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悲観的な人間の性を利用 流言策
流言とはデマの事で、ウソの情報を流して敵を混乱させる方法です。デマは、大昔から数限りなく使用されてきましたが、特に緊急事態ほどに広まりやすいという特徴があります。例えば、熊本地震の時には面白半分で動物園から虎が逃げたとツイートした人のデマがリツイートを繰り返され、パニックを起こした事があります。
困った事に人間は、良い事より悪い事をより信じやすい悲観的傾向にあります。宝くじ1等当たったは信じなくても、交通事故で人をはねたは信じやすいのです。
この流言は戦場で特に威力を発揮する事があります。特に勝敗の分らない膠着状態で、○○が寝返ったというデマは効果絶大です。
慶長二十年、大坂夏の陣開戦前、豊臣方は紀州の浅野長晟を寝返らせようとして失敗しました。しかし、この事で徳川には疑念が残っていたようです。そして、同年五月の天王寺、長岡の戦いの時、浅野長晟の部隊が松平忠直の軍勢の後を通った後に浅野が寝返ったという流言が流れました。
以前の経緯があり、疑念が爆発した家康の本陣が大混乱した隙を突き、真田信繁は家康本陣に三度の突撃を敢行し、家康をあわや切腹の事態に追い詰めたと言われています。このように、流言は当たると大きな威力を発揮します。
戦国時代ライターkawausoの独り言
以上、4つの調略を紹介しました。これらの調略の根本にあるのは、人間の我が身可愛さと言えるでしょう。自分だけ助かりたい、裏切られる前に裏切る、勝ちそうな側に付く、リスクを負いたくない。このような感情に働きかけ、自分に有利な状況を造り出すのが調略のキモですね。
参考文献:歴史道 戦国合戦の作法と舞台裏
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