々これが意外な方向に?

2020年1月26日


 

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赤壁の戦い

 

三国志、及び三国志演義の目玉は、決して華々しい戦いだけではありません。武人ではない文官たちの戦いもまた見どころでもあります。そんな戦いの中でもやはり目を引くのが諸葛孔明(しょかつこうめい)の大きな見せ場とも言える、孫権(そんけん)を相手にした赤壁前の論戦。

 

呉蜀赤壁の戦い

 

孔明ファンなら忘れられない一幕ですが、この論戦が思いもよらない所で引き合いに出されていて……ということで今回は孔明の論戦に付いて、その後に取り上げられた件も踏まえて色々語っていきたいと思います。

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孫権と孔明の論戦

劉備と孫権同盟

 

孫権と孔明の論戦が繰り広げられるのは赤壁の戦いの前。劉備陣営と手を組んで対曹操の戦線を引こうというのが孔明の考え、そしてあまり乗り気ではなかった孫権のハートに火を付けて説得するのですが、そこでこんな一幕があります。

 

「玄徳殿はどうして曹操に仕えようとしないのか」

 

田横(でんおう)

 

そう尋ねてきた孫権に孔明はきっぱりと言い返すのですが、この時に孔明は斉の田横(でんおう
)
を引き合いに出しつつ、劉備が曹操の下に降らない理由を説明します。ここで劉備(りゅうび)曹操(そうそう)に降らない理由として、比較対象として田横を出して説明するというのはとても上手いやり方だと思うのです。

 

挑発する諸葛亮孔明

 

比較を出すことで分かりやすくするだけでなく、田横よりも劉備は優れている、という主張をして、孫権に劉備と組むメリットを強く主張しているんですね。これこそ諸葛亮の頭の良さであると思います。が、この一文が後々に別の場所で取り上げられてしまいます。

 



劉禅の批判に繋がってしまう・・・

孔明

 

諸葛亮は孫権への反論の際に、このようにも述べています。

 

「もし事が成就しなかったなら、それは天命です。どうして我が主が曹操に仕えることなどできましょうか」

 

後の世でこの言葉について、孫盛という人物が評価をしています。この言葉は大変壮烈であり、臆病な人物の心も奮い立たせる素晴らしい言葉だとまで褒めているのです。

 

司馬昭の質問に回答する劉禅

 

しかしその一方で、蜀を滅亡させたとして劉禅への批判も行っています。この言葉を足掛かりに蜀という大国を作り上げ、そして最後には……と思うと、思うところが出てくるかもしれませんね。しかしこの言葉から同じ国に属する人物に賛美と批判が出てくるのは、とても興味深いと思います。

 

孫盛について少し

裴松之(歴史作家)

 

少し、孫盛について触れておきましょう。孫盛はご存知、正史三国志に注をつけた……裴松之(はいしょうし)は頻繁に引用している「魏氏春秋」や「晋陽秋」を記した歴史家です。裴松之は孫盛の評価として「異同を捜し求めて漏洩なし」……つまり漏らしなく様々な内容が記されていると褒めています。

 

しかしその一方で、内容については賛否両論、とも評しています。孫盛の文章は例えば人物の発言を別の文章から脚色して書くなどの行為が良くされていたようですね。このことが彼の評価を賛否両論、ともしてしまったようです。

 

劉禅はそこまで非難されるべきなのか?

君たちはどう生きるか?劉禅

 

ここで少し触れておきたいのが、批判されている劉禅についてです。

 

劉禅に気に入られる黄皓

 

確かに劉禅は蜀を滅亡させましたが、劉禅が蜀を引き継いだ時に既に蜀は滅亡に向かっていたと思います。しかしそこからすぐにではなく、後期蜀を40年間も無事に存続させました。もちろん劉禅一人の手柄ではありませんが、それならば劉禅が全て一人で蜀の滅亡を招いたとも言えないはずです。

 

降伏する劉禅

 

劉禅の評価もまた賛否両論ありますが、ただ劉禅の悪面ばかり強調されるのは悲しくなりますね。……と、孔明の論戦から孫盛に飛び、そこから劉禅の評価を見て……思いました。三国志について色々な議論が出るのは、歴史書であり物語として普及したからでしょう。しかしこのように一場面から全く関係ないように思える場所にまで話が繋がる、これもまた三国志の面白さだと思いました。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

今回は諸葛亮の論戦から少し発展させて考察を色々と述べてみましたが、いかがだったでしょうか。もちろん孫盛を非難するつもりはありません。むしろこの孔明の話から劉禅の話にまで影響させてくる孫盛は、流石三国志の貢献者の一人と思っています。

 

正史三国志ではこの孫盛の注が多く使われているので、もし見たことがない人はこの機会にぜひ正史三国志も見てみて下さい。この注を追うだけでも面白いのでぜひ正史三国志もよろしくお願いします!

 

参考文献:蜀書諸葛亮伝

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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