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この記事の目次
伏龍の兄
個人的に孫権の最も信頼していた人物として挙げたいのが、諸葛瑾です。諸葛瑾は立派な人物で、思慮と器量があり、同時代の人間はその寛容さと奥ゆかしさに敬服したと言われるほどの人格者。孫権は何か起これば必ずと言っていいほど諸葛瑾に意見を求め、彼らは「神交」と呼ばれるほど良い関係を築いていました。何よりも諸葛瑾は孫権の性格をよく理解していて、戒める時も諭すように接したと言います。
弟である諸葛亮と同じく臨機応変に欠けるものの、諸葛瑾も最終的に大将軍になるほどの人物でありました。
孫権と諸葛瑾
孫権と諸葛瑾の仲の良さを良く表したエピソードとして、赤壁の前に孫権が諸葛瑾の弟である諸葛亮を引き抜いてほしいと相談すると「弟は国を裏切りません、私と同じように」と答えました。
後に荊州対策で諸葛瑾が使者となった際に、孫権に呉の家臣たちが諸葛瑾は裏切るのでは、と心配して進言すると孫権は「諸葛瑾は私を裏切らない、私が彼を裏切らないのと同じように」と答えたと言います。諸葛瑾は孫権にとって水魚の交わりの如く大事な人物だったのでしょう。
そして筆者はこの諸葛瑾もまた、孫権が凌統や甘寧に感じていたように、どこか兄のように感じていたのではないかと思うのです。
晩年の孫権とその性格
晩年の孫権と言えば、嘗ての活躍が陰るかのように二宮の変などの揉め事を引き起こします。そしてこの行動、大体諸葛瑾が亡くなってから起こされ始めるのです。
諸葛瑾は孫権に優しくはありますが諫める部分はしっかり諫めてくれる人物だったことを考えると、早くに兄を亡くした孫権からすると、諸葛瑾は兄の代わりのように思い、依存していたのではないのでしょうか。
孫権は早くに亡くなってしまった兄や父のように苛烈に生きたいという思いもあり、しかしそれを止めて宥めてくれる人がいた。だけどその人物がいなくなってしまうと・・・・というのが、個人的に呉の最期に思うところです。そしてその最期は孫権の気に入った武将たちを見ていくと何となく、と感じるのもまた、三国志の面白さだと思いますね。
三国志ライター センのひとりごと
今回は孫権の性格と、彼のお気に入りの人物たちとを比較しながら考察してみましたがいかがだったでしょうか。ゲームなどの影響もあって凌統や甘寧、朱然などといった武将たちにも注目が当たり始めましたが、個人的には諸葛瑾にももっともっと視点が当たって欲しいと筆者は思います。
参考文献:呉書呉主伝 凌統伝 甘寧伝 諸葛瑾伝 虞翻伝 江表伝
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