曹操は硯(すずり)などでも指の跡が残る程に長い間使い続けた人で、倹約家の一面がある。
ところが、その曹操がお前のケチぶりには敵わないとからかった人物がいる。
三国志演義では、孔明に罵倒されて死ぬ事になる王朗である。
以下は三国志王朗伝が引く魏略(ぎりゃく)
太祖(曹操)は王朗に会議に出席するように要請し顔を合わせると揶揄(からか)って言った。
「チミが昔、会稽にいた頃、米の飯を節約したそうだが、とても真似できないな」
すると王朗は天を仰いで嘆息して「ほどよい態度にあう事は難しい」とつぶやいた。
「あ?なんだって?」と太祖が聞き返すと
「私の昔の態度のごときは節約すべきではないのに節約したのです。
明公(との)の今の態度などは節約すべきなのに節約しないのです」
あんたの無駄口こそ節約すべきでしょうと王朗は痛烈な皮肉で返している。
気の短い君主なら怒りそうだが曹操は怒らなかった、上手い事返されたと思ったのだろうか
冗談が好きだった曹操らしい逸話だ。
【北伐の真実に迫る】