アニメ『キングダム』函谷関の戦いでは、魏の第一の将として派手な登場をしている呉鳳明。容姿の端麗さに似合わず腹黒い性格や、発明家の一面があり井闌車や弩床のような大型兵器を保有し操る事でキングダムの登場人物の中でも異彩を放っています。
ところが、漫画で活躍する呉鳳明の祖国である魏は、イマイチ立派な人物が出ないような気が、では、一体どうして魏は弱小なのでしょうか?
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狭く周囲は敵で軍事費が嵩む魏
魏の母体は晋という超大国が3つに分裂して誕生しました。この時に出来た3つの国というのが、趙、韓、そして魏です。この3国で一番最初に勢力を伸ばしたのが魏で文侯という人物が、李克、呉起、楽羊、西門豹などの人材に恵まれて戦国最初の覇者になります。
文侯の後を継いだ武侯は父の後を継いで、さらに国土を開墾しますが、武侯の晩年になると中原に位置していた魏は西に秦、北は趙、東に斉、南は楚や韓と国境を接しこれ以上は領土を広げる事が無理になり、戦争に訴えて各国の領土を切り取っていきますが、軍事費が国庫を圧迫するようになったのです。
斉と秦に敗れ遷都する魏
次の恵王の時代も初期は覇者でしたが、その頃東国で広大な領地を持つ斉が国力を伸ばし、紀元前341年馬陵の戦いで田忌と孫臏の軍勢に太子申と龐涓の軍勢が大敗します。これにより10万もの軍勢を失った魏は決定的に没落。
翌年には、商君の変法で強大になった秦が魏に攻め込み、魏の総大将の公子卬を欺いて破り、都が危機に陥った恵王は王都を安邑から大梁に遷すという屈辱にまみれました。
キングダムの魏のキャラはほぼ虚構
文侯の時代には、李克、呉起、楽洋、西門豹と、キングダムの六大将軍級の人材が出た魏ですが、キングダムの時代には、ほとんど人材が出なくなります。唯一の例外は信陵君くらいで、後は将軍クラスでは晋鄙くらいのものですが、彼は、融通の利かない石頭で、信陵君に兵を引き継ごうとせず、信陵君の食客の朱亥にやむなく鉄鎚で殺害されています。
そういう事もあり、キングダムにおける魏の登場人物は、景湣王や安釐王というような王以外は、呉鳳明も呉慶も、魏火龍七師まで、ことごとく実在しないフィクションのキャラクターばかりです。
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